表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/35

22話目 旅団基地を目指して

これでよしっと。漸く出かけられるわ。


「アマデオさん、行きましょう。風見鶏に案内して。」こそ

「わかった。こっちだよ。付いて来て。」こそ


彼と私はゲストハウスを遠巻きに回り込むようにゆっくりと歩いた。

外は数人の警備の者が建物を巡回していたが、誰も私たちに気付く者はいなかった。すごいわこの妖精の遮蔽の首飾り。


「ここだよ、僕の脇に立っていて。」

私は言われた通り彼の横に立った。

そして、巡回の者が周りから消えた隙に彼が風見鶏を発動した。


光の靄が消えて、王都のゲストハウスの玄関先から、城壁都市の石造りの部屋に転移してきた。

意外なことに、部屋の外には守り人はいなかった。


「油断しすぎだと思うな。

王城のゲストハウスの風見鶏が発動するとは思っていないようだよ。次に行こう。」こそ


私たちは今度は特一風見鶏の村に繋がっている風見鶏の部屋を目指した。

どうも目的の部屋は一階下らしい。


城壁都市の風見鶏を利用する者は余りいないらしく、時折守り人が風見鶏の各部屋を巡回に来る程度の人通りだった。

その上、城壁都市と風見鶏でつながっている町は限定されているために、風見鶏の部屋も守り人の数も王都の風見鶏施設に比較して限定されているような気がした。


「城壁都市はが外敵が王都に最も早く移動できるところなのに、守り人がこれしかいないとは。」ボソ

「ここの感想は後にして。」こそ

「ごめん。」こそ


誰にも見つからずに、何度か使用した覚えのある、特一風見鶏の村へ転移できる風見鶏の部屋にたどり着いた。

守り人は2人いたがどちらも疲れて、けだるそうだ。

交代の時間が近いのかもしれない。


でも、扉を開けて風見鶏を起動したらさすがに守り人に気付かれそうだ。

"首輪に歌えと念じてちょっとだけ魔力を流すと、眠りの歌が2分間だけ流れるそうよ。トレントさんが言ってたわ。"


"あっ、おかんストーカーだ。でも、教えてくれて、ありがとう。"

"ほんとにストーカーだわね、これでは。"


私はストーカーさんのボヤキを無視して、首飾りに眠れと念じて魔力を流した。

そうしたら、もともとけだるそうだった守り人はそのまま崩れ落ち、寝息になった。


「今の隙に行きましょ、特一風見鶏の村へ。」こそ

「これはいったい。」ぼそ

「気にしないで、行くわよ。」


私たちは急いで風見鶏を回して、特一風見鶏の村に転移した。


ここでも、守り人がけだるそうにしていたが、気付かれるのを避けるために、首飾りに同じように歌ってもらった。

特一風見鶏の守り人も見事に寝息を立て始めてしまった。しかし、立ったまま寝ているところはさすが人類領との最前線にいる戦士だわ。

当然、私にはその歌声と言うものは聞こえないのだが、それは首飾りを首に下げているためだと思った。

歌が聞こえたら確実に私も眠っているのだろう。しかも、床に横になって。


守り人さえ、突破してしまえば、首飾りの隠蔽の効果でだれにも気づかれずに村を縦断し、通り抜け、特一風見鶏の施設にたどり着けるはずである。


私たちは姿が見えていないとは思ってはいたが、こそこそ村の端っこを移動して、漸く特一風見鶏の施設にたどり着いたのだった。


ここにたどり着く前に、例の集会場の前で村長の奥さんがトレードマークのお玉を振り回して、近所の奥さん相手にシュウだの、エリナちゃんだのとなんやら熱く語っていたのには肝を冷やした。訳のわからんエルフおかん特殊能力で、見つかったのかと思ってしまった。

しかし、こんな夜まで井戸端会議とは。


きっと、シュウの甲斐性なしについて熱く語っていたのだろうと思いたい。

他のエルフおかんが甲斐性なしに効く薬でも知っていればありがたいなぁ。


そんな熱い語らいに期待しながら、またしても、首飾りに歌ってもらって、特一風見鶏の守り人兼出国審査官兼入国審査官兼税関担当官兼食堂のおじちゃん兼売店の売り子さんに眠ってもらった。


2人でいくつものお役目ご苦労様です。


仕事がほとんどないないので、すこし眠ってもらっても給与査定に影響はないですよね、あるなら、申し訳ないです。

まぁ、どうせ誰も見ていないか。

あっ、決して、役立たずとは思っておりませんので、目覚めたらお務めの続きをお願いいたします。


こうして私たちは、魔の森から第1081基地まで誰にも、全く気付かれずに移動した来たのだった。


朝は張り切ってここを出てきたのに、夜にはこそこそ帰ってこなくてはいけないのはなんだかなぁ。

しょうがないけど。


私は旅団の宿舎に入り、まだ一度も使われたことのない、ゲストルームに彼を案内する。


「町の運営者と話をしてくるので、この部屋で待っててくれるかなぁ。

今は誰もこの宿舎にはいないので、気にする必要はないわ。

ただ、王都と違って寒いので、一応暖炉には火を入れるけど、それでも寒かったらベッドに潜ってて。

疲れているでしょ、寝てても良いわよ。」


そう言って私は覚えたての炎魔法で、暖炉に積んである薪に火をつけた。

明かりは、まぁ、いいよね。暖炉の火で。


「ありがとう。なんだか眠いや。」

「それじぁ、行ってくるね。ゆっくりしててね。」


私はコートを羽織り直し、外に出た。

じいさんはどこかしら。

きっと同じように暖炉を使っているだろう。

探知魔法で、暖炉の炎を探す。


あった。

結構広い基地の中で、今、炎を使っているのは数か所あるようだ。それでも一つの建物の中に限られているようだ。

旅団の宿舎以外で使っているのは、ええと、あの建物ね。

あれは確か軍の士官の宿舎ね、元が付くけど。


私は士官宿舎の方に足を向けた。

王都と違って、あの風の聖地のように寒い。

手袋がないので手がかじかんでしまいそうだ。

ちょっとだけ手の周りの空間を炎魔法で温める。

シュウと風の聖地に行く途中で空間を温める魔法の練習をしておいてよかった。


私は目的の宿舎の玄関のドアを開けて、リビングの方に向かう。

そこにじいさんを含めて3人がいることは探知済みだ。

何か話し合っている声がリビングのドア越しに廊下にいる私にも聞こえてきた。

士官の宿舎と言えども私たちの旅団宿舎、元将官用宿舎と違いやっすい作りなのかもしれない。


私はノックして、「失礼します」と言ってリビングのドアを開けた。

私室ではなく共用のリビングなので了解を得る必要はないだろう。


「どうぞ」と言うじいさんの声に釣られて私は足音を伴って中に入って行った。

やっすい床に私の足音が良く響く。


そう、足音だけが響いたのだ。


「ギャー、おばけぇぇぇぇぇ。」

「こっちこないでぇぇぇぇ、祟るならじいさんだけにして、足りないのなら秘書官も付けるから。」

「おっ、俺は祟られることなんてしていないぞ。

エレンだったら、心当たりがある過ぎるだろうけどな。」


「ちょっとサッちゃんひどくない。

孤児院の先輩として、アンタとじいさんが祟られることを命ずるわ。」

「ちょっと、秘書官殿。ここは老い先短い方から祟られるべきだと思うであります。」


「だれが老い先短いだって、じいさんに比較したら誤差範囲だわ。

だからサッちゃんが前に出なさい。私の盾になるのよ。

骨は拾ってあげるわ。祟られて骨が残るならね。」


活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


感想や評価、ブックマークをいただけると励みになります。

よろしくお願いします。

もちろん、聖戦士のため息の本篇の方への感想、評価などもよろしくお願いします


この物語「優しさの陽だまり」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。


第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。


「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」

の本編はシュウを中心として、月の女王に会いに。

「優しさの陽だまり」はエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都へ。

もう一つは駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。


この物語ではエリナの王都での活躍をお楽しみください。

また、この物語は本編の終盤に大きな影響を与える物語となる予定です。


10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。

この物語も「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。

「優しさの陽だまり」の前提ともなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ