闇の一部
レーラはルル―シカを寝室に連れて行き、戻ってくる。
「大丈夫よ。心配はいらないわ」
レーラが椅子に座る。
「さっきから何を言っているんだよ。何が大丈夫なんだ?」
「ここには結界が張ってある。だから、あいつは入ってこれない」
「あいつって・・・さっき、俺が見た奴のことか?知っていたんだ」
レーラはコクリと頷く。
「あいつは、何なんだよ」
「わからない。でも闇の一部だと思う」
「闇の一部?」
「そう、けれど、それがどこから来たのかまではわからない」
レーラはグラスにつがれた赤い飲み物を口にする。
「でも、そいつが今回の件に関わっている・・・気がする」
「気がする?」
「そう、気がする。そう感じるの」
気がする?感じるって・・・。
適当すぎないか?
「今回の件は闇が関わっているのは間違いない。けれど、あいつの仕業じゃない」
「あいつ?あいつって闇の一部のこと?」
「違う、闇に支配された奴。だけど、あいつの意思は感じられない。だから、違う奴が今回の件に絡んでいると・・・思う」
何言ってるんだよ。
闇の一部だとか。
闇に支配された奴だとか。
感じるだとか、わけわからね~よ。
「なあ、よくわからないけど、結局、誰が犯人なんだよ」
「わからない・・・あなたはわからない?」
「な、なんで、俺がそんなことわかるんだよ」
そう、とレーラは小さく呟いた。
タクとレーラの会話は途切れた。
悲しげなクラシックが、バックミュージックのように流れている。
ろうそくの炎が大広間を照らし、
時計の針がチクタクチクタクと時を刻んでいる。
いつの間にか、テーブルの上にあった料理もお皿もなくなっていた。
ゴーン、ゴーン、ゴーン、と鐘の音が響く。
日が変わったのか?
レーラは立ち上がり、タクに「寝ましょう」と言った。




