第62掌 英雄という柵が増えた
もう少しで十万PV達成です。
その時にはまた複数投稿しますのでよろしくお願いします。
良ければ感想・評価・ブックマークもして頂けたら幸いです。
それではどうぞ!
黒の英雄なんて恥ずかしい名前を何故か勝手につけられていた俺は羞恥心と戦う。どこの中二病だよ!
「その黒の英雄ってなんですか?ってかそもそもあんた誰?」
「私はここのギルドの長をやっているアネッサと言います。よろしく」
「ああ。よろしく」
警戒はしておこう。ここに来るまでの二回、デリルとあの身内に甘いおばさんだったからな。俺はあまりギルドに良い感情を持っていない。
「それで黒の英雄っていうのはあなたが達成した緊急依頼のことです」
あのベルルクのときのやつか。ま、自分でも派手にやったかもとは思ったけどな。どうせあのイケメン支部長が報告したんだろう。
「黒髪の青年がAランクのモンスターの大群を一人で殲滅したという報告は受けました。服も黒く、全身が黒かったので黒の英雄。で確認ですが、君ですね?」
「ああ。確かにそれは俺だ」
でも、全身が黒かったっていうのは止めて欲しい。なんか嫌だわ。
「お名前を聞いても?」
「ベルルクの支部長から聞いてないのか?」
「彼は名前に関しては何も」
「そうか」
あのイケメン、どうやら本気で俺と仲良くしたいらしいな。俺の不都合になりそうなことは報告していないってか。気を利かせているな。流石はイケメン。心もイケメンだ。
「俺はタカキと言う」
「そう。タカキさんね」
なんか、女性には大体さん付けで呼ばれるな。なんでだろうか。さん付けで呼びやすいのか?地球ではそんなことはなかったんだが・・・。
「それで?なんで俺達はここに呼ばれたんだ?」
「それは、タカキさんにはお目通しをしておきたくてここに呼ばせてもらいました。あなたはここまでで色々とギルドに不信感を持っていたと思うから」
「まあ、否定はしない」
「今回はそれだけだったんだけど、あなたが姫騎士の所に行くって聞いてもう一つ聞きたいことが出来たの」
「なんだ?」
「あなたは姫騎士の派閥に入るの?」
「はい?どうしてそうなるんだ?」
「冒険者の中にも影響は少ないけど派閥が出来上がっているの。それであなたももしかしたらと思ってね」
「俺はそんな権力に巻き込まれそうなことはしたくないんだが」
「それを聞いて安心しました。あなたがどこかの派閥に入るだけでその派閥が勝ってしまうでしょうから」
「そこまでの力が俺にあるはずないじゃないですか」
戦力的な事ならまだしも、政治的にはあんまり役に立たないぞ、俺。
「いえ、あなたには黒の英雄としての知名度があります」
「俺が名乗ったわけじゃないんだが・・・」
「民衆から自然に呼ばれるから英雄なのです。あなたの意思はそこには反映されないわ」
いや、なんとなくそれは分かるんだけど、何だろうか。この釈然としない気持ち。特に英雄になりたいなんて思ったこともなかったし、俺の行動を阻害してくるから邪魔でしかない。そりゃ、お偉いさん相手にする場合には役に立つ可能性はあるけど、利用される可能性が上がる。せっかく勇者なんて面倒なことは回避出来たのに。今度は英雄かよ。これで神の使徒だってバレたらどうなるんだろうか。
それにしても、このアネッサさんは言葉遣いがよく分からないな。敬語とタメ口が混ざっている。なんかやり辛い。
「色々めんどくさ」
「あなたの望むものではなかったかもしれないですが、それでも結果は結果です。受け入れて」
「まあ、いい。それでいい加減に姫騎士の居場所を教えて貰いたいんだが」
「彼女のいる場所ね。案内を出します」
「いや、場所だけ教えてくれ。俺はあくまで使いなんでな」
「使い?」
「ああ。フェルゲン領主からの使者なんだ。ベルモンドさんから姫騎士に言付けを預かっている」
「なるほど。そういうことでしたか。分かりました。もう一度確認しますが、あなたはどこかの派閥に入るつもりはないんですね?」
「ああ。もし、俺が関わるなら気に入ったやつ以外は全部纏めて潰すことになるからな」
元々そういう権力闘争は嫌いなんだよ。まあ、歴史の授業とかで聞いてて嫌な気分になったからなんだけど。みんな、不幸になっていたからな。それに元々ドロドロした感じのは嫌いなんだよ。それに巻き込まれたら当分はそれに引きずられそうだし。
「そ、それはご遠慮して頂けると・・・」
「だから関わるつもりはないって」
「そうですか」
あからさまにホッとするアネッサさん。
「それじゃ、場所だけ教えてね」
「はい。受付でお待ちください」
「ああ」
俺とアメリアはそれで部屋から出た。ちなみにアメリアが発言しなかったのは、俺がベルモンドさんと深いつながりがあると思われるのはベルモンドさん的にも俺的にも今後、面倒な事になると考えたからだ。まあ、これは後で聞いたことなんだけどね。アネッサさんと話している時には話さないな~とは思っていたけど、何か考えがあるから黙っていようと思ったわけだ。
「お待たせしました」
最初に俺とアメリアを対応した受付嬢がやって来た。
「こちらをご覧ください」
恐らくこの王都の地図だろう。
「ここが今私たちがいるギルド。そしてここから北に向かって進んで貴族街に入り、真っ直ぐ進んで一番奥の屋敷が姫騎士様の屋敷になります」
「ちなみに他の王位継承者たちはどこにいるの?」
「王子様は王宮に。王弟様は王宮の近くにある屋敷に居を構えています」
ふーん。まあ、この二人に会うことはまずないだろうから気にしなくていいだろう。ただ、向こうから絡んでくるかもしれないからな。俺は知らない間に有名になっていたらしいし。出来るだけ逃げておこう。
「ありがと。それじゃあ、俺達は行くよ」
「はい。お気をつけて」
受付嬢のそんな言葉を受けながら外へと出た。
「姫騎士は心配してないけど、周りが恐らく何かアクションを起こしてくるかもしれないからな。気をつけておこう」
「ええ、そうね。フォローは任せて!」
姫騎士のいる貴族街に出発した。
巻き込まれないといいなー。でも、無理なんだろうなー。そんな考えを俺はアメリアが張り切っている時にしていた。
読んでくれて感謝です。
時間があるときはちょっとずつ分かりやすくするために今まで書いた話を直したりしますので、文字数がちまちま増えたらどこかを直していると思ってください。おかしな点があったらご指摘して頂けるとありがたいです。




