2話 一章 始まりの街【ビーギニング】と、二人の少女 3
「ふあぁ…。」
ふとリキッドの隣の席から、欠伸が聞こえてくる。
俺は何気なく、其方に視線を向ける。
そこには、一人のメイドが座っていた。腕や足を組んだ状態で座席に深く腰かけ、ワゴンの壁に身体を預けながら、うつらうつらしていたようだ。さらに、今しがた目を覚ましたようで、眠たそうな表情を隠さずにいる。
彼女の名前は、ダフネである。因みにリキッドの従者である。だが仕事の態度は粗暴で、リキッドを主としての扱いが雑だった。
俺は冷ややかな視線を送る。正直に言って、従者の立ち振舞い方は解らないが駄目であろうと予想はつく。
しかし、ダフネは我関せずの態度を決め込んでいる。
今度は俺は、リキッドの方を向いて、何気なく質問した。
「なぁ、…じいちゃん。」
「ん、…なんだい?」
「…なんで、ダフネを雇っているんだ?」
「はい?」「ん?…私ですか?」
するとリキッドとダフネは、互いに顔を見合わせると、また此方の方に振り返ってきた。
改めて、リキッドが代表して話だす。
「えぇっと。…何で聞くんだい?」
「いや、なんとなく気になったんだよ。…一応、ダフネはじいちゃんに使えているんだろう。…なのに、態度が悪いじゃないか。」
「……態度が悪いのは、貴方に言われたくありませんね。」
と途中でダフネが皮肉を告げる。
「うるせぇな。…ほら、…普通に言ってくるだろう。…なのにじいちゃんは平気な顔しているからよぉ。…家でも、そうなのか?」
それでも俺は負けじと、言い返しながら追及する。
「あぁ、そうだね。…どちらかと言うと、彼女は役職としては、私の従者だ。しかし、…」
「…しかし、?」
「…ううむ。…そうだな、近しい表現なら、家族に近しいかな。…正確には違うけど。」
と、リキッドは首を捻りながら、なんとか答えを述べていた。やけに歯切れが悪いようだった。




