神社
巨木の穴を通り抜けると、
先ほどまでとは明らかに空気が違う森に出た。
おいおい・・・神社の前かよ。
手入れがなされていない社、風化し形すら定かでない狛犬、
背後には、先ほど通って来た巨木が威圧的に見下ろしていた。
巨木の幹にはしめ縄がまかれていた。
前方には、大きな鳥居が見える。
「うわぁ~、大きいな~」
「別に、声を上げるほど、大きいかしら、学校の門の方が大きいでしょ」
確かに、言われてみると、そうだ。
鳥居をくぐり、数百段ほどの長い石段を降りると道路に出た。
田んぼの中を走っている道だった。
あぜ道ではなく、アスファルト。
次の瞬間、自動車が通りすぎた。
「へえ~自動車が走っているんだ」
「何?自動車は覚えているの?」
「あ、ああ・・・」
「あんた、記憶をなくしたのよね」
「よくわからないけど、今日一日過ごしてみて、魔法関係の記憶ってほとんどないことがわかった。だけど、ところどころで覚えているものもあるんだよな。ふと言葉が出てくるというか・・・」
「ふ~ん、そうなんだ」ルルーシカは口をすぼめる。「でもまあ、覚えているものもあったなら良かったじゃない。そのうち私があんたの記憶を取り戻してあげるわよ。かなえだってそう・・・」
「かなえだってって・・・やっぱり、彼女、どこか体が悪いのか?」
「・・・・・・」
ルルーシカは一瞬はっとした表情をして、
タクを無視して歩き出した。
な、なんだよ無視かよ・・・。




