情熱的な吐息
時速200km。
タクの自由落下は止まらない。
全身に受ける風に体温を奪われ、凍えるほど寒かった。
思考スピードが遅くなり、視界がぼやけてくる。
何してんだろう。俺・・・。ふと思った。
その時、
「バカァ~~~~!! なぁ~に、降り落とされているんだああああああ!!」という声が聞こえてきた。
幻聴ではなくはっきりと。
空を仰ぐと、太陽の光と重なる影が見えた。
それは徐々に大きくなり、首元を何かに捕まれた。
首元に熱を感じる。
凍えた体が、急速に熱を取り戻し、
タクのぼんやりとした視界と思考をはっきりとする。
「ルル・・・お前が俺を・・・」
と呟き、振り返ると、
そこには、ホワイトドラゴン――――リュー君の顔があった。
鋭い牙に、タクの襟は吊るされており、
興奮しているのかリュー君は鼻息が荒い。
「あがああああああああ、かみ砕かれるぅぅぅぅ!!」
タクは叫び、両足をばたつかせた。
「待ちなさい。今は待ちなさい。その内、食べさせてあげるから」
というルルーシカの静止のおかげで、
タクは頭をかみ砕かれずに済んだ。
タクは再びリュー君の背にまたがる。
先ほどと同じように、前にはルルーシカがまたがっていた。
「今度、私の許可なく胸をもんだら、ひじてつだけじゃ済まないんだから」
と、ルルーシカは恐いことを言っていた。
それから、数分ほど飛び、
幾つも雲をくぐり抜けた。
そして、
ペンで塗りつぶしたみたいな黒い点に近づいていることに、タクは気がつく。
近づくにつれ、
それが何なのかわかった。
数千メートル上空に浮かぶ巨大な渦。
巨大な渦に接近していたのだ。




