2話 二章 ギルドの屋敷のあれこれ 12
ついでにヒナも、じっと此方を見ている。やや両目を輝かせながら、頬が赤くなっているようである。さらには次第に笑みを浮かべると、
「えへへ、…お兄さん、優しいんだね。」
と言いながら側に寄ってくると、此方の腕を取って自分の体を抱きつかせてきた。
「はぁ?!…え?…おい!?」
俺は驚いて慌ててしまう。次第に体が緊張で強ばっていき、思う様に動けない。また顔の方も熱くなるのを感じている。
少し彼女を、可愛いと思ってしまった。
「ねぇ、ねぇ~。…聞いてもいい?」
続け様にヒナは、顔を擦り寄せながら、間髪入れずに質問してきた。此方の様子を全く気にしてないようだった。
「…確か、ヒルフェって名前だよね。…ひぃーにぃ、って、…呼んでいい?」
「ちょっ、待てよ。…なんで、そうなるんだ?!」
「えへへ。…どうかな?」
「いや、それは。…」
対して俺は、すぐに頭を横に振って否定しようとする。
ふと互いに目があってしまった。
ずっとヒナは期待に満ちた瞳を向けており、満面の笑顔をしていたのである。
途端に俺は、何も言えなくなり渋々と無言で頷いてしまい、ただただ相手の言う通りに返事を繰り返すのだった。
「えへへ、…なら、…ひーにぃ、って呼ぶから。」
「……あぁ、そうかい。」
「あたし。…一人っ子だから、優しいお兄さんみたいなのが欲しかったんよ。」
「……そりゃ、良かったな。」
「おや?」「ほう?」「んにゃ?」
すると若いメイド達が呟きつつ、興味津々な視線を向けてきたようだった。続けざまに互いに顔を近づけては、囁く様に会話しだした。




