フェニックス
「天に輝く太陽よ、その熱き思いのせ、我が敵を滅せよ!!消し炭になりなさいよ、『フェニックス』!!」
赤色に輝く紋様に、ルルーシカが両手を突っ込むと、
甲高い、鳥の鳴き声が響いた。
紋様は赤熱し、真っ赤な炎が渦巻き、
瞬間、レーラに向かって、鳥の形をした炎がはしてゆく。
「・・・・・・」
ルルーシカの攻撃に気がついたレーラは無表情にルルーシカを見つめる。
「はっ!!私の勝ちだわ、人形!!」
ルルーシカからレーラへと羽ばたく炎。
そこへと、ゆっくりと手を伸ばすレーラ。
「いまさら、遅いわよ。魔法陣すら描いていないじゃない」
ルルーシカの言葉を発すると同時、
レーラと炎が接触した。
爆炎と、
爆風が、
生じない。
さらに、あえりえないことに、
魔法陣が展開されてもいないのに、
レーラの手のひらから展開された魔法が、
ルルーシカの炎を消し去ってゆくのだ。
その魔法はピエロがミアの黒き炎を無効化しようとしたエルドゾーブの非ではない。
さらなる、上位無効化魔法が展開されていたのだ。
レーラの手から広がり、
レーラを包みこむように広がる無効化魔法によって、
空間が淀んで見える。
「どうして・・・どうしてなの?」
ルルーシカが呟いた時には、
ミアの黒き炎の威力にも勝るとも劣らない、
禁止魔法の一つである――フェニックスは、レーラにかき消されていた。
「あなたは、大丈夫なようね」
ルルーシカのフェニックスをかき消したことによって生じた熱風が、
レーラの髪を揺らす。
「ちょっと、どういうことよ。なんで、あんた、魔法陣を描くことも、詠唱することも、さらには展開することもなく、魔法を発動させているのよ」
「今、それは重要なこと?」
「重要よ。そんなことできたら・・・」
――私に勝ち目なんかないじゃない――
レーラは目を細め、廊下を歩いて行く。
「ちょっと、待ちなさいよ。まだ、話は終わってはいないのよ」
「彼を、助け出しに生きましょ」
「彼?彼って、誰よ」
「あなたの奴隷さん」
「私の・・・奴隷?ああ、タクのこと?あいつがどうしたのよ」
「彼、今、閉じ込められているわよ」
「閉じこめられている?どこに」
「こっちよ」




