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第48掌 朝食時に



 次の日。


 俺はアメリアによって起こされた。


「おはよう」


「おう。おはよう」


 やっぱり、同じくらいの歳のアメリアには敬語だと距離を感じるからな。フランクなのが一番だ。


「それはそうと」


「ん?」


「サラって誰ですか?」


「え?」


 俺、また寝言で沙羅のこと言ってたの?まあ、ほぼ毎日起こしてもらってたから仕方ないんだろうけど。いい加減、沙羅に頼っていちゃあダメだな。起きるときに毎回沙羅の名前を出すのは兄的にも頂けない。


「あ、ああ。俺の妹だよ」


「そうなんですか?」


「ああ。俺、朝起きるの苦手でいつも起こしてもらってたんだ」


「へぇ~」


 そこでアメリアが顔を真っ赤にしながら言った。


「じゃあ、これからは私がタカキさんを起こすね」


「え?」


「私がこれからサラさんの代わりに毎朝起こしてあげる」


「それってなんてプロポーズ?」


 俺はまだ寝ているのだろうか?


「プ、プロっ、プロポーズ⁉」


「いやだって、毎朝起こしてあげるってそれっぽいじゃん。そもそも家族以外で起こしてあげるような異性の関係って恋人とか夫婦くらいだし。アメリアからの逆プロポーズか・・・。いいね!」


 まあ、俺の思いつくのがそれだけって言うのもあるけど。


「///」


 テレとる。なんか可愛い。


「まあ、冗談はここまでにしよう」


「じょ、冗談だったんですか?」


「アメリア。敬語に戻ってる」


「そ、それくらい動揺したの!」


「そ、それはごめん・・・」


「それで⁉」


「ん?何が?」


「さっきのは冗談だったの?」


「まあ、半分くらい?」


(半分は本気ってこと?)


「ん?なんか言ったか?」


 小声過ぎて分からなかった。


「な、何でもない!リリアスちゃんとダンガさんもタカキさんを待ってるから早くいこ。みんなお腹空かせてるよ」


「おう」


 俺もお腹空いてきた。さっさと着替えて行くか。まあ、着替えって言ってもシャツとパンツ(トランクスタイプ)から制服を着るだけだけど。いい加減、服買いたい。ベルルクではそんな余裕はなかったし、フェルゲンでは依頼ばっかりしていたからな。なんとか毎回不快にならないように手洗いで洗って洗濯してるけど、いい加減限界だわ。地球の家にある俺の私服を取りに行かせてほしいくらいだぜ。


 ・・・落ち着いたら神に頼んでみようかな。色々と報告もあるし。




                 ・・・




 アメリアに案内されて部屋に入るとそこにはリリアス、ダンガ、ベルモンドさん、フォーマスの四人がすでに席に座っていた。


「待たせてしまったみたいですみません。どうも朝は苦手で」


「構わないよ。君は昨日、実は相当精神的に疲れていたんじゃないかい?」


 俺はアメリアに促されて自分の席に座る。


「ハハッ。バレていましたか」


「相手が相手だったんだ。引きはがすのに相当の力と神経を使っただろうと容易に想像できるよ」


 流石は貴族。洞察力は本物だ。あのヘッポコフェルゲン支部長にも見習ってほしいくらいに。


「アメリア。君もそんなところにいないで座りなさい」


 アメリアは俺の後ろに控えていた。


「い、いえ。私は」


「構わない。もう隠すつもりもないからな。君もここに座るべきなのだ」


『?』


 俺達には昨日の話を聞いていたから分かるが、フォーマスと他の使用人たちは意味が分からないと言った感じだ。そして何故アメリアが使用人の枠から出たマネをするのだと困惑している。メイドさんたちからは妬みのような視線もある。


「ここでお前たちにも伝えておこう。このアメリアは私の子である。そしてメイドの職を離れ、今後、協力者になったタカキ君たちの仲間に入れてもらった」


『⁉』


 驚いてる驚いてる。メイドさんはマズい人をいじめていたと気付き、青ざめている。数人はそれでも尚、妬み、いや、憎しみの視線をアメリアに送っている。こいつらが主犯格かな?注意しておこう。ベルモンドさんにも後で進言しておかないとな。


「どういうことだっ‼」


 そんな中、大声でフォーマスが叫んだ。


「せっかく俺の妾にしてやろうと誘ってやったのに!自分の主人に媚び売りやがって!」


 急に癇癪を起すなよ。ベルモンドさんも顔が怖い感じになってる。これはもう容赦なくやってもよさそうだな。


「おい。フォーマス」


「貴様‼誰に向かって」


「負け犬は黙って従え」


「っ」


「聞いた話だと強ければ何をしても許されると思っているらしいな」


「事実その通りだろうが!」


「なら昨日、俺に負けたお前はどうなるんだ?」


「ぐっ」


「それに今のお前では前まで勝てていた兵士たちにも勝てはしない」


「なにを馬鹿なことを」


 まあ、神の眷属が抜けたんだ。ズルはもう出来ない。


「なら試してみるがいい。お前を鍛え治す依頼を受けているんだ。ちょうどいいだろう。ベルモンドさん、コイツに負けた兵を貸してもらえませんか?」


「ああ。構わない」


「ありがとうございます」


「おじさん!」


「お前は友人の息子だからと多少は優しくしてくれるようにタカキ君に頼もうと思ってもいたが、止めだ。徹底的にやってくれ」


「はい。お任せください。フォーマス!準備しておけよ。恥をかきたくなければな」


「ぐっ」


 フォーマスは部屋を出て行った。まあ、あれだけ言われたんだ。準備してくるだろう。


「場所は昨日の練兵場でいいんですよね?」


 フォーマスは出て行っちゃったけど。


「ああ。そもそも戦える場所は広い分、あそこしかないからな。フォーマスも分かっているだろう。しかし、やはりというか何というか」


「やっぱりアメリアにちょっかいかけてましたね」


「ああ。頭が痛いよ」


「お気の毒です」


「ああ。まあ、それよりもだ。君たちは食事を楽しんでくれ。私は兵を手配してくる」


「ありがとうございます」


 ベルモンドさんは退室していった。さて、仲間と楽しく朝食タイムといきますか。使用人がいるのがちょっとあれだけど。




読んでくれて感謝です。

フォーマス君更生プログラム開始です!

まあ、プログラムと言っても何も考えてないですけどね。

のーぷらんってヤツです(震え声)

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