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第82掌 デートしてたら騒ぎを起こしてしまうのは何でだろうか?

さあ、新編開始です!



 拠点がある程度、形になったので一旦拠点絡みの引っ越しは終わり。ダンガの新しい店や拠点の改造などはまだ残っているが、少しだけ間を置こうと思って一週間ほど自由時間を取った。


「それじゃあ、リリアス。行こうか」


「は、はぃ」


 恥ずかしそうに俯きながら返事をするリリアス。


 そう。今日はリリアスとのデートの日。ダンガは店を出すために色々と王都に出ている店や同業者の店に顔を出している。アメリアは自分好みのキッチンにするためにキッチン用品を買いに王都をあちこち回っていたり、王宮に出入りしてメイドさんたちに自分の持っていない技術を教えて貰いに行ったりしている。


 つまり、何も予定がないのは俺とリリアスしかいないということだ。


 まあ、俺は精々ギルドで依頼を受けるぐらいしか用がないし、リリアスも王都で売られている本を買うぐらいしか用がない。リリアスは今まで出来ていなかった魔法の修行をしたいだろうが、肩の力を抜くためにも最初に俺とデートした方がいいだろう。


「さあ、これからどこに行く?」


 今、俺達は拠点の前にいる。ダンガたちはすでに出かけていて拠点には誰もいない。


「本屋に行きたいです!」


「OK。それじゃあ行こう」


 最初の目的地を決めたところで拠点を出発。


 やってきたのは王都で一番大きな本を取り扱っている店だ。店の前に行くとリリアスが目を輝かせていた。


「早く入りましょう!」


「ああ」


 中に入るとリリアスは水を得た魚のようにあちこち本を見て回る。店の中は地球の本屋みたいな内装をしていた。この世界では俺から見た普通の蔵書量が普通ではないらしい。この量でかなりすごい量らしい。これですごいなら日本で最大蔵書量を持つ図書館とかに連れて行ったらリリアスはどんな反応をするんだろうか?すごい気になる。


「タカキさん!タカキさん!これ!買いたいです!」


「お、おお。いいぞ。買おうか」


「あ!あとこれも!」


「おう」


「これもお願いします!」


 ドンドン買う本が増えていく。デートの前に買いたいものは遠慮せずに言えと言ってある。何でも買ってやるからと念を押してリリアスを了承させたのだ。大好きな本が大量にあるのを見て、遠慮とかそういうのが全部吹っ飛んだんだろう。まあ、いつも遠慮している感じがあるリリアスにはいい傾向だ。


 気づけば何十冊も買うことになっていた。まあ、書庫に入れる本が増えてありがたいけどな。買った本は大体魔法に関する本だった。予想通りだな。


「空間魔法を使えるようになったらタブル村に戻ってリリアスの家にある本も持って来たいな」


「はい!その時はお願いします!」


 嬉しそうにそう言うリリアスを連れて本屋を出た。ちなみに買った本は収納袋に入れておいたので荷物にはならない。


「次はどこに行く?」


「私、魔法学園を見てみたいです」


 恥ずかしそうにしてみたいことを言うリリアス。


 あ~。確かフェルゲンに到着前に馬車の中でも魔法学園について話し込んだな。リリアスの独壇場だったけど。


「いいよ。見に行こうか」


 リリアスは嬉しそうに笑顔になった。俺の手を握ってグイグイと引っ張って先を急がせる。いつもなら手を握るとなったら顔を真っ赤にすること請け合いのリリアスさんがこの積極性。流石、魔法大好きな事だけはある。


「行きましょう!」


「分かったから引っ張るなって!」


 走るリリアスに引きずられるようにして魔法学園に向かった。どうやら場所は事前に調べていたらしく、目的地までは迷いのない走りで魔法学園に向かっていった。


 一般人のスピードで走って三十分。到着したのは王都の東の端にある魔法学園。


 まあ、見学ぐらいなら出来るだろうと思っていたのだが、展開は思わぬ方向に進む。


「すみません。見学がしたいのですが」


 門番をしていた守衛に話しかける。


「ダメだ。許可のある者しかここを通すことは出来ん。早急に立ち去れ」


 言い方に少しイラッときたがまあ、そういうことなら仕方ない。


「リリアス、残念だがここは諦めて他の場所に行こう」


「はい」


「まったく。貴様らのような者がこの誇り高きオークス魔法学園に入れるはずがないだろうが」


「!」


 その言葉にリリアスが傷ついた表情をする。


「おい」


 流石に見逃すことが出来ないと思った俺はつい、威圧を発動。


「ひぃっ!」


 それに当てられた守衛は顔を真っ青に染める。本気で威圧したわけではないので気絶することはない。


「この威圧は何事だ!」


 そこに俺の威圧の余波を感じ取ったこの学園の教師がやって来た。


「貴様、何者だ!」


「すまない。この守衛が俺の癇に障ることを言ったのでつい」


「襲撃者か!」


「いや、違うけど・・・」


「問答は無用だ!拘束する!」


「おい。話は聞けよ」


 教師は魔法を放ってくる。火魔法か。レベルは5ってところだな。これくらいなら痛くもなんともないんだが、一応叩き落としておくか。


「なっ⁉貴様、何者だ!」


 それさっきも言ってたじゃん。そして聞いたくせに問答無用って言ったじゃん。


 無効化されても魔法を繰り出し続ける教師。それを無効化する俺。何度かそれを続けていると周りに人が集まり出した。この学園の生徒のようだ。


「きゃあああああああ‼」


 俺の顔を見ていた女生徒の一人が悲鳴を上げる。


「ど、どうしたんだ⁉」


 近くにいた生徒の一人が聞く。


「あ、あの人。エルメル叔父様を殺した人・・・」


 震えた声でそう答える女生徒。どうやらこの前の姫騎士派のパーティーに来ていた貴族の子供の一人らしい。まあ、結構派手に殺っちゃったからな。


「あの新しい王の依頼で貴族を殺しまくった狂った死神か!」


 俺に攻撃してきた教師がそう叫ぶ。


 何だよ。狂った死神って。ピエロの恰好で殺しまくったからか?また中二病な二つ名が出来たじゃねぇか。勘弁してくれよ。


「全員、その場を動くなよ!殺されるかもしれん!」


 教師がそう生徒たちに指示する。


 いや、殺さねぇよ。俺は愉快犯じゃないんだよ。狂ってもないし。


 しかし、よく俺って見破ったな。ピエロの恰好していたし、普通は分からないだろう。そう思って悲鳴を上げた女生徒を疑似神眼で視てみると鑑定スキル持ちだった。なるほどね。そういうことか。


「た、助けて」


 俺の近くで怯える守衛。いや、今俺、お前も守ってるんだけど。普通ならお前ごと教師の火魔法で丸焦げだぞ。


「これは何事かね?」


 そうこうしていると学園から年老いた爺さんが出て来た。


「が、学園長!狂った死神がこの学園に襲撃を!」


 教師がそう叫ぶ。


「なに?・・・これはタカキ殿。これはどういった御用で?」


 学園長は俺を見て恭しく頭を下げる。


「な、何をしていらっしゃるのですか⁉」


「新たな王の協力者だよ、彼は。そして黒の英雄だ」


 あっさり俺の正体をこんな大勢の前でバラす学園長。


「俺は面識ないんですけどね」


「あの謁見の時、儂もいたのだよ」


 なるほどね。知らない人だらけだし、俺が知らなくても当たり前か。


「それで?どうしたのですかな?」


「ここを連れが見学したいと言ったので見に来たのだが、ダメだと言われてな。それで帰ろうとしたら俺達を乏しめる発言をしたので威圧したんだ。そしたら理由も聞かずにそこの教師が攻撃を仕掛けて来てな」


「それはそれは。悪かったな。あとでそこの教師は相応の罰を与えるので許してはくれんか?」


「ああ。構わないさ。まあ、流石にうっとおしいし、俺の連れの楽しい日をこれ以上害するなら大変残念な感じに悲劇に見舞わそうと思ったけど」


「どんな感じに?」


 学園長が興味を持ったのか、聞いてくる。


「まあ、まずはハフナーさんに頼んで教師の一新とか?」


 自分の行動でそんなことが起こってしまうとなっては攻撃してきた教師も普通に恨みを買って殺されるだろう。教師は顔を真っ青にしている。ちなみに守衛は漏らしている。自分が誰に喧嘩を売ったのか理解したからだろう。


「それは困るのう。いい教師も大勢いるのでな」


「ああ。それで見学したいのだ、いいか?」


「勿論。それで矛を収めてくれるなら」


「ああ。分かった。それじゃあ入らせてもらう。まあ、誰にも気づかれないようにはするから。怖がられたら見学も出来ないしな」


「それは助かりますな。それではそれで頼みます」


 それで生徒たちは教師たちによって元の場所に戻っていった。


「すまないな、リリアス。でも、これで見学できるから許してくれ」


「大丈夫ですよ。タカキさんが私のためにやってくれたってことは分かっていますから」


 分かられているのも恥ずかしいな。


「それじゃあ、行きましょう!」


「ああ」




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