21話目 脱出
「さっ、急ぎましょう。
まずは、王都の風見鶏の施設に行って、マドリンへ、そして風の聖地突風待機施設、城壁都市、特一風見鶏の村、最後に目的の第1081基地ね。
転移の回数を重ねるのはそうでもないけど、ここから王都の風見鶏施設まで行くのがめんどいわね。」
「それだったら、ゲストハウスから直接城壁都市に行けるはずだよ。
ゲストハウスを使うのは人類の貴賓だけだから、城壁都市から王都へ移動しなくても済む様にゲストハウスのもう一つの玄関、王族と族長会議の建物と繋がっていない方の入口に風見鶏があるんだよ。」
「えっ、そんな話、カロリーナさんはしていなかったわよ。
今日も特一風見鶏の町から転移を重ねてここに来たんだもの。」
「カロリーナさんぐらいの立場の人はそのことを知っていると思うんだけどな。」
「ああそうか、風の聖地に寄る都合があったからそんなルートを取ったんだったわ。」
「それじゃ行こうか。ゲストハウスにいる者たちに見つからないように、用心して。」
「風の遮蔽の魔法は使えないかしら、使えるならありがたいんだけど。
見つかりそうならソニアちゃんに事前に連絡を入れて置けば、見つからないようにするのを手伝ってもらえると思うけど。」
「遮蔽の魔法はちょっと厳しいかもね。
警備の者であれば僕のことをしっているだろうから、王族と族長会議に報告は行っても、行く手を遮るようなことはしないと思うよ。」
「特一風見鶏の村でも私のことを皆さん知っているので、特にとがめられることはないと思うわ。
そうすると問題は城壁都市ね。」
「あそこの守り人の警備は一番厳しいから事前に王族と族長会議の関係者か特一風見鶏の幹部から連絡がないと、必ず留められて、転移する訳をいろいろ詮索さそれるかもね。
その上、風魔法の遮蔽に対してはエルフ領では対抗魔法の探知がほとんど皆が使えるから意味がないしね。」
「闇魔法か黒魔法の隠蔽系の魔法が使えれば良かったんだけど。
旅団の闇の小隊はシュウについて行っちゃったし。どうしようか。」
"光のお方様、この魔道具をお持ちください。
この妖精系の遮蔽魔法を組み込んだネックレスであれば風魔法の探知では見つけることができませんので、エルフ族はそれを付けた者を見つけることはできません。"
トレントさんの念話が終わると、目の前の地面にツタでこしらえた輪っかのようなものが二つ現れた。
ツタのところどころに葉っぱが付いていて、草と木の首輪の様だ。
"これを首にかけると魔法が発動し、見つけられなくなりますよ。
外すと魔法が解けます。
また、ネックレスを持った者は他のネックレスを首に掛けたもを認知できるように調整しました。"
"トレントさんありがとう。"
「この草木の首輪を首に掛けて見て。」
そういってトレントさんの贈り物のネックレスを彼に掛けた。
あっ、確かに全然見えないし、風の探知魔法で探ってもわからない。
「その首輪を外してみて。」
次の瞬間、彼の姿が現れた。
凄い贈り物だ、これを掛けていればすぐとなりにいても触れたり声を出さなければ全く気がつかないわ。
「その首輪を私に渡して。」
私は首輪を受け取り、首に掛けた。
「えっ、エリナさんどこに行ったの。僕を置いて突然、消えるなんて、もう見捨てるの。」
"こいつもかなりの甲斐性なしだわね。"おとなしく事の成り行きを観察していたおかんストーカーさん
全く見えていないようね。
私は首輪を外した。
「そこにいたんだ、良かった。見捨てられたかと思った。」
「うふふふ。今のところ見捨ててはいないわよ。
でもあまり情けないことを言うとゲストハウスの交流会のど真ん中に放り込むかもよ。腹を決めなさい。」
「ごめん、もう騒がないよ。」
「それでいいのよ。この草木の首輪は妖精魔法の遮蔽を発動するものなの。
これを首に掛けている間は、同じ首輪を持ち物以外にはまったく見えないらしいの。
これを付けていれば誰にも気づかれずに旅団の基地に行けるわね。」
「この首輪はどうしたの。こんなの持っていたっけ。」
「この首輪はあなたのことを心配して見守り続けているある妖精さんが届けてくれたものなの。
これ以上の詮索は時間が惜しいのでなしにして。
さぁ、出発しましょう。妖精さんありがとう、行って来ます。」
「わかった、行こう。妖精さんありがとう。」
"良かった、彼の目に決意の光が宿ったわ。
初めて見た彼の希望に満ちた顔。
もう絶望の目をしてここに戻ってきてはだめよ。"
"大丈夫だと思うわ、トレントさん。
彼には光の公女、そして、輪廻の会合に集いし者どもが付いていますもの。"
"光のお方は光の公女様と言うのですね。
あの方にあのネックレスを渡せてよかった。きっと、役に立ってくれるでしょう。"
"そうねぇ、姿を隠して無事に人類領に行くには大事なアイテムよね。"
"それだけではない、もっと大きな贈り物が待って居るような気がしています。"
"もっと大きな贈り物って何かしら。"
"二人を見守っていればわかると思います。
私は年老いたのでここより動くことができませんが、風の大精霊様、彼らの行く手を見守ってくださいませんか。"
"う~ん、本当はソニアちゃんの隣についていたいけど、いいわ、トレントさんのお願いだものしばらく後をついて行ってみるわ。
なんか本格手派のストーカーになって来たわね。"
"うふふふふっ、良しくお願いします。"
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トレントさんの眷属が照らしてくれる緑の蛍光色の道をたどってゲストハウスの前に来た。
「ちょっと待ってね。ゲストハウスの仲間に連絡を入れてから、風見鶏で転移しましょう。」
「わかった、大人しく待っているよ。」
"ソニアちゃん、聞こえる。"
"あっ、お姉ちゃんだ。もうとっくに交流会は始まっているよ。"
"王族にはご挨拶できたの。"
"ちゃんとできたよ。皆を紹介してもらったよ。
伯父さんも伯母さんも、優しい人だったよ。
お母様の小さい頃の話とかを聞いたいたところだよ。
お料理もおいしいよ。早く戻っておいでよ。一緒にエビチリ食べようよ。
ちなみにお菓子は食べていないから。お菓子の前にやつが陣取って仁王立ちしていて全く近づけないから。"
"やつて、おかんでしょ。
しょうがないよ。
お菓子をこれ以上食べたら、正座説教一晩中充実した夜に致しましょう特別コースになるのは間違いないわね。"
"何その得体のしれないお説教コース。大丈夫よ、奴には近づかないから。
それよりお姉ちゃんの方はどうなの。アマデオ君は生きてた。"
"生きていますよ。それよりも頼みがあるんだけどいいかな。"
私は魔の森での出来事、彼を旅団の基地に今すぐ連れて行くことを伝えた。
"それじゃぁ、まずは彼は無事で、お姉ちゃんの持って行った食料もちゃんと食べたと。
だけどグズグス言って森から出てこないのでお姉ちゃんは彼を連れ戻す説得をするために魔の森に一緒に居ることにすればいいのね。
そして、多分今晩は帰らないと。
わかったわ、メイドさんとリリアナさんにはそう伝えるわ。
あっ、タイさんとアイナさんには本当のことを言うわね。"
"ありがとう。それでいいわよ。
それと明日にリリアナさんにすべてを伝えるので、時間を取ってほしいとだけ言ってほしいの。これは死神さんの指示でもあるわ。
それじゃぁ、基地に行ってくるわね。よろしくね。"
"お姉ちゃん頑張って。私もメインゲストとして交流会を続けるわ。
こちらのことは任せて。"
さぁ、人類領に戻りましょうか。
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
お話に興味がある方はお読みくださいね。
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この物語「優しさの陽だまり」は「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。
第108旅団の面々は3つのパーティに分かれて行動することになりました。
「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」
の本編はシュウを中心として、月の女王に会いに。
「優しさの陽だまり」はエリナを中心としたエルフ王族の寿命の調査にエルフの王都へ。
もう一つは駄女神さんを中心とした風の聖地の運営に。
この物語ではエリナの王都での活躍をお楽しみください。
また、この物語は本編の終盤に大きな影響を与える物語となる予定です。
10/5より「死神さんが死を迎えるとき」という別伝を公開しています。
この物語も「聖戦士のため息 トラブルだらけですが今日も人類が生きてく領域を広げます」の別伝になります。
「優しさの陽だまり」の前提ともなっていますので、お読みいただけたらより一層この物語が美味しくいただけるものと確信しております。




