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第72掌 ダラけ、再び



「単刀直入に言って、君たちには重要拠点を強襲してもらいたいのだ」


「強襲・・・ですか」


 それって結構重要な作戦っぽいよね?


「俺達にそのような大役を任せてもよろしいのですか?」


「構わん。むしろ君たちにしか出来るとは思えん。なんせそこを叩ければそれだけで継承問題が私たちの勝利で終わるほどのものだからな」


 そんな重役を俺に任せて本当に大丈夫かよ・・・。


「そこで具体的に何をすればいいんですか?」


「そこで大騒ぎを起こしてくれればいい。王子派の貴族の勢力のほとんどがそこにいる。もしも運が良ければそこに王子もいることだろう」


「分かりました。ちなみに王子がいた場合ですが」


「それは君たちの判断に任せる。もしも殺すしかなければ殺してくれ。可能ならば生け捕りにして私の所に連れて来てくれればありがたい」


「分かりました」


 ハフナーさんの言葉と俺のあっさりとした返事にマリアーヌは悲しそうに表情を変える。まあ、仮にも血の繋がった弟だからな。そういう表情をするのも仕方のないことだ。俺も沙羅を殺すなんて言われたらそいつをぶちのめすもん。


「では具体的な作戦を話し合おう」


「はい」


 それから一時間ほど、俺達は作戦会議を行った。




                 ・・・




 その後、俺達は特に用事もなく、ハフナーさん達も俺達に用があるわけではないのでそのまま宿へと戻った。現在は俺の部屋に再び集まっている。だから、なんで俺の部屋なの?他の人の部屋でもいいじゃん。特に何を話すわけでもなく、皆ゴロゴロしていやがる。まったく。


 そんなことを思いはしても、言いはしない。わざわざ来てくれるんだから悪いと言うことはない。


 作戦決行は今日から一週間後。作戦会議をした結果、どうせなら一気に叩こうと言うことになり、王子が重要拠点にいる時を見計らって強襲をかけることになった。


 この作戦と言えるかどうかも分からない作戦が成功すれば、今度は姫騎士派の貴族の殲滅だ。まあ、全ての敵対貴族を殲滅したら貴族の数が対処不可能になってしまうぐらい減ってしまう。王族になる予定のハフナーさん的にも貴族が減ってしまうのは困るのだ。そう言う訳で、降参する貴族の場合に関しては殺さなくてもいいとのことだ。


 俺達は、特に俺は最奥に行って対象を殺せとのお達しだ。まったくもう。俺は暗殺者ではないのだが・・・。確かに俺のスキルの中には暗殺術というスキルがあるが。


 ちなみに対象とは王子とその取り巻きの貴族たちである。王子は生け捕りだが、他の貴族は殺しておかなければいけない。王子派の貴族はあまり数を気にせず殺せと言われたからだ。お情けをかけるのは姫騎士派の貴族たちにということらしい。


 まあ、欲をかいただけだからな。話を聞く限りでは。それなら一度くらいはチャンスをやろうってことらしい。


「それにしても、初めてお前と神との会話を聞いたぜ」


 そんな言葉をだらんとベッドに寝ころんだダンガが言う。俺のベッドなんだが・・・。シーツがぐちゃぐちゃになってしまっているし。後で直せよ・・・。


「確かに、あんなに怖いタカキさんは初めてです」


「そんなに怖かったか?」


「怖かったわよ。戦う時にすらあんな感じにはならないのに。一体その神様と何があったのよ」


 そんなに怖かったのか・・・。まあ、いつもふざけられるからイラッとした気持ちをそのままぶつけているんだが。


「アイツがいつもふざけるから俺もああいう反応になるんだ」


「あそこまで感情的なタカキさんは見たことがありませんでしたからすごい驚きました」


「この中で一番タカキと一緒にいるリリアスがそう言うんだ。こっちの世界に来てからは少なくとも理性的な印象だったと言うことだな」


 俺、特に感情を抑えたつもりはないんだけど。まあ、地球の友達にも言われていたから分からなくはないけども。


「そうですかい・・・」


 言われ慣れているとはいえ、ガッカリくるのは変わりない。俺は繊細なのだ。


「そんな『俺は繊細です』みたいな顔するなよ。お前、そんな繊細じゃねえから。普通に神経図太い方だと思うぞ」


 ダンガにも俺の表情が読めるようになってきたか。リリアス以外にも完全に打ち解けたってことだな。


「そんなことはいいのよ。あの時、タカキさんは神と何を話していたの?」


「アメリアさん。ちょっと顔が怖いです。それに近い・・・」


 顔と顔の距離がおかしい!あとちょっとでキスしちゃうYO!


「いいから、言いなさいよ!」


「言います!言いますから離れて!」


「分かればよろしい」


「はあ」


 まったく。何なんだ、この追及。恐ろしいわ。


「アメリアの奴。自分が一番タカキとの付き合いが短いことを気にしているみたいだな」


「そのようですね」


 後ろでリリアスとダンガがこそこそとそんなことを言う。


「う、ううううるさい!」


 アメリアが珍しく叫ぶ。今日までアメリアが叫んだところを見たことがなかったから驚きだ。そんな俺の表情をアメリアは見て、顔を真っ赤にする。おおう。可愛い。


「気にするな。俺はそんなアメリアもいいと思うぞ」


「どこの口説き文句だよ」


「ダンガ、うるさい!」


「ハイハイ。黙りますよ」


 まったく。


「俺、今日はもう寝るから。そろそろ解散しろ。俺の部屋から撤退しなさい」


 そう言って俺は三人をさっさと部屋から追い出す。まあ、あのままだとアメリアも可哀想だったからな。今日はこんなところでいいだろう。実際に疲れたし、寝ましょうかね。久々に俺だけが考える状況じゃなかったからね。ハフナーさんとアルナスさんはかなり頭の良い人たちだったぜ。


 そんな感じで気分よく寝ることが出来たタカキ君であった。


 はい、おやすみ。




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