47話 バーサーカーソウル
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「よっこらせ」
窓際の対面席に遠慮なく座る。金を払ったから今の俺はお客さんだしな。ババアもお客さんだが……
しわしわのおててを見て思う事だが、80歳は超えている。しかも手元にあるタロットカードの束が……
古すぎる。しかも有料だしガチ感がハンパない。…直感で感じる事だが…コイツの当たるんじゃないか?
「それじゃやろうかね。クソガキの言った通り、どんな結果でも1回さね…」
クソガキとか言うなって思ったが……まぁ確かにコイツからみたらクソガキか
「信じてないけど金払ったんだから見てやるよ」
俺はバイト中に何やってんだ。しかも店長と西城までテーブルの前に来てるし……
「羽蛾さん…程々に……」
このババアは羽蛾っていうのか。興味はないが……
「先輩がぁんばれっ!がぁんばれっ!ファイト!」
その飛び跳ねながら応援するの久々に見たな。胸がアホみたいに揺れてるからやめれ…
「頑張る事なんて何もないっての。1000円で暇潰ししてるだけだ」
西城のお胸ちゃんから視線を対面に戻すと、ババアはしわしわの指先で22枚のカードを切っていた
「好きなタイミングで止めな……」
「そこで止めろ」
こんなもんは即答だ。サッサと茶番を終わらして帰ってもらおう
ババアは黙ってカードを1枚、俺の目の前に置いてきた。もちろん裏向きだ
「めくりなクソガキ」
狙うは太陽の正位置。なんなら逆位置でもいい
妥協で星ってところだな。星は"希望の光"って言われるくらい縁起がいい。それと死神は見たくない
「やってやんよ餃子」
俺は自然な動作でカードをゆっくりとめくった
ーーコレまた意外なカードだな。でも最悪だわーー
「…逆さまに吊るされた男の人ですね。意味は?」
そう言って西城は促すようにババアに視線を向けた
「己の過ちを理解し、罪滅ぼしの為に罰を受け入れる。そして終わるまで耐え忍ぶ。という意味さね…」
1枚しか引けないのに吊るされた男とか運が悪すぎる。……縁起悪いとかってレベルじゃないぞ
「…俺が罪を精算する時が来るって事か?」
ココに引っ越す前の話してるのか?ルナには適当に誤魔化したが。……いやそれ以前に…
この俺が…耐え忍ぶだと?…誰かに好き勝手されて奴隷みたいにイジめられるって事か?ありえんな
間違いなくハズレだ。まずそんな状況にはならん
「うっひゃひゃひゃひゃ。勝った気分さねー」
質問に答えろよコイツ…こっちは金払ってんだぞ。そもそも1000円で1枚しか引けないとかどんなだよ
ムカつくしもう一枚ひいたれ
「何勘違いしてんだ。まだ俺のバトルフェイズは終了してないぜ!」
「えっ…先輩。な、なにを…?」
「な、なに言ってるさね…もう終わりさね…」
俺は静止を無視して山札からカードを引いた
「さぁ!いくぜ!まず一枚目!ドロー!モンスター…
……だが俺は硬直してしまった…いやマジかコイツ
俺が手にしたモンスターカードは吊るされた男だった。…うんやってるわコイツ。なら俺もやったんねん
俺はババアの頬に素早くビンタを繰り出した。無論コレは1000円を踏み躙った罰だ
ベシィッ!
「はぶっお゛!」
「ちょ!せ、せんぱ「2枚目ドロー!!」
吊るされた男だった………うん。全部コレだわ…
「モンスターカード!」
ベシィッ!
「へぶッそ゛」
「3枚目!……」 うん。吊るされた男
「モンスターカード!」
ベシィッ!
「ほんぎぃッ」
「ドロー!モンスターカード!ドロー!モンスターカード!ドロー!モンスターカード!」
ベシィッ! ベシィッ! ベシィッ!
「おぐひぃぃ…ぷぎぃぃいっんゴォ!」
まだまだ1000円の怒りはこんなもんじゃない。俺のか弱いメンタル傷つけやがって……
「ちょ、先輩辞めてください!羽蛾のライフはもう0ですよ!あと古いですって!」
気付けば西城が俺の腕を押さえつける様に抱いていた。可愛らしいおむねちゃんが当たってるんだが…
「はぁ…はぁ…はぁ…分かったよ」
♢♢♢
「ありがとうございましたー」
カランカラン
詐欺ババアは何も言わずに帰って行った。少しやり過ぎたか?まぁ追加で1000円あげたし許して
俺が少しだけ反省していると、店長は羽蛾のおばあちゃんを追いかける様に出て行った……
ん?…どうしてだ?
♢♢♢
「相変わらずフォローまで上手にこなしますね。羽蛾さん……」
「なんのことさね……」
「全部のカードをいつ同じカードにすり替えたんですか?…」
「……クソガキの表情を見て、こりゃいかんと思ってね。カードに視線が集中している間に……ね」
「あともう来ないで下さい」
「…………」




