出て行きなさいよ
ルル―シカは靴を玄関に脱ぎ捨て、
廊下を通り抜け、自分の部屋に入っていった。
タクは丁寧に靴を脱ぎ、ルルーシカに付いて行くと、
部屋の手前で、ルルーシカに、
「あんたは、キッチンを掃除してから入ってきなさいよ」
「あん?何で、俺がそんなことしないといけないんだよ」
「はあ?あんた、誰に養ってもらっていると思っているのよ。嫌ならここから出ていきなさいよ」
なんだよ、その言い分、ひどすぎるじゃね~かよ。
俺には記憶がないんだぞ。
まさか、昨日。俺が出て行く言ったことをまだ根に持っているのか?
・・・・・・。
しょうがね~な。ここを出て行っても、行くところもなさそうだし。
「あ~あ、わかったよ。わかりましたよ。やればいいんだろ」
「そうそう、おとなしく素直にそう言えばいいのよ」
タクはキッチンに山積になっている皿やコップをまず洗った。
「ああ、そうそう、これを使いなさいよ」
ルルーシカにタクは石鹸を渡された。どう見ても普通の石鹸と大差ない。
「それはね、ヌルヌル地方でとれるツルツルカエルの皮膚からとれる希少な粘液を配合しているの。これで洗うとね、どんな汚れもツルツルのテカテカになって綺麗に落ちるのよ」
ほんとかよ、と思いながら、スポンジに石鹸をこすりつけ、皿を洗った。
不思議なことに、汚れがあっという間、綺麗に落ちた。
ひとこすりで、鍋にこべりついた固形物も一発。
革命的な石鹸だ、とタクは思った。
皿を洗い終えたタクは、三角コーナーや、排水溝で、悪臭を放っていたゴミを捨てた。
脂ぎっていた火まわりも、丹念にこすり、
キッチン周りの掃除を終えた時には、新品と見間違えるくらいに、ピカピカになっていた。
「まあ、これで少しはきれいになった、かな。まだ、完璧じゃないけどな」
部屋に入ると、次はルル―シカに部屋の掃除を命じられた。
タクは反論したが、もちろん即効一蹴。
「チーズ奴隷の最大の喜びでしょうが、ご主人の部屋を掃除するのが」
チーズ奴隷、チーズ奴隷って、チート奴隷じゃなかったのかよ。
あれは、いったい何だったんだ。
まじで、うぜ~よ、と思った、タクだったが、
また、「出て行きなさいよ」と言われるのも嫌だったので、
「わかった」と素直に返事をした。
こんなことなら、ピエロともっと仲良くしておくべきだった、と後悔したタクだった。




