ピエロ
帰りのホームルームの時間、
お色気先生は、気合を入れた顔をして教室に入ってきた。
「よっしゃ~今日は合コンだ。気合を入れて行くぞ~」とエイエイオーとかけ声をし、
すぐに教室を出ていった。
何なんだよ。あんたは・・・。
下校時間、タクはスクールバックに教科書を入れていると、
タクがピエロとあだ名をつけた男子生徒が声をかけてきた。
ああ、一限にお色気にいじられていた道化、ピエロか・・・。
そいつの名前はカイエン=ハイジ=ポコノスケ=・・・=三世というらしい。
髪は癖がかかった栗色。顔にはそばかすが目立ち、
タクよりも少しだけ背が高かった。
声は若干高く、表情豊かで、少し話をしただけで憎めない奴、
といった印象をタクは抱いた。
「で、何だよ。用って」
タクはスクールバックを肩にかける。
「君、この前、僕と約束しただろ。あのことだよ。あ、の、こ、と」
「あのこと?何のことだよ」
「もう、君って相変わらずだよね。不愛想というか、突っつきにくいっていうか・・・だからさ・・・」
ピエロは胸の前で指先をもてあそんでいる。
目も泳いでいる。
「なあ、早く言えよな」
「ねえ、あんた早く帰るわよ」
ルルーシカの怒鳴り声が聞こえてきた。
ルルーシカは腕を組み、
早くしろと言わんばかりに自分の席からタクを睨んでいる。
「ああ、わかった。今、行く」
タクはルルーシカに返事した。
ルルーシカの声を聞いて、
ピエロはビクリと体を震わし、
下唇を噛み、恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「あん?どうしたんだよ」
タクはピエロに訊く。
「いや、やっぱり今日は・・・いいや。やめておくよ」
ピエロは逃げるようにタクの前から去っていった。
何なんだよ、あいつ・・・。
まさか、ルルーシカのことが、気になっているとか・・・。
まさかな。




