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51話 ホームランちゃん


「そ、そんなに見つめてどうしちゃったんですかぁ〜?やっぱり私の頭を撫でれなくなるのが惜しくなっちゃいました?…」


俺の手がこの子の頭の上で止まってるからそう思ったのか。だが違う。今俺の手が止まっているのは…



ーーそう。なんとかしておまえを分からせられないか思案しているからだ



まるでチ◯コ挿ってるかの様な対面座位で、俺を逃がさないように腕を絡ましていたのはおまえだったか


だが何故そんな事を?おまえの中では、俺には彼女が居たんだろ?……んー女の子って分からん……


「あ、あの…ホントに見過ぎです…」


若干ドン引きしてるの傷つくな……


「なぁおま………ん?…」


な!……ンダト!…


手に違和感を感じて後ろを振り向いたら俺の手のひらを頭でコツン コツンしてるんだけど!


しかも"はやく撫でほちいー!"みたいな上目遣いがまさしく俺にはダイナミック バースト


そっか……ずっと頭上でお預けくらってたもんな。だけどあともうちょっとだけ我慢してくれ


「なぁ西城。さっき"他の子を抱きしめたり頭撫でたりしていいんですか?"って言ったな?」


「い、言いましたけど?…」


そう、簡単だ。ここにはルナも黒瀬も居ない。だからこそ西城を追い詰められる


「おまえの"抱きしめたり"って言うのは一体誰の事だ?…」


「ッ!…そ、それは…」


自分の体験を口にしたのが仇になったな。俺の勝ちだ



「俺があたかも女の子を抱きしめた事がある様な言い方だったよな?確かに抱きしめたぞ。休憩室で寝ているおまえを抱き枕みたいにな!」



寝ている間に自分がした事を俺は棚に上げている。ツッコまれたら即負けだな…


「ッ…」


「でもおかしいな?なんでおまえがその事実を知ってるんだ?……あ〜寝たフリしてたのか?」


「…そ、それは……ご、ご想像にお任せします」


「なら寝たフリして、体勢を対面座位みたくしたのは西城って事になるな…」


「し、してません…そんなはしたない事…」


後少し…あと少しで分からせる事ができる


「でも想像に任せるって言われちゃったからな〜」


フハハ 俺の勝ちはすぐそ「佐藤くん…」


「…へ?なんだ?…」


俺の苗字…だと?……


あ……ネームプレートか


「寝ている女の子を抱き枕みたいに抱き寄せたの?」


まさか、西城に助け船……なのか?


「…………えっと、まぁ…」


気付けばホームランちゃんは頼んだ品物を食べ尽くしていて、俺の目を見つめていた


「…それと…私は女の子に含まれないんだ…」


どういう事だ?なんでそうなった?


「えっと、なんでそう思うんだ?…」


「だって…私のことは抱きしめた事にカウントされないんだもんね?…」


な、何を言ってるんだってばよ!?ホームランちゃん。俺たちは初対面だろ…


「あっー!先輩が嘘ついたー!やっぱ私以外の女の子抱きしめてたんじゃないですかー!」


コイツ…めっちゃハイスピードで便乗して来やがった。しかも棒読みすぎ。もうちょっと頑張れよ


「いや、何が何やら……」


まさかホームランちゃん…西城が詰め寄られているのを見て、嘘をついてまで味方してあげたのか!?


ーーなんていい子!


「ホームラ……じゃない。君の名前は?…」


「……もう教えた……ので帰るね…」


もう教えたってなんだ?…


ホームラ……じゃない。女の子は悲しそうな表情を浮かべて席を立ち、お会計にいってしまった


いつの間にかお会計に居た店長が、会計を済まして溜息を吐いていた


お金を落としてくれる常連さんを不機嫌にしてしまった事の溜息だろう……いやごめんて


だがこのままでは終われない。短期バイトだしどうでもいいやとも思っていたが、彼女はいい子だった


「待ってくれ!ホームランちゃん!」


やべ今なんか余計な言葉が口から出た気がするわ


でも女の子は扉の前で止まってくれた


「ゴールデンウィーク明けに…撫でてくれたら…その、…許す…ね?…」


カランカラン


ホームランちゃんは、その一言だけで扉を閉めて立ち去っていった…


「ホームランちゃん……」


めっちゃ心優しい子だ。…でもちょっとチョロいのが心配だな。黒瀬に通ずるものがあるわ


あとゴールデンウィーク明けたらボクココ居ません…


「ブフゥ……ほ、ホームランチャー?ロケットランチャーの改良型かなんか…プッ…ですか?…」


俺の後ろで腹を抱えて笑い転げている奴がいる。うん。全部おまえの勘違い発言が発端だけどな…



この後も客は数名きた。だがホームランちゃんが帰ってからの西城はめちゃくちゃ上機嫌だった


そして俺は西城を分からせる材料を失った


トホホ


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