表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/133

気まぐれな女の子

 チュンチュンという、小鳥の鳴き声が聞こえてきた。

 タクは背後を見ると、

 金属製のドアが、生い茂った雑草の間からポツリポツリと幾つも顔を出していた。

 地面にドアだけが突き刺さっている光景は、違和感がハンパなかった。


「なんだこりゃ~。どこなんだよ。ここ」

「あ~もう、やばいな~。もうこんな時間だと誰も歩いていないじゃない」


 レンガ道には誰も歩いていなかった。

 そもそも、見渡す限り、

 木と雑草しか生えていない、山の中みたいな場所に人が歩いている姿を、

 タクには想像できなかった。

 動物ならわからなくはないが。

 

「あ~もう仕方がない。校則に触れるけど、最終手段だわ」


 ルルーシカは宙に指を走らせる。

 何らかの動物を思わせる紋様が宙に描かれた。

 胴体よりも大きな翼を広げ、尻尾も持つその紋様のフォルムは正直、かっこよかった。

 紋様は地面に展開され、輝き放つ。

 直径3mほどの大きさの紋様だった。


 ルルーシカは意味が分からない言葉をブツブツと唱え、

 両手を上げ、「私に会いたいでしょ、私に会いたいでしょ」と不気味に何度となく呟いた。

 そして、10度目の同じ言葉を呟いたのち、「来た!!」と叫んだ。

 紋様は地面から宙に光を伸ばし、

 ルルーシカも自家発電しているかのように発光した。


 風が雑草を揺らし、タクは「なんだ、なんだ」と呟いた。


「来い!! 我がしもべ、りゅー君」


 シュン、という甲高い音が発せられると同時、紋様が瞬く。


 光が消えると、紋様が描かれていた場所には、一匹の白いドラゴンが姿を現していた。

 体長は3メートルほど、尻尾の長さを入れたらもっと大きいかもしれない、

 鋭利な爪を持った翼は体長と同程度。

 そのドラゴンを見て、タクは、かっこいいと思ってしまった。

 自然とタクの足が、ホワイトドラゴン――――りゅー君へと近づいてゆく。


「やめた方がいいわよ」

「あん?」


 タクは足を止める。


「撫でようなんて、考えないことね」


 りゅー君は猫のように、前足を舐めていた。

 前足にも鋭い爪が生えている。


「この子は、気まぐれで、気位が高いの。だから、犬や猫を撫でるような感覚で撫でようなんてしようものなら、鋭い歯で、頭ごとぐしゃりよ」

「げっ」


 りゅー君は欠伸をした。

 開いた口には、ライオンやトラなどの肉食動物がかわいく思えるほど、

 鋭利な牙がふんだんに蓄えられていた。


「それにね、この子は、女の子なの」

「・・・りゅー君なのに、女の子かよ」

「そうよ。気まぐれだと言ったでしょ。名前も気まぐれなの。契約者である私が呼びかけても、来てくれないことだって頻繁にあるのよ」


 気まぐれで、気位が高いドラゴン。

 名前はりゅー君。ちなみに雌(♀)。

 たしかに、アメジストのような深い紫色を称えるその目には、

 気難しさが宿っているように見えなくもない。

 

「さあ、早く乗って」


 ルルーシカはりゅー君の背にまたがる。


「いや、でも」


 機嫌をそこねたら、頭をぐしゃりとされてしまうのでは。


「さあ」


 タクはルルーシカに手をつかまれた。


「あっ・・・」


 女の子の柔らかい手の感触に再度心奪われたタクは、

 気がつくと、りゅー君の背にまたがっていた。

 両腕をルルーシカのお腹にまわし、体はルルーシカに密着。


「さあ、いくわよ!!」


 ルルーシカが声をかけると、

 リュー君は天高く咆哮をあげ、両翼を大きく広げた。

 そして、次の瞬間、

 タクとルルーシカは空高く舞い上がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ