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開戦の朝
朝靄の鬼ヶ島に戦火の音がにじり寄っていた。
近海に見える超大型空母。鋼鉄の船体に天守閣や本殿、祈祷所など木組みの建造物がこびり付き、歪なる城となって浮かんでいた。
これこそアメノトリフネ。桃源が島取りと鬼退治を成すための拠点。
鳥居並んだ滑走路の奥、社然とした骨組みに囲まれて桃源の巨大なる竜骸が鎮座していた。
対する鬼ヶ島では、相対するように港にて衛士たちが整然と隊列を成す。
その中にはルカの姿がある。正式衛士の装束を身に纏い、かつてと変わらず竹刀を腰に携えている。記憶を失ったルカの代わりに過去の鬼力を遺し続けた得物は、強い輝きを秘めていた。
金童子が衛士隊の前に立つ。
確固たる姿勢のままに大きく息を吸い、轟々と激を入れる。
「記憶の一片すら、次の生命のために灯せ」
衛士たちは身を正したままに静かに奮い立つ。
「我ら護島の衛士、島は我らの記憶、我らが生命」
ルカにも迷いはない。
記憶を失っても護りたいものは変わらない。夢も、願いも、消えたりしない。
この島を、みんなを守る。
「死んでも、生きよ」




