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第50掌 身内贔屓

祝!五十話です。

まあ、流石に話数では新しく投稿はしません。キリがないので・・・(;´・ω・)

ですが、代わりに普段より少し多めの文字数です。

そんなわけで五十掌目、どうぞ!



 アメリアを連れてギルドにやって来た俺達。


 俺はアメリアの冒険者登録をリリアスとダンガに任せ、ちょうどいい依頼を探していた。


「あら?依頼は達成したの?」


 そう声をかけてきたのはこのギルド支部の支部長だ。


「ん?なんであんたがこんなところで受付をやっているんだ?」


「こんなところとは失礼ね。ここの空きを埋めるために私がいるのよ。今暇なのは私しかいないからね」


 ふーん。支部長も大変なのね。


「なんで空きが出てんだ?」


「あんたのせいでしょ」


「俺?」


 俺、なんかしたっけ?


「あんたから領主殿に報告したことで、あの子が当分謹慎になったのよ」


「ふーん」


 処分は謹慎で済んだのか。良かったな、それだけで済んで。冒険者を客観的に見ず、突っかかってきて情報をわざと伝えなかったんだ。下手したらベルルクの時みたいになってたぜ?


「ふーんってあんた。こうなったのはあんたの所為なのよ?少しは何か感じたりしないの?」


「そもそもあっちが勝手に突っかかって来たんだ。公平な受付嬢としてはちょっとダメなんじゃないのか?それに元を正せばあんたのせいだし」


「私?」


「そもそもあんたが俺を調べるためにあんなことをしたからあーなったんだろ?」


 支部長が俺に攻撃したなんて、こんな冒険者のいる場所で言えないからな。いや、正確に言えば俺は黙ってやっているだけなんだけど。


「ぐっ」


 俺が支部長のために敢えて曖昧に言っていることを理解した支部長は何も言えなくなっている。


「まあ、いい。あの子がクビになったわけじゃないんだし」


「なんでそんなにあの受付嬢にこだわっているんだ?」


「・・・・私の姪なのさ」


 なるほど。だからそんなに処分が甘いんだ。納得。身内の力ってことね。確かにちょっと雰囲気似てたし。この支部長と血縁関係があるのは理解できる。でもまあ、そんなの俺には関係ないわ。


「あっそ」


 支部長の言葉に素っ気なく答える。


「・・・」


 俺のその言葉に厳しい視線を向ける。おいおい。他に俺にどう反応しろと?眉間にしわが寄っちゃってるじゃん。


「自分の家族だからなんて他者からしたら、それがなんだって感じだし。さっきも言ったけど、家族だからって特別扱いして、最終的にミスしたからだろ。俺の所為にするな」


 俺は自分が大切にしている奴を特別扱いする。だから支部長の姪の受付嬢の特別扱いを責めたりはしない。でも、それを他人の所為にしているのはいただけない。結局は自分の責任なんだから。


「悪いな。そんなわけで俺は依頼探しに戻らせてもらう」


 というか、ある程度目星は付けてあるし。


 俺は支部長から視線を外し、そのままいくらか依頼の紙を見て、一つの依頼を取った。


「おい。あいつ、Aランクの依頼を取ったぞ。誰だ?」


「さあ。でも、ただの命知らずだろ。ほっとけよ」


 おお。絡んでこない。こういう時には大体絡んでくるものだとばかり考えていたよ。感心感心。まあ、注意してこないってことはそれだけ他人のことは知ったことではないと考えているんだろう。


「それはドラゴンの討伐依頼じゃないか。あんた、そんな危険な依頼を受けんのかい?」


「ああ」


 支部長が俺の依頼を見て再び声をかけてくる。ああ、支部長がここにいるから他の冒険者が絡んでこないのかもな。俺は絡まれようが、絡まれまいがどっちでもいいけど。


「これ、本来はSランク相当の依頼だよ。依頼主が報酬をケチってAランクの依頼になってるけど」


 いや、俺はドラゴンと戦うこと自体が目的だからランクはどうでもいいし。


「ふーん。ま、そんなのはどうでもいいんだよ。これを俺のパーティーと現在受注中の領主の依頼の対象のフォーマスで受ける。フォーマスについてはしっかり守るから気にするな」


「・・・・分かった。私が受注手続きをしよう」


 不承不承といった感じで依頼の受注手続きをする支部長。仮にもここのトップなんだからそんなに感情を表に出すなよ。まあ、普段は表に出ることがないんだろうけど。支部長同士とかで会議とかするんだろ?絶対分かりやすい、やりやすい奴と思われているよ。


「・・・完了だ。これであんたらのパーティーがこの依頼を受注した。いつでも行っていいよ」


「はいよ」


「それにしても、あんたのところのパーティー。名前とかないのかい?呼ぶときとかに困るんだが」


「ああ。考えてなかった。今度みんなに相談して決めておくよ」


「頼むよ。A級冒険者なんてそうそういないんだから、それだけあんたには注目が行く。早めに決めて報告してくれ」


「おう。それじゃあな」


 俺はリリアスたちのところに戻った。どうやら結構あっさり終わったようだ。俺とリリアスは結構時間が掛かったから、アメリアもそれだけ掛かるものだと思っていた。でも、考えてみればそうだよな。俺とリリアスの登録手続きはあのシャーリがしていたし、途中でデリルっていう面倒なのに絡まれたからな。そのことをすっかり忘れていたわ。


「登録お疲れさん」


「あ、タカキさん」


 俺がアメリアに声をかける。嬉しそうに俺に目線を向ける。おお!さっきの支部長とは違うね。こっちの方が断然いいよ。


「俺も依頼を取って来たぞ」


「そうなの?」


「ああ。屋敷でも言ったけど、アメリアは今回は見学ね。俺とリリアス、それにダンガでやるから」


「フォーマスは?」


 ダンガが聞いてくる。


「ああ。流石にいきなりドラゴンと戦わせることはしないよ。アメリアと一緒で見学。まあ、アメリアよりも近くで見学してもらうけど」


「近く?」


 リリアスが疑問に思い、聞く。


「ああ。俺におんぶされてもらう」


「そ、そんなことしても大丈夫なの?危険なんじゃ・・・」


「俺のステータス値じゃ、フォーマスの体重なんてあってないようなものだし。気にしないでいいよ。もし、危ないと判断したらフォーマスはダンガにでも投げるし」


「俺に投げるのかよ!」


「そもそも投げないでください!」


 リリアス、そんなに怒らないでくれよ。


「まあまあ。とにかく一旦屋敷に戻ろう。相談したいこともあるし」


「おう。・・・・相談?」


「ああ。さっきギルド支部長にパーティー名を決めてくれと言われてな」


「確かに。パーティーを組んでいるのに名前がないのなんて私たちぐらいですし」


「そんなに珍しいの?」


「はい。そもそもパーティーを組む時にそういうのも決めるものですから」


「相変わらず、詳しいね」


「それだけ本を読んでいますから!」


 胸を張って、えへんと嬉しそうにするリリアス。まあ、あれだけの蔵書を地下に隠すくらいに持っているんだから当たり前か。俺も初めて見たときには驚いたもんな。


「本なんてどこにあったんだ?普通の村人の家に入り切る量って感じじゃなさそうだが・・・」


 ダンガが不思議そうに聞いてくる。


「ああ。地下に隠してあるんです。本を村の誰かに盗まれたら困りますから。今は私の家がどうなっているのか分かりませんけど・・・」


「へぇ」


 確かに、リリアスの家があの後どうなったのかは未だに分からない。もうあの村に戻って生活することはないだろうから気にするほどではないと思うけど。


「自分の質問していてなんだが、その話はもう終わりにしようじゃねえか。それより、さっさと屋敷に戻って名前決めようぜ?まだ、依頼の開始まで時間あるし」


 まあ、フォーマスには昼からって言ってるからな。まだ朝の時間帯だし。


「そうだな。それじゃあ、いくか」


「はい!可愛い名前を考えましょうね!」


 リリアスさん、パーティー名は俺達も使うんです。


「おいおい。俺的にはこう、カッコよくて渋い感じの名前がいいんだが」


 まあ、リリアスよりはマシかもな。でも、女の子もいるってことを考えておいてくれよ?


「わ、私はタカキさんに任せる」


 まだちょっとぎこちないな。まあ、それは時間が解決してくれるだろう。最悪、アメリアには審査役になってもらえばいいし。


「はいはい!そういうのは戻ってからな。いくぞ!」


「「「はーい」」」


 なんだか、保育園か、幼稚園の保父さんにでもなった気分だ。俺より年上が園児にいるのが釈然としないが・・・。




読んでくれて感謝です。

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