小さなマショマロによって、自由を得る
「ぐぎゃあああぁぁぁああああ!! お、落ちるうううううううう!!」
タクは絶叫した。
猛スピードで上昇するホワイトドラゴン――――りゅー君の背にまたがったタクは、
前方から受けるものすごい風圧と、後方に感じる重力のため、
今にも落下しそうになっていた。
「ほら、何をやっているのよ。ちゃんと、私につかまりなさいよ」
タクは、前にまたがるルルーシカの声に反応し、
再び、ルルーシカの体を強く抱きしめた。
むにゅっ。
「あっ・・・そ、そこは」
ルルーシカが甘い吐息を漏らした。
タクの右手は、ルルーシカの柔らかい小ぶりの何かをつかんでいた。
その弾力は申し分なく、マショマロを揉むような心地よささえある。
タクはいつまでも揉んでいたいと思った。
モミモミモミと。
ボフッ!!
「ぐぅあ!!」
タクは腹の底から、息を吐き出した。
タクのみぞおちには、ルルーシカの強烈なひじてつが沈み込んでいた。
「どこをつかんでいるんじゃ!! というか、どこをもんでいるんじゃ、ボケがああああああああ~~~~~!!」
タクは、あまりの激痛に両腕でお腹を抱えた。
ルルーシカから両腕を離してしまった。
瞬間――――タクは浮遊感を感じた。
自由。まさに、自由だ。
つかむものもないし、接するものもない。体はまさに自由。
つまりは、自由落下。
タクはホワイトドラゴン―――りゅー君の背を離れ自由になったのだ。
「な、な、何じゃ、こりゃあああああああ!!」
タクは、地上に向かって落下していた。
眼下には緑と茶色の入り混じる大地が広がっていた。
ちいさな街が幾つも見えた。蟻よりも小さい何かが列をなしていた。
おそらく車だろう。
視野を広げると、青い広がりが目に飛び込んできた。
陽の光に輝く海だった。丸みおびた水平線まで海は続いていた。
薄い雲をタクは通り抜けた。
タクは両腕を大きく広げた。ドラゴンの翼のように。
だが、自由落下は止まらない。
「俺はドラゴン、俺はドラゴン、ははははは・・・・・・、そう思っても、飛べるわけね~だろ!!」




