心の声が聞こえる悪魔
悪魔城の謁見の間にて———。
「王子、ご機嫌麗しゅう」
《くそ。こいつさえ生まれなければ。俺様が…》
「クラウス様、今日も一段とお美しい」
《こいつを煽てておけば魔王様にもきっと…フフフ》
「クラウス王子、お荷物、私めがお持ちしましょう」
《黒い髪に、真紅の目……怖い、怖い、怖い。魔王様の息子なんて…》
こいつの声も…こいつの声も。こいつも、こいつもだ。
物心がついた時からだ、心の声が聞こえてしまう。おそらく、生まれた時からだったんだろう。
目の前の玉座に座っている魔王である父の、そしてそばにいる母の声でさえも聞こえる………。
———「コツコツコツ…」
クラウスが廊下を歩く音。
《後ろから驚かしてやろう》
「おい、ハインツ。後ろにいるの聞こえてるぞ」
「あれ。また聞かれちゃったか〜クラウス様っ」
「クソッ…やめろよ。その呼び方は」
「ごめん、ごめん。クラウス。今日もまだ仕事が残ってるのかい?」
「あぁ、いつものことさ」
「ふーん」
《最近、働き詰めだ。少し休んだ方が良いのに》
「フッ…。お前に心配される筋合いはない」
「また心の声聞いたな?
だってクラウスってば最近、全然遊んでくれないんだもーん。ハインツ寂しーいー」
「気持ち悪いぞ……お前」
「ハハハ…冗談だよ、仕事もほどほどにね。じゃ!」
「あぁ」
ハインツは幼馴染の上級悪魔だ。
こいつと話している時だけは、自分が自分でいられる気がする…。




