第70掌 簡単?な試験
再び0時投稿!
出来るだけこの時間に予約しておきたいな~と思っています。
そんなわけで今日の話です。どうぞ!
隠し通路の階段を下っていくと大きな広間に出た。四角い空間だ。もっと丸っこいイメージをしていたんだが・・・。これも魔法の力ってわけかな?それに広間は結構綺麗にしてあって、清潔そうだ。壁は全て白で塗装してあって、より清潔感が強調している。壁にはいくつか扉もある。あの感じからしてどこかへつながる通路、もしくは個室だろう。通路の場合、繋がっているのは公爵家とマリアーヌの屋敷か。
そしてその奥にはがたいの良いおっさんとそれを囲むように集まっている騎士たちがいた。真ん中の人がハフナーって人で周りはその護衛ってところかな。結構大きめの机に着いている。
そのハフナーさんっぽい人の所までマリアーヌに連れて行かれるとマリアーヌがお互いを紹介した。
「叔父様。こちら私が今回依頼をした冒険者のタカキさんとグラスプというパーティーメンバーの皆さんです」
「よろしくお願いします」
俺はマリアーヌの紹介でハフナーさん?に頭を下げる。さっきから呼び方が安定しないな。まあ、俺の敬称を付けるかどうかはその人の人柄とかを見てからだからな。あったことのない人やあまり接点のない人には呼び方が安定しない。まあ、デリルの例があったせいなんだけど。アレのせいで見た目とかで敬称を付けようとかは思わなくなったんだよね。まったくデリルの野郎!
「それで、タカキさん。こちらは私の叔父であり、現在の王の弟君である公爵のハフナー叔父様よ」
「・・・」
そのハフナーさん?は黙ったままだ。ふむ。ちょっと確認。
全掌握でここにいる人全部を把握する。最近は使う回数も増えたからか、出来ることも増えた。把握で知ることのできる情報が増えたのだ。疑似神眼ほどではないが、ある程度までは分かるようになった。今は名前と性別と種族くらいか。
まあ、それも神の眷属には効かないから神の野郎は俺に疑似神眼を与えたんだろうけど。
そんなわけで把握で確認を取ると、目の前にいるハフナーさん?はどうやら偽物のようだった。よく見ると騎士の中に何人か甲冑まで被っている人が何人かいる。その人たちに把握能力を使うとその中の一人がハフナーさんだった。
「なるほど。それでここに呼んだと言うことは何か俺達にしてほしいことがあるからですよね?それを早速教えていただけませんか?」
そう俺はその甲冑騎士(中身はハフナーさん)に語り掛けた。
「タ、タカキさん⁉」
目の前のハフナーさん(偽物)を無視してその甲冑騎士に話しかけることに焦るマリアーヌ。マリアーヌがこれが偽物と分かっていないってことは見た目はこの偽物と一緒ってことか。
ちなみに俺の仲間たちは呆れた表情で俺を見ているだけだ。何か根拠があって俺が行動していることは分かるが、初っ端から飛ばし過ぎだろう・・・と思っているのだろう。そんな感じの表情だ。
「ふむ。なるほどな。黒の英雄というのもあながち嘘ではないようだ。噂が独り歩きしたわけではないらしい」
そう言ったのは甲冑騎士だ。
「そう言っていただけるとありがたいです」
甲冑騎士がハフナーさん(偽物)を差し置いて話し始めたことに驚くマリアーヌ。ちなみに執事さんは動じていない。流石は執事。俺の想像をしっかり体現してくれる。仲間たちはまたこのパターンか・・・みたいな表情だ。本当だと思っていたこと、常識がひっくり返るパターンばかりだったからね。タブル村では魔法を使えないと言われていたリリアスが魔法で俺を召喚するし、ベルルクでは受けないと言っていた緊急依頼に出る羽目になるし、フェルゲンでは神の眷属(憑依)と出くわすし。
そして今回は王位継承問題に顔を突っ込むわけだ。そういうのには介入するつもりはないって考えていたのにも関わらず。
「い、一介の騎士が主を差し置いて何を話しているか!タカキさんもタカキさんです!何故目の前の叔父様を無視するのですか!無礼ですよ!」
おおう!マリアーヌ様が怒っていらっしゃる。
「そろそろいいんじゃないですか?ハフナーさん。マリアーヌ様もよく考えてください。どうして騎士の皆さんは俺がハフナーさんを無視して騎士に話しかけているのに怒ったりしないのですか?」
「ハハハハッ。本当に流石だ。私が偽物と分かるのだからね」
黙っていたハフナーさん(偽物)が声を上げた。しかし、その声は見た目とは違い、若い。
「ど、どういうことなんですか?」
マリアーヌがハフナーさん(偽物)に話しかける。
「簡単な事さ」
ハフナーさん(偽物)がそう言うとハフナーさん(偽物)の姿がぼやける。そして次の瞬間にはマリアーヌが叔父と呼ぶには若すぎる人物がいた。
「こういうことだよ」
「アルナスお兄様⁉」
誰だ?
「そ、それでは叔父様は?」
「こっちだ」
そう言って俺が話しかけた甲冑騎士は返事をする。そして甲冑を脱ぐ。現れたのは筋骨隆々のナイスミドルなおじ様。い、厳ついな。
「先ほどタカキさんが話しかけた・・・。つまり先ほどまでの叔父様は幻影魔法?」
「そうだ。そして彼は何も礼儀のないことをしてはいない。あれで正しかったという訳だ。まあ、これは私からの試験みたいなものだったのだがね」
ハフナーさんは眉間にしわを寄せ、ヤレヤレと手を上げる。
「それで騎士の方々が俺だけを集中して見ていたんですか。本当は後ろの三人や主であるハフナーさんを見ていないといけないのに」
「そういうことだ」
まったく。流石は王になると言うだけはある。
「本来は話していく内に正体がバレると思っていたのだが・・・。こんなに早くバレるとは思わなかったよ」
アルナスさんが言う。恐らくハフナーさんの息子か何かだろう。
「改めて挨拶をしよう。私が公爵のハフナーだ」
「そして私がハフナーの息子であるアルナスさ」
「タカキです。後ろの三人は俺の仲間です」
俺は頭を下げ、三人も頭を下げる。
「それでは座りたまえ。早速話し合いをしようじゃないか」
司会進行役なのだろう、アルナスさんが俺達を席へ座るように促す。それに従って席に着く。
「それではまずは君たちの素性から話してもらおうかな?特にタカキ君」
それは俺のことを知っているぞということに他ならない言葉だった。おいおい!隠蔽は確かにしているはずだ!この前のマリアーヌの固有スキルもなんとかやり過ごしたし。バレているはずがない!なのにどうしてだ⁉
俺は心の中で頭を抱えた。
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