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第1話 出会いは簡単なことから

はあ。途方に暮れ、空を仰ぐ。辺りはすっかり暗くなり、星が無数にまたたいている。一人の少年が、その閑散とした道に佇んでいた。

 彼の名はシェラン。何故こんな場所で途方に暮れているのかというと、居場所というものを失ってしまったからである。

シェランは孤児である。身寄りのない彼は、とある才能を買われ、事務所で育てられていた。その才能とは、音楽の才能であった。彼は、作曲も作詞もでき、その上歌も得意だった。しかし、彼の作る歌は世間の嗜好にあわず、あまり売れなかったのだ。不景気な世の中では、事務所も売れない歌手をいつまでもおいておくことはできない。結果、彼は事務所をクビになってしまったのだ。


 ふと、看板に目が止まる。料理店の看板のようだ。いくつかの写真とともに、名前が載せてある。しかしシェランは、値段のところに注目していた。安い。こんな値段で採算がとれるのかと疑問に思ってしまうほどだ。半信半疑だったが、シェランは足を踏み入れることに決めた。彼はできるだけ、経費を抑えたかったのだから。


 店内は暖色を基調とした、明るくて落ち着いた雰囲気であった。客の楽しそうな会話が聞こえる。そのうち、店員とおぼしき少女が出てきた。

「いらっしゃいませ。お一人様ですか?」

シェランはそうだという返答をする。現れたのは15、6歳の少女で、茶髪は腰にかかるほど長い。シェランはカウンター席に案内された。ふと、シェランはこの少女のほかにだれも店内にいないことに気がついた。注文を聞いているのも、料理を作っているのも、片付けや掃除をしているのもこの少女であった。

 シェランはひとまずメニューに目を通した。やはりどの料理も安い。野菜と肉をスープで煮込んだ料理を注文してみる。それを受けた少女はパタパタと奥へ消えていった。

 運ばれてきた料理は暖かいスープとほかほかのご飯だ。外の寒空を考えれば、これはありがたかった。スープを少し冷まし、一口のどに流し込む。肉か何かのだしと塩・砂糖だけというシンプルな味付けでありながら、うま味がつまっている。煮込まれた材料は甘味が出て、本来の味が引き出されている。加えて、ご飯とも良く合う。シェランはグルメではなかったが、素人なりに満点をつけても文句無しだと思った。

 おそらくそのおかげなのだろう、店内は自然と笑顔があふれていた。

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