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79話 伸びちゃう

♢♢♢



風呂から上がってリビングに戻ると、愛梨がソファに仰向けに寝転んでスマホをいじっていた


「風呂空いたぞー」


「んー」


現代人は一度スマホをいじると止まらない。俺もそうだが今はスマホがないしな


「おーい。湯が冷めちまうぞ?」


「んー」


完全に集中してるな…俺が言っている事なんて1ミリも頭に入ってなさそうだ


「おまえもしかして俺に脱がしてほしいのか?」


「んー」


「じゃ脱がすけど怒んなよ?」


「んー」


完全に心ここに在らずなんだが…ウチの妹大丈夫か?


愛梨は家ではラフな格好がほとんどで、今は白いTシャツに黒いデニムの短パンだけだ


靴下は履いてないみたいだし短パンから脱がすか


俺はなんの違和感も感じさせない足取りで、愛梨に近づいてソファの端に座った


「じゃ脱がしていくなー」


「んー」


「オラヨォ!」


許可が出たので、遠慮なく愛梨の短パンに手を掛けて勢いよくズボンをずり下ろした


「ちょ!えぇ!?な、なにしてんの!」


何と許可を出した本人が驚いて俺を非難してきやがった!そんなの許される訳ないのにな


「おまえまだそんなパンツ履いてんのかよ。ルナを見習えよな」


愛梨はブサクマがプリントされたパンツを履いていて、俺が見続けていると両手で隠してしまった


「いや見習うとかそんなコト今はどうでもいいから!何脱がしてんのばか!あほ!」


「だっておまえから許可貰ったしな」


「あげてないし!いいから短パン返してよ!」


寝転んで抗議していた愛梨は、俺を押し倒す勢いで飛びかかってくる


しかしこんなにも情熱的に迫る愛梨を拒否するなんて事、俺にはできなかった


なのでここは押し倒されることにする


「いって。おまえ俺の事好きすぎるだろ。パンツ丸出しで俺に座るなよ」


「…あれ?短パンドコ?なくない?」


兄妹だから俺に乗っかることになんの抵抗もないんだろう。短パンの行方だけを気にしていた


「俺のトランクスの中だ」


「えっ…いつの間に?…キモッ…」


もちろん嘘だ。短パンはソファの裏に投げた。だから愛梨がソファから降りて確認すればーーー


「おまえは何をしている人なんですか?」


だが案外冗談が通じなかった


「…ざこにぃって生粋の屑じゃん?返して欲しかったら上も脱げとか言うんでしょ?」


愛梨は腕をクロスにしてシャツの裾を掴み、そのまま勢いよく頭の上へと脱ぎ取っていった


「いやおまえな。そんな下着姿で俺に跨るとか恥ずかしくないのか?」


「全然恥ずかしくないけど。ほら脱いだんだから早く出してよね」


「いや出せって言われてもな。投げ「もー!」


俺が言い訳でもしている思ったのか、苛立ちのあまりか声が次第に大きくなる


「もうめんどい!脱がすからジッとしてて!」


愛梨は乗っかる位置を少し太ももら辺に移動して、俺のズボンをずり下ろそうと引っ張ってきた


「ちょおまえやめろって!俺が悪かったから!」


ガチャッ


「二人とも何してんの?………えっ…え?」


扉が開いた音がして振り返ると、ルナが驚いた表情をして固まっていた


まぁそりゃ驚くよな。愛梨が下着姿で俺のズボンを必死になって脱がそうとしてんだから


「あっ!ルナちゃん!ざこにぃのズボン脱がすの手伝って!」


「えっ…なんで愛梨ちゃん下着だけなの?」


「コイツが勝手に脱いだ。あとソファの裏にある…っゔ!いてて!いや痛いって!」


股間が痛過ぎて視線を向けると、愛梨がズボンの上から俺の息子ちゃんを力強く掴んで引っ張っていた


「おい愛梨……俺に地獄見せる気かおまえ…」


普通感触で気付かないか?…俺のチ◯コ引っ張ってもズボンは降ろせないぞ?


「もういいからはやく出してよ!」


「そ、そんなにれんれんに出して欲しいの?…」


「いたいって!おまえ掴んでるトコよく見ろよ!伸びちゃうだろ!」


「そりゃズボン引っ張ってるんだから伸びるでしょ!」


「いやズボンじゃなくてな!」


「…あっ!」


俺の発言を聞いた後、ルナが何かに気付いたような声を上げた


「愛梨ちゃんやめて!そんなに引っ張ったら伸びちゃう!それまだルナが使うんだから!」


「いやおまえ使うとか言うな。ズボンだよな?」


こんなムダなツッコミもしている間にも痛みは続くんですけどね


「ん?何これ」


近寄って来たルナが手にしていたのは、ソファの裏にあった愛梨のズボンだった


「あっ…そんなトコにあったんだ。ざこにぃの嘘つき。バカ、アホ」


「………もういいから退いてくれ。はよ風呂入れ」


「はーい。見つかったらスッキリしたしお風呂はいろー。ルナちゃんありがとね〜」


「う、うん…」


それだけを言い残して愛梨はそそくさとリビングから出ていった


「…ったく愛梨のヤツ…」


股間をいじめる悪魔が居なくなったので、俺は体勢を起こして背もたれにもたれ掛かるようにして項垂れた


「いってぇ…」


「大丈夫?…」


こんなくだらない事でも心配してくれるとはな…


「大丈夫だ…」


そのまま首を下げて目を瞑っていると、頭を優しく撫でられる感触がした


「よしよし、頑張ったね〜。えらいえらい」


「なにしてんだよ…」


「えっ?頑張って痛みに耐えたから?…」


この体勢だと表情は全く見えない。でも善意しか無さそうだし甘えとくか…


「…まぁ…ありがとな」


高校一年に頭撫でられるって…恥ずかしすぎるが

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