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死に戻った兵士は皇女の救済を目指す!彼女の命の重みはーー世界の破滅そのもの   作者: 詩ノ 祈


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戦争

「痛っ・・・!」


「動かないで! 傷が深くなるでしょ!」


 医務室へ入った瞬間、カレンは俺の軍服を無理やり脱がせた。


 背中には監視所で刺さった木片が何本か残っている。カレンはそれを一本ずつ抜き、傷口へ消毒液をかけていった。


「これくらいなら、自分でできる」


「あんたに任せたら、そのまま戦場へ行くでしょ」


「行ってもいいって言われてる」


「だから急いであげてるんでしょうが!」


 最後に包帯を強く巻かれ、背中へ痛みが走った。


「終わり! 傷が開いたら、今度は縫うからね」


「分かった。ありがとう」


「絶対に死ぬなよ」


 カレンは俺の顔を見ずに言った。


「配属されて二日目なのに、もう人を担いで血だらけで帰ってくるなんて・・・やっぱりあんた何かおかしいわよ」


「心配するな。死ぬつもりはない」


 カレンは数十年後、自分の死が近いと分かっていながら俺を先へ進ませた。今度は絶対に死なせない


「シオン、準備できたぞ!」


 医務室の外からカイルの声が聞こえた。


「分かった。今行く」


 俺は軍服を着直し、銃を持った。


「じゃあ、行ってくる」


「・・・必ず戻ってきなさい」


「ああ」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 北側の外壁には、既に百人近い兵士が集まっていた。


 固定砲台が森へ向けられ、その周囲には砲弾が積まれている。けど・・・正面と比べれば、明らかに数が少ない。


「本当にこっちから来るのか?」


 機関銃を背負ったカイルが、不安そうに森を見つめていた。


「来る」


「随分と言い切るな」


「外れたら、俺がエレナ少尉に怒られる」


「それで済めばいいけどな」


「来るなら撃つ」


 レオンが銃の照準を確認しながら言った。


「お前は相変わらず簡単そうに言うな・・・相手は戦車だぞ?」


「でも、シオンが来るって言った」


「お前、いつからそんなにシオンを信じてるんだよ!」


「模擬戦で勝った」


「俺たちもいただろ」


 二人の声を聞いて、少しだけ身体の力が抜けた。


 昔も戦いが始まる直前まで、カイルはよく喋っていた。怖いからこそ、黙っていられなかったんだと思う。


「静かにしろ!」


 エレナが外壁の階段を上がってきた。


「これより北側の守備は、私が指揮する。敵戦車を確認するまで固定砲台は撃つな。無駄に弾を使えば、その分だけ我々が死ぬと思え」


 兵士たちの顔に緊張が走る。


「シオン・グレイ」


「はい」


「貴様の言った通り、正面に現れた戦車は八両だった」


「なら、残りの四両はここに来ます」


「来なかった場合は?」


「俺の予想が外れただけです」


「そうか。なら来た場合は、貴様に倒してもらおう」


 無茶苦茶を言う人・・・。だが、倒し方なら知っている。


「戦車が来たら、先頭は撃たないでください」


「なぜだ?」


「森から出た直後は、後ろの車両と重なります。二両目を先に破壊すれば、先頭の戦車は下がれなくなる。後ろの二両も道を塞がれて動けません」


「・・・固定砲台の者に伝えろ。狙うのは二両目だ」


「少尉、本気ですか?」


「責任は私が取る」


 エレナの命令が伝えられ、二基の固定砲台が森の出口へ狙いを合わせた。


 あとは・・・敵が来るのを待つだけだ。


 正面から何度も砲撃音が聞こえてくる。そのたびに要塞全体が揺れ、外壁の上から細かい石が落ちてきた。


 やがて、森の中から鳥の群れが一斉に飛び立った。


「来ます」


 木々の隙間から、青白い光が見えた。敵戦車が木を押し倒しながら、ゆっくりと姿を現す。


「本当に来やがった・・・」


 カイルの声から、さっきまでの軽さが消えた。


「まだ撃つな!」


 エレナが叫ぶ。


 一両目が森を抜けた。その砲塔が外壁へ向けられ、魔導回路に青い光が集まっていく。


「撃ってきます!」


「まだだ!」


 二両目が姿を現す。その後ろから三両目が続き、森の狭い道で戦車同士の距離が縮まった。


「今だ! 二両目を撃て!」


 二基の固定砲台が同時に火を噴いた。


 巨大な魔力弾が外壁から放たれ、二両目の戦車へ直撃する。一発目が車体を守る魔導障壁を砕き、続く二発目が正面装甲を貫いた。


 戦車の内部から青い光が漏れる。次の瞬間、魔晶炉が爆発した。


 吹き飛んだ砲塔が空中を回り、一両目の後部へ落下する。三両目は燃え上がる車体に道を塞がれ、その場で動きを止めた。


「命中! 敵戦車一両を撃破!」


 外壁の上から歓声が上がった。


 前の歴史では、北側からの攻撃に気づいた時には、もう遅かった。固定砲台は最初の一撃で破壊され、外壁には大きな穴が開いた。


 でも、今回は違う。俺たちが先に倒した。


「喜ぶのはまだ早い! 次弾を装填しろ!」


 エレナの声で、兵士たちがすぐに動き出す。森の前で止まった三両目が、車体を僅かに傾けた。


 砲塔がこちらではなく・・・固定砲台の下へ向けられている。


「まずい! 全員、砲台から離れろ!」


 俺が叫んだ直後、敵戦車の主砲が発射された。青白い砲弾は外壁の上ではなく、その下の地面へ着弾した。


 凄まじい爆発と共に地面が崩れ、外壁全体が大きく揺れる。


「足元を崩すつもりだ!」


 敵は固定砲台を直接狙っているんじゃない。外壁ごと・・・俺たちを落とすつもりだ。



 皆様こんにちは!新作です!行き当たりばったりで書き進めていくタイプの話になります。

 

 この作品は、とにかく毎日投稿することを目的に書いていきます。


 思いついた日は三千文字くらいになるかもしれませんし、どうしても書けない日は千五百文字くらいになることもあると思います。


 話数ごとの文字数は安定しないかもしれませんが、毎日投稿だけは続けます!


 よければ、シオンたちの物語に最後までお付き合いください!

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