やわらかいもの――知力レベルアップ!
タクは机の上にあるスクールバックを手に取り、
ルルーシカの部屋に戻る。
「あ~もうこんな時間!! 遅刻してしまうわ。急ぐわよ」
ルルーシカはタクの手を握り、歩き出した。
唐突に手を握られたため、タクは「あ・・・」と声を漏らしてしまった。
がさつで乱暴な性格のルルーシカといえど、女なのだ。
女の子の手ってすごく柔らかいんだということを、タクは知った。
知力上昇――レベルアップ!!
パッパラパーンとやけに弾んだ効果音が鳴り響いた気がした。
ルルーシカはドアに向かって手のひらを押し出した。
すると、ドアが意志を持っているかのようにバッと開く。
浴室のドア脇にはゴミ袋が、キッチンには、皿が山積になっていた。
廊下は薄らと埃が覆っており、歩くだけで靴下が汚れそうだ。
おいおい、汚すぎるぞ。せめてゴミ捨てくらいしろよ。
ルルーシカがタクの腕をグイッと引っ張り、歩調が速くなった。
玄関のドアに対しても、ルルーシカは押すしぐさをする。玄関のドアもバッと開いた。
ルルーシカは、歩調の速度を変えることなく、ローファーをさっと履いた。
タクは転びそうになりながらも、スニーカーになんとか足を突っ込んだ。
運よくも、画鋲トラップは入っていなかった。
玄関を出ると、まず目に飛び込んできたのは、木だった。
幹の高い木が、見える範囲、どこまでも生えている。
玄関を出た先には、レンガ道が左右に伸びており、
緑色の葉をふんだんに蓄えた木の影が、風に揺られ、気持ちよさそうに踊っていた。
は、はあ? 森?




