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閑話6 ベルルク

クラスメイト達の名前が出て来ませんが、これはタカキと再会したときに明かそうと考えています。

次の話をしたら新編かな~。



 数日歩いて樹里達はようやくベルルクへと到着した。途中途中で休憩を何度も挟んでたのでここまで来るのに二、三日どころか五日も経ってしまっていたが、仕方がない。


 タブル村に置いて来た行商人は追ってはこなかった。恐らく、村で足止めをされているのだろう。樹里達は申し訳ないと感じたが、状況が切迫していたので仕方ないと割り切った。


「つ、着いた~」


 男子の一人が門の前で叫ぶ。その声には喜びが溢れていた。


 だが、それはただ単に長い徒歩移動から解放されたからというだけではない。ここはライドーク神国で得たタカキの情報でここにいると判明した場所だからだ。他のクラスメイト達も男子を苦笑いしながらも、表情は明るい。


 叫んだ男子はそのまま門の中に入っていった。テンションが上がっているのだろう。みんなを置いて行っている。それに残りの九人は慌ててついて行く。


 門を潜り切るとそこには賑やかな情景が広がっていた。ライドークのようなどこか押し殺している感じもない。そんな印象を樹里はこのとき感じた。


「それでは早速ギルドへ向かいましょうか」


『はい!』


 皆川喜美の言葉に従い、みんなでギルドへと向かう。タブル村と違い、ちゃんとした町なので逸れない様にみんな固まっての行動だ。タブル村みたいになるかもしれないという思いも多少はあったのだろう。逆に町の人たちはそんな十人を物珍しそうに見ていた。黒髪で変な格好をしている集団が歩いているのだ。ギョッとするだろう。


 しかも、その集団の男たちは数日だけここにいた黒の英雄と同じ格好をしていたのだ。驚きもするだろう。ここにデリルが健在だったら何かしらよからぬことを考えていたかもしれないが、すでにギルド支部長によってギルドから排除されているのでそう言ったトラブルは起こらない。


「ここがギルドね」


 樹里がそう呟く。門にいた兵士に場所を聞き、きちんと迷わずにギルドまで到着した一行。人数も多いし、先生もいるとなってなかなかしっかりしている。


「先生!早く入ろうぜ!ライドークとどんな感じに違うのかも気になるし!」


 男子の一人がうずうずしている。この男子はさっき門の前で叫んでいた男子だ。どうやら装飾関係に興味があるらしく、ここに来るまでもあちこちを見渡していた。残りの二人の男子に襟元を掴まれていたのでどこかに勝手に行っていなくなることはなかったが。


「わ、分かりました。入りましょう」


 そして中に入るとそこには慌ただしく駆け回るギルド職員たちの姿があった。


「な、なんか思ってた以上に騒がしいね・・・」


 女子の一人が呟く。


「と、とにかくそれも合わせて聞いてみましょう」


 皆川喜美は生徒を引き連れてギルド窓口に向かった。


「いらっしゃいませ。本日のご用件は何でしょうか?」


「色々と情報が欲しいのですが・・・」


 みんなを代表して皆川喜美が会話する。


「はい。私に応えられることでしたら」


「ありがとうございます。早速なんですが、この騒ぎはどういったことなんでしょうか?」


「ああ。最近こちらにいらした方々なんですね。これは職員が単純に足りてないんです」


「職員が足りていない?」


「ええ。お恥ずかしい話ですが、少し前に支部長補佐が支部長の意思とは関係なく、悪事に手を染めまして」


「そ、そうなんですか」


「ええ。それで加担していたギルド職員を全員奴隷処分にしたんです」


「ぜ、全員と言うと?」


「その時のギルド職員の総数の三分の二ですね」


「そ、そんなに⁉」


「奴隷処分にしないと全員殺されていましたし・・・」


「そ、それってどういうこと?」


 物騒な物言いに女子の一人が聞く。


「その、ギルド支部長補佐の悪事に制裁を加えた冒険者の方が大変ご立腹で・・・」


「ああ。何かされたのね」


「はい。お仲間を人質に取られまして」


「それは・・・」


「はい。その冒険者の方はもの凄いお強くて、そのまま殲滅されました」


「ふへぇ~」


 聞いた女子は頬を引きつらせている。


「なるほど。ありがとうございます。それともう一つお聞きしたいのですが」


 そんな女子を一旦下がらせて皆川喜美が再び質問を開始する。


「はい」


「ここで起こったという緊急依頼を一人で達成したという冒険者のことを聞きたいのですが・・・」


「あ~。それはすみませんがお話することは出来ません」


「な、なんで⁉」


 樹里が困ったように問う。


「ギルド支部長からしゃべるなと言われているんです」


「ならギルド支部長にお願いしに行くわ!どこにいるの?」


 樹里は焦った様子で聞く。


「こ、困ります。現在、支部長は忙しく・・・」


「構わないよ」


 と、そこに話題の支部長が受付嬢の後ろからやって来た。


「支部長・・・」


「シャーリ。君も気づかないかい?彼らの服装と髪で」


「え?・・・・・ああ!」


「そう。彼の同胞かもしれない」


「やっぱり知っているんですね!彼がどこにいるのか教えて下さい!」


 皆川喜美が興奮しながら聞く。


「その前に、君たちが彼の敵ではないことを確認しなければね」


「え?」


「同胞と言ってもそれがそのまま味方となる訳ではない。何か証明できることはないかい?」


「そ、そんなことを言われても・・・」


 興奮が治まって萎んでいく皆川喜美。そんなものはない。それに皆川喜美と樹里はタカキとある程度交流があるが、他の八人にはないのだ。もしタカキと連絡が取れさえすればどうとでも証明できるが、それならこんなに必死に捜索する必要がそもそもない。


「我々も彼の敵と認識されたくないのでね」


「どうしてそこまで?」


「シャーリから聞いただろう?支部長補佐の顛末は」


「ええ。・・・・まさか!」


「そうだ。やったのは彼だよ」


 その言葉に動揺する十人。


「今どこにいるのかは確かに知っている。でも、それをすんなり教えるわけにはいかないのさ。彼の味方と認識されていないこのベルルクはね」


「それって」


「ああ。支部長補佐のせいで信用されなくてね。信用されたければそれだけのことをしろって言われたのさ」


「せめて次にどこに行ったのかぐらいは教えて貰うことは出来ませんか?」


「う~ん。確かに彼は一所に留まるつもりはないようだし・・・次に向かった場所ならいいかな。君たちがもしも彼の仲間だったら居場所を教えなかった、とさらに認識の外に外されそうだし」


「ほ、本当ですか⁉」


「ああ。今、ベルルクが敵認識されていないのはここにいるシャーリのおかげだし。ここで私も好印象を彼に与えておきたい」


「シャーリさんのおかげ?」


「ああ。この娘はタカキやその仲間の娘と仲が良くてね」


「その娘ってもしかしてリリアスって名前?」


 樹里がタブル村で聞いた名前を出す。


「ええ。よく知っていましたね。リリアスちゃんのこと」


「ここに来る前は彼女の元々住んでいた所に行ってきたから」

(やっぱりリリアスって娘)


「そ、そうだったんですか・・・」


「分かった。それでは次に向かった先だけ教えよう」


「お願いします!」


「彼は次にここから徒歩で二日ほど行った場所にあるフェルゲンに向かった」


「「フェルゲン・・・」」


 樹里と皆川喜美が二人で反復するように呟く。


「言える情報はそこまでだな。君たちも冒険者だろう?何か受けて行ってくれないか?前の緊急依頼でこの町の冒険者が全滅したから人手が足りないんだよ。今なら楽な依頼もそれなりに報酬もよくなっているし、簡単な依頼でいいから」


 支部長がここぞとばかりに仕事を押し付けてくる。まあ、樹里達も情報を教えて貰った手前、断りづらい。


「分かりました。数日程ここに滞在して依頼を受けさせていただきます」


 皆川喜美が合意する。


「先生、いいんですか?すぐにフェルゲンに行った方が」


 装飾品大好きな男子を今も尚、押さえている男子が聞く。


「ええ。元手もなくなって来たし、簡単な依頼で多少はレベルアップもしておかないといけないわ。この先、危険がないとも限らないし。それにフェルゲンに行っても孝希君はそこにはいないのだし」


「それもそうですね」


 男子もそれにあっさりと同意する。不都合がなければ反対する理由はない。


「それじゃあ、明日からお願いします。それと宿を紹介してもらいたいのですが」


「ああ。任せてくれ。君たちはこのシャーリが担当するからよろしく頼むよ」


「お願いしますね!」


 支部長とシャーリが挨拶する。


「はい。こちらこそお願いします」


『お願いします』


 皆川喜美と生徒たちも挨拶し返す。




           ・・・




 それから一週間。生徒全員が平均5レベルは上げて資金も着々と増えて行った。


「そろそろ出発しましょう」


 夜、宿の食堂でみんなが集まったところで皆川喜美がそう言った。


「そうですね。もうここに得るものはなさそうだし」


 樹里も賛成する。


「みんなもいい?」


 樹里の問いに八人が頷く。


「それじゃあ明日、ギルドに挨拶したら出発しましょう」


「先生」


「なんですか?」


 門で叫んだ男子が嫌そうな表情をしている。


「また歩くんですか?」


「ええ。歩きます」


『えぇ~』


 みんなが嫌そうにする。


「こういう所で地道に鍛えていないと後々しっぺ返しを喰らいます。そうならないようにしておかないと」


 それにしぶしぶ同意する生徒たち。だが、嫌なものは嫌だからか、項垂れている。


「それでは明日、朝に食料などの調達を行ってから昼に出発しましょう」


 それでその場は解散となった。




                 ・・・




 翌日の昼。


「それじゃあみんな。出発よ!」


 皆川喜美を先頭にして一行はベルルクを旅立った。


 男子は食料などの荷物を持っているので辛そうだ。そう。男子たちはこの荷物持ちもあるため、徒歩を嫌がったのだ。それに気づかず、ドンドン先に進んでいく皆川喜美。その姿を見て、男子たちはため息を漏らすのだった。




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