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第42掌 依頼内容



 俺達が屋敷の中へと入ると領主と使用人たちが出迎えた。


「よく来てくれた。私がこのフェルゲンを治める領主のベルモンドだ」


「支部長から指名されました、タカキです。こっちが俺の仲間の」


「リリアスです」


「ダンガだ」


「おお。若いのにそれなりにしっかりしているな、タカキ君は」


「ありがとうございます」


「それでは早速だが、依頼の話をしよう。応接間まで案内するよ」


「はい」


 使用人数名と領主そして俺達と続いた。


 応接間に入って席に着くと依頼内容の確認だ。


「依頼については聞いているかい?」


「受付嬢の方に大まかなことは聞きましたが、具体的なことは聞いていません」


「ふむ。それはいけないね。私はしっかりと依頼内容は伝えていたのだが」


「ギルド、というより俺に依頼を出してきた受付嬢は俺のことが嫌いみたいですから」


「いや、それは冒険者の命を預かる受付嬢の対応としては見過ごせない。後で処罰するように警告しておくよ」


「そうですか」


 俺はそれについて何か言うつもりはない。


「おや?君くらいの歳の子は見目麗しい受付嬢に処罰を・・・と言ったら止めるように言ったりするんだが、君は言わないのかい?」


「先ほども言いましたが、その受付嬢は俺のことが嫌いです。そんな自分のことを嫌っている相手をわざわざ助けようとは思いません。自分の利益につながりもしないのにそんなお人好しじゃないです。それに、自業自得ですから」


「君は面白いね。分かった。それなら遠慮なくギルドに言い渡しておこう」


「はい」


 ベルモンドさんはこっちの人柄を探っているようだ。リリアスとダンガは俺に対応を任せているので会話には参加してこない。


「それでは改めて、依頼内容を教えて下さいますか?」


「ああ。大まかなことは知っているとさっき言っていたから省略するけど、預かった友人の子の性根を叩き直してもらいたい」


「方法は?」


「君たちに任せる。ただし、多少の怪我はいいが、死なせたり、大怪我をさせたりはしないでくれ」


「分かりました。期間は?」


「特にないが、大体一か月ほどで」


「報酬は?」


「ふむ。お金がいいと思うんだが、君たちはそれより欲しいものがありそうだね」


 流石は貴族。こちらの思惑を雰囲気でなんとなく掴んでいる。


「はい。出来ればあなたに我々の協力者になっていただきたいのです」


「ほう。何のかな?」


「詳しくはあなたのお人柄を把握してからになりますが」


「私からの依頼中に見極めると?」


「はい。もし、我々の望む人柄でなかった場合はそちらが出そうとした金銭の報酬の二割減で構いません。ただ、我々の望む人柄だった場合にはお話を聞いてください。その話を聞いて協力してもらいたいと考えています」


「ふむ。それは話を聞いた後にも断れるのかい?」


「はい。話したということはそれだけ信用に足る人物だと判断したということなので」


「・・・・・・分かった。それでいこう」


「ありがとうございます!」


 なんとか話をつけることが出来た。


「それでは依頼が終わるまでの間は我が屋敷に泊まるといい。そちらもその方が都合がいいだろう」


「ありがとうございます!では依頼開始は明日からでもよろしいですか?」


「今からだと何か不都合があるのか?」


「長期の依頼となりますと、一旦宿を引き払おうと考えていますから。それにこちらも依頼の方針などを相談したいですから」


「ふむ。もっともだな。分かった。それでは依頼は明日からだ。部屋の準備もさせておこう。一人に一人ずつ使用人をつけるから明日からはその使用人に頼るといい」


「色々と気を回していただき、ありがとうございます」


「気にするな。仕事の話はこれでおしまいだ。それよりお茶でもどうだ?」


「お誘いありがとうございます。いただきます」


 それから俺達はベルモンドさんとお茶をしてから宿に帰った。




              ・・・




 タカキ達が帰った後、応接間で。


「どうだった?」


「はい。ベルモンド様への悪意や害意はありませんでした。完全な善とは言えませんが、決して悪ではないかと。信頼は向こうの話を聞かないと何とも言えませんが、この段階で信用はしてもいいかと思われます」


「分かった。ありがとう、アメリア」


「はい」




              ・・・




 宿に帰ったら俺の部屋に全員集まった。


「それで?どうするんだ?」


 開口一番はダンガだ。


「最初は子どもを倒せばいいんだろ?」


「はい。その後にどうするかっていうことですね」


「なら、あそこに行こう。三日前に依頼で行ったあの場所」


「あ、あそこですか?」


「ああ。俺もいるし、大丈夫だろ」


 リリアスが若干怯える。まあ、アレにはビックリするよな。流石にヤバイと思って逃げたもんな。


「アレを相手にするんじゃなくて、アレを遠くから見せて、その後に近場のちょっと手強いモンスターと戦うだけだ」


「でも、ドラゴンですよ!しかも、群れの」


「大丈夫大丈夫。俺には新しく掌握した隠蔽スキルがあるから。前回もそれで助かったんじゃん」


「タカキはハンパねぇって再認識したな。あれで」


 ダンガは三日前にあったことを思い出すようにして言った。


「なんなら、俺一人で連れて行こうか?」


「それは危険です!私もついて行きます!」


「勿論、俺もな」


「俺なら大丈夫なんだが・・・」


「ベルルクのように任せっきりにしたくないんです!」


「おう。お前の仲間として不甲斐ないからな」


「リリアス・・・。ダンガ・・・」


 嬉しいこと言ってくれるじゃん。


「それじゃあ、今日は明日に備えて残りの時間は休憩だ」


「はい」

「おう」


「荷物だけは準備しておけよ」


「勿論です」

「当たり前だ」


 それだけ言うとリリアスとダンガは部屋から出て行った。さて、俺もさっさと準備して風呂に入って夕食食べて寝よう。


 今日は会えなかったけど、明日はアメリアに会えるといいな。




読んでくれて感謝です。

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