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飛行物体XX、いざ突撃

「さあ、行くわよ」


 ルルーシカが、足でパンッとりゅー君の背を叩く。


「ちょ、ちょっと」


 タクはマジかよっと思った。


 ルルーシカとタクを乗せたホワイトドラゴン――ーりゅー君は翼をはばたかせ、

 躊躇なく、黒色の渦につっこんでゆく。


 黒色の渦。

 それは、タクには縮小版の台風のように見えた。

 右回りに渦を巻き、はっきりとした目を持っている。

 大きさは、数十メートル。

 台風とは違い、目を大地にではなく、水平方向に向けていた。


 強風は吹き荒れていなかった。

 その渦は天候に影響を与えていないらしい。


 タクは覚悟を決めた。

 下唇を噛み、ルルーシカの腰を抱く両腕に力をこめる。


 りゅ―君が渦の中に突っ込んでいった。


「は?」


 顔をこわばらせ、雷のビリビリレベルの痛みを覚悟したのだが、

 拍子抜けしたことに、一瞬、世界が暗くなっただけだった。


 渦の先には、入る前と同じ、

 青い空が続いていた。


「さあ、そろそろ下降するわね」


 とルルーシカが呟いた時、タクの目にあるものが飛び込んできた。


 それは太陽ではなく、

 色の異なる二つの月。

 

 突如、タクの腰が浮かぶ。

 急降下。


「ぐぎゃあああああああああ!!まじで無理、まじで無理だって!!」


 タクの目尻から、後方へと涙が流れる。


 タクが自由落下した時よりも、

 はるかに速い速度での急降下だった。

 直角の急降下。

 何かに捕まり、眼前に大地が急速に迫ってくる恐怖は、自由落下の比ではなかった。


 地上にあるものが、数秒ではっきりとする。


 真下には灰色の建物が建っていた。

 幾つもの塔を抱き、威厳すら醸し出している。

 岩壁と寄り添う湖の上に建てられたその建物は、

 とてつもなく長い年月そこに建っているのだと一目でわかった。

 それほどまでに古めかしかった。


 カーン、カーン、カーン。

 鐘の音が聞こえてきた。


「やばい、もう時間じゃない。このまま突っ込むわよ」


 りゅー君は水平飛行に移行する。

 りゅー君は塔と塔の間を器用に縫うように飛行した。


「ここは……」


 タクはこのお城が何なのかと、ルルーシカに訊く。


「なにを言っているのよ。私たちが通っているヘッドリッジ魔法学園に決まっているじゃない」

「魔法学園・・・魔法の学校ってことなのか・・・」



 ヘッドリッジ魔法学園のそばにある森から、

 何百羽もの巨大な鳥がりゅー君に反応したのか、バサバサと飛び立った。

 その鳥たちは、太陽に光に照らされ、虹色に輝いていた。


 その時、

 ピシピシ、といった不快感極まりない音が響いた。

 青白い光が、リュー君をぼんやりと包み出す。


「あ~やばい、結界魔法が発動している。こんな時に」


 タクは、ルルーシカが何を言っているのかわからなかった。

 だが、よろしくないことが起きているらしい。


「あっ、運がいいわ。教室の窓が開いている。もう少しだけ頑張って、りゅ―君」


 リュー君は咆哮をもらした。


 ヘッドリッジ魔法学園第四校舎二階のある窓に向かって、

 りゅー君は直進する。


 あと、数十メートルほどにせまったその時、

 突然、りゅー君は光の泡となり、ポッと消えた。


 タクとルルーシカは宙に放り出された。


 ルルーシカは「りゅー君!!」と涙を流しながら叫ぶことなく、

 「あ、最悪」と声をもらした。


「おいおい、リュー君の心配はしないのかよ」

「大丈夫よ。私の召喚魔法が封じられただけだから、りゅー君はもといた場所に帰っただけなの」

「そうなのか」


 タクはほっとするもつかの間、今、宙を飛んでいた。


「で、俺たちはどうするんだよ!!」

「このまま、窓に飛び込むわよ」


 むちゃくちゃな話だ。


「ボールか何かじゃあるまいし、飛び込んだところで、その後はどうするんだよ。このままだと、ペッちゃんこじゃないかよ」

「それは、飛び込んだときに考えるわ」


 タクとルルーシカは窓に向かって飛んでいった。


 といっても、重力加速度によって、

 放物線を描いてはいたのだが、

 それをほとんど無視できるぐらいの速度で、

 開いた窓に直進して行ったのだ。




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