表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/47

25 『ベッドの上』

目が覚めるとベッドの上だった。


夜なのか暗い。


蒼い夜の空気に朧月夜おぼろづきよのオレンジ色の光が揺らめき、

そしてテーブルに置かれたランプのささやかな光源が消えかかってるのか

明滅しながら部屋を照らしている。


虫の声がする。


窓を見る。

満月に霧が掛かる。

黒い雲が流れる。美しい夜だと思う。


テーブルをもう一度見る。

ランプだと思っていたのは取ってきた赤真珠だった。

レアの桜真珠も一つどけてある。

ホタルのように光が強くなったり弱くなったりしてる。



――夢では無かった。



横を見る。

なんかすげー可愛い女の子がベッド脇に座ってうつらうつらしてる。


誰だろう。


すげー美少女。

エイプリルに匹敵するクラス。

黒い髪のツインテールの、胸の凄い大きなメイドさんだ。

……あれ。なんか知ってるような。


かくん、と少女の顎が落ちてもっかい顔が上がった。

顔が途端に仮面に変わる。ミムさんだ。


一瞬だけ可愛い生身の娘に見えたのは気のせいだったようだ。

お面が光の加減でそう見えたらしい。


手を伸ばしてミムさんの髪をく。さらさらして気持ちが良い。

よく手入れされている。ミムさんはお面の姿でも可愛いと思う。

看病してくれてたのかな。

成り行きで仮城主になっただけで皆やさしすぎると思う。


「おやすみなさい」

起こさないように小声で挨拶して再度寝る。


上着ぐらい掛けた方が良いのやら。

でもスケルトンに寒さとか関係あるのだろうか。

でも寝てるというのは身体的な活動があるんじゃなかろうか。



寝ながらもんもんと考える。

頭の中のウィンドウは閉じて隅っこに追いやってる。

ただ一瞬見えた文字が重い。



ああ、もっと凄いチート力が俺にあったらなあ。



――プレイヤーの選別は重要。弱いプレイヤーは役立たず。


過去にエイプリルが言った言葉が突き刺さる。

切り札で無力化した相手は吸血鬼の王だった。ハメ技は上手くいったと思う。


影縛シャドウバインドで動けなくして火の魔法で焼き切る。

相手がコウモリに変わろうが灰になろうが効果は続いていた。

切り札は確かにチートだと思う。

本来は最初の影縛が当たった時点で勝ちだったはずだ。


あの時点では悪くない展開だったと思う。


最善手が他にあったとしても悪手ではなかったはずだ。

それでも殺せなかった。結果は勝てずに魔女の力で押し切られた。


エイプリルが当初呼ぶ予定だった王の血を引く勇者、魔法と剣が当たり前の世界から呼ばれる勇者ならきっとその手合の対処も出来ただろう。

己が貰った各種チートも元々呼ぶ者へ与えるような事を言っていたし、自分以外だったら上手く行ってただろうな。


切り札の効果が切れてるのは感覚で判る。

灰の状態でも喋ってたやつだ。もう復活してるだろう。

つまり不死の相手を殺せる手段を見つけないのなら、沼の魔女を倒さないとゲームには勝てない。

あの沼の魔女も不死ではないという証拠がない。


やはり他の勇者に交代して貰うのが一番なんだろう。


――でも。



「悔しいなあ」

仇は討ちたいのである。


「伝説の武具の主に俺もなれれば良いのに」

ミムさんを起こさないように部屋の闇に向かって言ってみた。

何故そんな事を言ったのか判らなかった。


言葉にした途端、鍾乳洞での会話を思い出した。


――暗がりにいつの間にか影が来て喰われるかも知れませんよ。



赤真珠の光が作る影がなにか恐ろしいものに見えた気がした。

うとうとしながら真珠の影が血に変わり、そして血が黒く乾くと影がくるんと回るのを見た。

紐をり合わせるように蛇に変わりベッドの下へと潜り込んできた。





それを見ながらいつしか眠りに落ちた。




無数の手でベッドに引きずり込まれるように黒い夢へと落ちて行った。



ブックマークと評価、感想はありがたい事ですばい。

どすどす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ