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第64掌 姫騎士登場

恐らく、今日の内に十万アクセスが突破される可能性が高いです。

と言う訳で、突破したことを確認し次第、もう一話投稿しますのでそちらもよろしくお願いします!



 何度か遣いに捕まりそうになったが、それを回避してなんとか姫騎士の屋敷に到着することが出来た。隠密行動と隠蔽のスキルがあって本当に良かった。


「すみません。私、フェルゲン家の遣いの者です。当主のベルモンド様より姫騎士様にお手紙を預かって参りました」


 姫騎士の屋敷の門を守っている門番に話しかける。ちなみに言っているのは俺。アメリアではない。俺だって多少は礼儀正しい口調出来るんですよ?これでも現代日本の教育を受けていますから。ちなみにアメリアは自分は使用人ですと言わんばかりに俺の後ろに控えている。俺に粗相がない限りは黙っているつもりのようだ。


「ふむ。何か証明できるものなどはありますか?」


「これでいいでしょうか?」


 俺はベルモンドさんからもらったバッチを門番に見せる。


「確かに。それでは伝えてくるのでここで少々お待ちを」


「すみません。ここで待たされると面倒事になるので、出来れば門の中に入れてもらえませんか?門の内側ならそれでいいので」


「それはちょっと・・・」


 渋る門番。


「このまま外にいると他の貴族に捕まってしまいそうなんです」


「・・・・何かしたのですか?」


 訝し気に聞いてくる門番。


「いえ、私の風貌が有名人に似ているらしく、それで自分の所に引き込もうとしているようなんです」


「あなたの風貌?・・・・・!」


 俺を上から下まで何度か見る門番。どうやら気づいたようだ。


「わ、分かりました!それでは門の内側で待っていてください。ただし、屋敷の中にはまだ入らないでください」


「ええ。分かっています」


 俺達は門の中に入れてもらう。外で俺達が待たされるところを狙っていた貴族の遣い達はものすごく残念そうにしている。悪いな。俺にも仕事があるんだ。それに面倒事には出来るだけ関わりたくないんでね。神の眷属でもないことだし。


 俺達を中に入れると門番は屋敷に向かっていた。


「なんとか変な騒ぎもなくここまで来れたな」


「ええ。でも、気をつけなくちゃいけないのはここからよ」


「ああ、そうだな。フォローは頼んだ」


「もちろん」


 待っていると門番が戻って来た。執事なのかな?そういう風貌の使用人が一緒だ。


「お待たせしました。案内しますのでこちらへどうぞ」


 門番は仕事があるのか、門の前に戻っていった。俺達は執事さんに連れられて屋敷の中に入る。


「姫様は園庭にいらっしゃいますのでそちらに案内させていただきます」


「はい。よろしくお願いします」


 ここも広いな。コの字型の屋敷と言えばいいだろうか。正面を囲うようにして建ててある。玄関から入って左側に向かって行った。でも、外からは行かないんだな。その方が手っ取り早いと思うんだが。なんでわざわざ中に入ってからもう一回外に出るなんて面倒だ。まあ、言葉に出して言いはしないが。


「こちらです。姫様を呼んでまいりますから少々お待ちを」


 俺達が園庭に到着したらその場に姫騎士さんはいなかった。執事(仮)は園庭の奥に消えた。なんで(仮)かって?いや、だってこの人が本当に執事か分かんないし。


 そして一分も経たないうちに戻って来た。もう一人の人物に続く形で。


「待たせたかしら?」


 そう言って俺達に声をかけてきたのは輝くような銀髪を靡かせている美人だ。歳は俺より二、三歳上だろうか。目はちょっとツリ目だ。髪の長さは腰のあたりまであるだろうか。ティアラを頭につけている。流石はお姫様だ。


「いえ。大丈夫です。いきなりで申し訳ないですが早速本題に入らせていただきたく」


「ええ、構わないわ。それでベルモンド殿はどのような返事を?」


 確かに、これは覇気も何もないな。やる気もないし、でもやらなくちゃいけないって感じか。まあ、俺達に被害が出ないなら関わる気はない。ここは放置だな。


「こちらの手紙を預かっています。お読みください」


 そう言って俺は懐から手紙を出した。そしてそれを執事に渡す。ここで直接、姫騎士に渡すのはナンセンスだからな。相手は継承問題が起こっているとはいえ、王族だ。そんな相手に平民、良くて貴族の子飼いの人間が物理的に接触する。それはヤバいだろう。


「・・・ふむ」


 執事から手紙を受け取った姫騎士はその場で手紙を読み出した。


「なるほどね。ベルモンド殿の言い分は分かった。だが、この手紙を渡す相手に今、この国で有名な黒の英雄様を寄越すとは思わなかったよ」


「うぐっ」


 またそれか。


「ベルモンド様は私が王都で有名になっているとは知らなかったようなので。現に私も自分自身がこんなにも有名になっているとは思いもしませんでしたから」


 王族にまで俺のことが知られているとは思わなかった。


「そうか」


「はい。それでは私共の御用は終わりましたので失礼いたします」


「待ちなさい」


 俺がそそくさと帰ろうとしたら姫騎士に呼び止められた。くそっ。俺が黒の英雄様って知られている時点で何かあるとは思ったよ!


「なんでしょうか?」


「少し話し相手をしてくれないかしら」


「せっかくのお申し出ですが、すみません。私共は冒険者なのです。この後もすべきことが色々と残っていますので」


「そうか。分かった。引き留めて悪かったな」


「いえ、こちらこそ。お断りして申し訳ありません。それでは失礼します」


 俺達は案内された道を戻る。


「すまない。もう少しだけいいかい?」


「はぁ、なんでしょうか?」


 姫騎士に再び引き留められる。用があるなら最初に引き留めたときに言って欲しい。


「君の名前を教えて欲しい」


「私のですか・・・」


「ああ。黒の英雄という名は知っているのだが、それは君の名前と言う訳ではないだろうからな」


「はぁ」


 まあ、俺だって黒の英雄は勘弁して欲しいところだが。でも、俺の名前を教えるのは~。相手、王族だし。教えたら洒落にならないかもしれない。


「すみませんが、私の独断ではこちらの情報を教えることは出来ません。私の所属するパーティーの名前ならお教えすることも構わないのですが」


「・・・そうか。それではそのパーティー名を教えてくれないか?」


「グラスプです」


「何か意味があるのか?」


「いえ、特には。感性で決めたようなものです」


 まあ、この世界では単語の意味としては機能しないだろうからな。


「そうか。知っているとは思うし、知らなくても誰かに聞けば分かると思うが、私の名前はマリアーヌと言う。以後、お見知りおきを」


 出来ればそれは回避したいな。俺は心底そう思う。恐らくは自分自身の駒が欲しいのだろう。ベルモンドさんから聞く限り、彼女は傀儡だ。周りの貴族に本当の味方はいないのかもしれない。そこに自分で言うのもアレだが、名声と力のある冒険者がやって来た。取り込もうとする理由には十分だろう。まあ、パーティー名しか名乗らなければ、依頼という形でしか協力要請は来ないだろう。その協力要請もギルドのアネッサさんの様子から考えて却下される可能性が高い。これは直接俺に会いに来ないと話すことも無理だな。


「はい。それでは今度こそ失礼します」


 俺達はその場から離れた。執事は俺達について来た。まあ、客人とはいえ部外者だからな。これは当たり前だ。むしろ、紹介があったからって他人だった俺達をすぐに屋敷に寝泊まりさせたベルモンドさんの度胸がすごいわ。感心する。


 俺達は何にも起こらずに屋敷からは撤退した。


 屋敷から出ると他の貴族の遣いがまだいたが、隠密行動と隠蔽のダブルスキルを使い、逃げる。今日はよく使うな、この二つのスキルたち。


 宿に行ったらリリアスとダンガに合流出来るだろう。帰るか。


「アメリア、俺の対応は大丈夫だったか?」


「ええ。特に何も言うことはなかったわ。大丈夫よ」


「そうか。それは安心した。それじゃあ、宿に戻るか」


「あれ?何か用事があるんじゃないの?」


「あれは嘘だ」


「あなた、よく王族に嘘なんてつけたわね」


「俺は見方を変えたらもっと偉いからな。そんな身分とかは関係ないさ」


 事情を知らない人間なら俺が黒の英雄様だと分かればまあ、そうかもなって思うだろうが、事情を知っている人間だと俺の言葉に納得する。神の使徒だしな。


「確かにあなたはこの世界でもトップクラスに偉いでしょうけど・・・」


「まあ、いいじゃん。それより戻ろうぜ」


「はぁ、そうですね。分かりました。行きましょう」


 俺達は宿に戻った。宿に戻るまで隠蔽は解かなかったから誰にも気づかれなかった。俺の恰好からして誰かに絡まれそうだったしな。


 宿から戻った後に少し経ってリリアスたちは戻って来た。簡単な討伐依頼だったから特に何もなかったそうだ。こちらも今日の出来事を説明した。


 黒の英雄のところでダンガが案の定笑いやがったが、それくらいだ。


 明日は拠点の値段とかをこの世界の不動産屋に聞きに行ってから依頼を受けるとしますか。多少はお金も貯まったが、家を買うまでにはいかない。


 明日からはキリキリと働くとしますか。




読んでくれて感謝です。

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