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2話 一章 始まりの街【ビーギニング】と、二人の少女

 「待て、待て。…誤解だ。」

 俺は呟き、両手を上げながら敵意がない事を知らしめる。

 しかし尚も、勝ち気そうな女は刀を向けたままだ。全くやめる気配がなく、興奮気味に怒って目を血走らせている。

 「まさか、貴様がヒナ様にも何かしたのか?…どうなんだ!?…答えろ。…返答次第では、只では済まんぞ!!」

 やがて周囲の従業員や冒険者達の動揺する声がしてきた。

 逆に俺の方は頭が冷えてきて、落ち着きを取り戻すと、女に向かって話しかける。

 「なぁ。…とりあえず、お前も刀を下ろせ、…このままじゃ話にならんから。」

 「…誰が貴様の言う事なんて、誰が聞くか!!」

 だが余計に相手からは、怒鳴り返されてしまう。

 「理不尽だろうが!」と俺は、思わず口にした。

 「問答無用!!」

 と勝ち気そうな女も、同時に刀を振り上げてくる。

 「止めなさい、…この馬鹿。」

 するとダフネが止めに入った。既に女の背後に回り込んでおり、彼女の脳天へと鉄拳を打ち付けている。

 「キャン?!」

 と勝ち気そうな女は、可愛らしい悲鳴をあげた。さらに、しゃがみ込んで頭を押さえながら悶絶しだす。

 対してダフネは、冷ややかで鋭い目付きを向けており、

 「此処では他の方の迷惑になります。…皆さん、言いたい事があるなら、上の階で話し合いましょう。…」

 と言いつつ、此方に言葉を投げ掛けてくる。さらに続けて、勝ち気そうな女を襟首部分を持ち上げて、引き摺りながら強引に移動させた。

 先んじて彼女達は、階段を登って二階へと向かっていく。

 ダフネは全身から、途轍もない怒りの感情を放っていた。

 「さぁ、あなたも来なさい。」

 「痛っ!!?…ら、乱暴に引っ張らないで!!」

 「うわっ、……。」

 その様子に、俺は背中に寒気が走り、身震いした。強烈な吹雪を浴びたようだと錯覚してしまう程である。

 ふとリキッドや周りの連中も、同じ様な動作をしているようだった。

 「…わ、私達も移動しよう。」

 と、リキッドも提案して促してくる。

 それを合図に、俺達は異論なく頷くと、すぐさま指示に従って階段を昇り、そそくさと扉を潜って建物の奥に進み、後に続いた。

 最後にアルフォンスは、「皆様、失礼しました」と謝罪する。さらに残された冒険者や従業員達へと去り際に頭を下げながら、扉を閉めるのだった。

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