山での攻防 後編 5
だが次の瞬間に、背後からボアが突進してきた。
テッドとノイマンは衝突され、前へと吹き飛んだ。
それから二人は地面に落ちる。
ノイマンは俯せに倒れて動かない。
ただテッドは仰向けの状態から、なんとか身体を起こして立ち上がる。無理矢理に動いて血反吐をはいていた。
ほぼ同時に、ボアも戻ってくる。一直線に向かって来ていた。
「…早く行けよ!!…このままじゃ、マジで死んでしまうぞ。」
とノイマンは叫んでいると、ーー
「死ぬつもりはないよ。…。」
とテッドは言いながら、前へと出ていき、武器を手にしながら立ち塞がった。
しかし、結局はボアの巨体に弾き飛ばされてしまう。
テッドの身体は、近くの樹木の幹に勢いよく衝突して身体を激しく打ち付けていた。
それでも尚も、また彼は立ち上がり、ノイマンを助けようとしている。
俺は思わず、叫びだす。
「何で!…そんなにまでして人を助けるんだ!?」
「なんでって、逃げたら親父に顔向け出来ないからだよ。」
するとテッドは、戯言の様に独り言を呟いていた。
「周りにとっては馬鹿な奴だ。と言われても、…誰かの為に一生懸命だった父は、私にとって誇らしかったんだ。…だから、…どんなになろうと、父の様になりたいと思ったんだ。」
まるで独白である。
その言葉を俺は耳にすると、聞き入っていた。さらに心の中で、ストン、と腑に落ちない部分が唐突に解消される。
ついでに、ふと頭の中では昔の思い出が鮮明に甦ってきたのだった。




