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第43掌 依頼開始

なんか、書いていてこのフェルゲン編も長くなりそうだなと思う作者。

まあ、一話分の文字数はそんなに長くはないんですけどね。

そんなわけで今日の話をどうぞ!



 次の日の朝。


 俺達は荷物を持ってベルモンドさんの屋敷に向かっていた。


「実際にはどうかは会ってみないと分からないけど、どんな人なんでしょうか?その子どもっていうのは」


 リリアスが不安そうに聞いてくる。


「まあ、ベルモンドさんが嘘をつくはずがないだろうし、聞いた通りなんだろうね」


「そうだな。あの受付嬢ならまだ嘘を言いそうだが」


「まあ、その受付嬢さんもベルモンドさんから何かしらの罰があるだろうから放っといてもいいだろう。とにかく、俺達は依頼に集中すればいいさ」


「はい」


 話していると市場を通りかかる。


「あれ?」


 そこで俺は見覚えのある人を見かける。


「アメリア!」


 俺が声をかけるとアメリアも俺を見つけたのか、こちらに来る。


「タカキさん、おはようございます」


「おはよ。今は買い出し中?」


「はい。今日の朝食の食材を買いに。そちらは?」


「ああ。紹介するよ。仲間のリリアスとダンガ。一緒に冒険者をしているんだ」


「そうなんですか。私、アメリアと言います。ベルモンド様の屋敷で働いています。よろしくお願いします」


「ん?」


「ダンガだ。よろしくな」


「リリアスです。よろしく」


 ダンガは気さくな感じで挨拶していたが、リリアスがちょっと不機嫌そうな感じだ。さりげなく俺の服の裾を掴んでいるし。しかし、ベルモンド様、か。なるほどね。


「今日も荷物、多そうだな。持つよ」


「あ。ありがとうございます」


「さ、リリアス、ダンガ。行こう」


 俺はアメリアの荷物を持って歩き出す。


「おう」


「・・・・はい」


 ダンガは普通に、リリアスは少し複雑そうに。


「行こうって、ベルモンド様に何か御用なんですか?」


「ああ。依頼でね」


「ベルモンド様の・・・。ああ。あの依頼ですか」


 暗い表情をするアメリア。


「何かあったの?」


「いえ」


 ふむ。話してはくれないか。やっぱり、俺の予想は当たっているようだ。




                 ・・・




「それでは私はベルモンド様とフォーマス様を呼んできますので」


 名前はまだ聞いてなかったけど、子どもの名前はフォーマスと言うらしい。屋敷の玄関に着いた俺達を案内していたアメリアが言う。


「ああ。ここで待っていればいいかい?」


「いえ、玄関で待たせるわけにはいきません。応接間でお待ちください」


「ああ」


 そう言ってアメリアは屋敷の奥に消えていった。


「あれ?私たち、応接間の場所を知っているってアメリアさんに言ってないですよね?」


 リリアスが不思議そうに俺に聞く。


「ああ。だが、その疑問はとりあえず気にしないでおいてくれ。後でちゃんと教えるから」


「?分かりました」


「サンキュー」


「???」


 ダンガはよく分かっていないようだ。まあ、リリアスに教えるときについでに言えばいいだろう。


「さ、応接間に行っておこう」


 広い屋敷の中を歩いて移動し、応接間に入る。勿論、一応ノックもした。もし使用中で後でアメリアが攻められたら大変だからな。


「さて、あとはベルモンドさんが来るのを待つだけだな」


「そうですね」


 座って待っていると部屋の扉が開いた。


「待たせたようだな」


 ベルモンドさんとアメリア、それに恐らくフォーマスだろう子どもが部屋に入ってきた。


「いえ、大丈夫ですよ。それでそちらが?」


「ああ。私の友人の子息のフォーマスだ」


「・・・」


 挨拶などはせず、ただ一礼だけする。


「俺は領主ベルモンド様の依頼を受けて来ました。タカキと申します。こちらは私のパーティーメンバーです」


「・・・」


 フォーマスに挨拶をするが、そっぽを向かれてしまう。これは依頼内容をベルモンドさんから聞いたな。


「リリアスです」


「ダンガだ」


「・・・」


 リリアスの挨拶で少し反応したな。これは典型的な馬鹿貴族の卵かな?となると、アメリアのあの暗い表情のことは大体予想出来るな。


「それで、私共は最初に何をすればいいでしょうか?」


「タカキ君。その前にその口調はやめてくれないか?貴族の仕事以外ではそのような感じではしたくないのだ」


 なかなか俺好みの貴族のようだ。


「分かりました。それで、何をすればいいですか?」


「ああ。最初はこのフォーマスと戦ってくれ」


 やっぱりそうだよな。


「分かりました」


「そういうことだ。フォーマス。君が勝てばこの依頼はなかったことにする。ただ、このタカキ君はギルド支部長の推薦だ。強いぞ」


「・・・・勝てばいいでしょ?簡単だよ」


 随分と余裕そうだ。


「形式はどうします?」


「一対一かな?」


「うん。それでいいよ」


「俺もそれで構いません」


 両者合意したので決まりだな。


「それでは練兵場に行こうか。ついて来たまえ」


「はい」


 ベルモンドさんが席を立った。俺も他のみんなもそれに続いた。




             ・・・




「ここが練兵場だ」


 連れて来られたのは屋敷の地下。こんなところにこんな広い練兵場を作ったのか。すごいな。ざっと見て中高の学校のグラウンドぐらいの広さはあるぞ。


「ここで戦ってくれ」


「分かりました」


「ああ」


 練兵場の中央に俺とフォーマスは歩いて向かう。そして、中央に行くとお互いに距離を取る。あとは開始の合図を待つだけだ。


「二人とも位置についたな?」


「はい」

「ああ」


「それでは・・・・はじめ!」


 俺の依頼がついに始まった。


 さて、このフォーマス君の裏を暴くかな。



フォーマス 男


種族 ヒューマン


レベル 10


HP:56/56

MP:45/45


STR:44

DEF:43

INT:33

AGI:56

MND:50


固有:なし


スキル:剣術 レベル2

    礼儀 レベル3


魔法:水魔法 レベル2



 このステータスで兵には勝てないだろうからな。彼の影で何かをやってる存在を暴くか。




読んでくれて感謝です。

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