池と温泉
「ぷはぁ~」
タクは水面から顔を出し大きく息を吸い込む。
「こ、ここは、どこなんだ?」
タクは、石で囲まれた池の真ん中で漂っていた。
白いモヤが立ちこめている。
空気は生暖かく、耳を澄ますと、水が流れ落ちる音が聞こえてきた。
「もう少し、まとも入り口はなかったのかしら」
ルルーシカとレーラはすでに池から上がっていた。
二人の制服は肌に張り付き、髪からは水滴が滴り落ちている。
「あなたが、お腹をすかし、疲れていたみたいだったから、近道で来たの」
「この私がお腹をすかし、疲れていたですって?ありえないわ、だって私、まだお腹が減っていないし、疲れてもいないし」
嘘をつけ!!
さっきまで、疲れた、疲れたと散々騒いでいたじゃないか。
うるさいくらいに腹の音も鳴らしていたし。
「にしても、人形、水にもまれるなら、先に言いなさいよね。いくらコミュ症で不感症でも、それくらい気を利かせる・・・あれ?え?わぁ~何よこれ、すごいじゃない」
ルル―シカが突然、感嘆の声を上げた。
視界を覆っていたモヤが消えてゆく。
モヤの消えた先には、温泉が広がっていた。
先ほどのモヤはその温泉から上がっていたらしい。
岩盤に覆われた温泉。
お湯が天井から滝のように流れ落ちていた。
「へえ~、温泉か・・・」
池から上がったタクは、制服を脱ぎ、水を絞った。
水滴が、敷き詰められた石の上に落ちる。
「ねえ、この温泉にもちろん今から入っていいわよね。もう濡れちゃっていることだし」
「夕食はいらないの?」
「いらなくはないわ。もちろん食べるわよ。それより、今、私は温泉に入りたい気分なの」
「好きにすればいい」
「もちろん、人形も一緒に入るわよね。ここまで、助け合った仲じゃない。一緒に入らないっていうなら、食べてしまうわよ」
レーラは、ルルーシカの「食べてしまうわよ」という言葉に返答をしなかった。
代わりに、表情を変えることなく、制服を脱ぎだした。
「あら、大胆ね。自分の体に自信があるのかしら。でも、残念ね。私の方がもっと自信があるんだから」
ルル―シカも制服を脱ぎだす。
おいおい、二人ともちょっと待てよ。
俺の存在を忘れているんじゃないのか?
俺は男だぞ。
こいつら、俺のことを男だと思っていないのか?
「二人とも今から温泉に入るなら、俺は、後でゆっくりと入るので、それじゃあ・・・ぐはぁ!!」
この場を後にしようとしたタクは、首元を引っ張られる。
「あんた、この状況でも、ご主人様と一緒に入れないっていうの!?さすがに、今日という今日は許さないんだから!!」
ルルーシカはすでに下着姿になっていた。
下着は濡れているため、透けている。
下着に隠された、肌の色がぼんやりと見え、
さらには、見えてはいけない重要な部分の輪郭が想像できるほど、
くっきりと浮かび上がっていた。




