お尻の代金
タクとルルーシカは、開いた窓に向かって突っ込んでいった。
タクの目に、窓の向こう側で、机に座り、
ぼんやりと外を見つめる女の子が飛び込んでくる。
髪は水色。肌は白。
ルルーシカと違い、生気が乏しい。
「危ない、こら、どきなさいよ。レーラ!!」
ルルーシカが叫ぶと同時、
レーラという名の女子生徒は宙に指を走らす。
網に似た紋様が描かれ、それが開かれた窓に展開される。
タクとルルーシカは、緑色の輝き放つ網が展開された窓につっこんでいった。
網がタクの体に絡まる。
すると、不思議なことに急減速。
体が持っていた運動エネルギーをその網が吸収したらしい。
網がルルーシカとタクを包み込み、
レーラが指をぱちんとはじくと、網は霧のように霧散した。
ただ、タクとルルーシカは網によって宙ずり状態だったので、
ドスン、と音をたてて、床に落下した。
「痛い、痛い、痛い・・・」
ルルーシカは腰をさすっている。
タクはもごもごと口を動かしていた。
タクは仰向けに倒れ、顔の上には、
柔らかいナニカが乗っていた。
よく知っている布が顔に密着し、割れ目が鼻にあたっていた。
息苦しさのためなのか、頭がくらくらした。
もしかしたら、顔にのっているナニカの香気にやられてしまったのかもしれない。
「・・・あ~もう、何よ。止めるならもっとちゃんと止めなさいよ。人形!!」
ルルーシカは、窓の外を見つめるレーラに叫ぶ。
人形とは、レーラのあだ名らしい。
「それよりも、彼は大丈夫なの?」
レーラはルルーシカの下で仰向けになっているタクについて言う。
ルルーシカの言葉を全く気にしていないようだった。
「彼? ああ、タクのこと? そういえば、タクは?」ルルーシカは自分の下敷きになっているタクに気がつく。「ああああああ!! あ、あんた、何をしているのよ!!」
ルルーシカはタクの上から飛び上がる。
「何をって、俺がお前を救ってやったんだろ。不可抗力だ」
タクは鼻を撫でる。
「まあ、そうよね」
とニコリと笑うも、もちろん攻撃は飛んできた。蹴りだったが。
「グフッ、俺が、何を・・・お前のお尻を救ってやったんだぞ」
「うるさい!! これは、臭いをかいだ代金よ」
「臭いなんて、かいでいない。俺だって、いっぱいいっぱいだったんだ。お前を救うことで。なんて言ったって、俺はチートだからな」
「・・・意味が分からないわよ」
ルルーシカは口を結び、目を泳がした。
心なしが頬が赤くなってたいた気がした。
まさか、俺の適当に言った言葉がこの女に効いたのか? 効いたのか?




