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Crimson Snow  作者: mya
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『和やかな会食』

 その後行われた会食はギルベルトの懸念を良い形で裏切り、非常に和やかに進んだ。シルヴィアに憧れているらしいルディも参加権争奪戦に勝ってこの場にいる。

 当然と言うべきか、話題は今日行われたレイナルドとの訓練の事になった。


「あのような訓練は日常的ではないというお話でしたが、アルヴァナでの日々の訓練とはどのようなものなのですか?」


「基本は今日と変わらないですね。実戦形式の打ち合いです。ただ騎士団のみの訓練では、普段はあそこまで激しくはなりません。私は指導する側なので、彼くらいに出来なければならないのですが」


「そうか……アルヴァナ騎士団はシルヴィア様の指導を受けているんだよな」


「羨ましいのか?」


 ルディの呟きに、ギルベルトがからかうように笑いながら言う。これには当のルディのみならず、この場にいる他の騎士達も驚いた。

 内乱以降厳しさの増した騎士団長は、シルヴィアが来るまで笑顔を見せる事などなかったし、ましてやこのように気安く話しかけてくるなど、内乱以前を思い出してもあったかどうか……。

 ポカンとしていたルディは、我にかえると慌てて首を大きく左右に振った。


「め、滅相もないです!ギルベルト団長の指導を受けられて幸せであります!」


「本音は?」


「……少し……」


「そうか。では、シルヴィア殿に教示いただいてアルヴァナ式の訓練を取り入れてやろう」


「いっ?!いえいえ!ノイエンドルフにはノイエンドルフのやり方がありますから!」


 この場にいる者は皆、レイナルドとシルヴィアの打ち合いを見ている。ギルベルトにあのような訓練形式を取り入れられてはたまったものではないと、副団長のアヒムも含め全員が内心で冷や汗をかいた。

 その様子を見ながらシルヴィアが笑う。その笑顔につられて皆も笑った。もちろん軽くではあったがギルベルトも。



 こんな風に和やかに進んだ会食は二時間ほどにもなり、ギルベルトが終了を告げると皆が名残惜しそうに解散した。そうしてギルベルトは、今日は政務で忙しく会食に参加していなかったエーレンフリートの元へと報告に訪れた。


「エーレンフリート様。報告に参りました」


「ああ。入れよ」


促されて政務室に入ると、中にはレイナルドがいた。ずっと二人で話していたのか?と思いつつ、会食の報告をする。


「そっか。みんな楽しそうだったか。明日にでもシルヴィアには礼を言わないとな」


「そうですね。……ところでレイナルド殿は何故ここに?」


「陛下から聞きたい事があるからと言われてな」


「聞きたい事?」


「恐らくお前も知りたい事だと思う。聞いていくか?」


「?……はい」


 この言い方から察するにシルヴィアの事だと分かる。しかし自分も知りたい事とは何だろうか?そう思っている間に、先にエーレンフリートが口を開いた。


「単刀直入に聞く。ランズウィックの件から現在に至るまで、シルヴィアに何があった?簡単でもいい。教えてほしい」


「シルヴィアがランズウィック出身であると、本人から聞いたのですか?」


「悪い。様々な特徴から俺が気付いて本人に確認した。それに……」


 エーレンフリートは、シルヴィアがノイエンドルフに来てから今までに起きた事を、掻い摘んで話した。ロニーとテオドールの事や、ギルベルトに肩に手を置かれてシルヴィアが過剰な反応を見せていた事、そこで異性に触れられることに対する恐怖症があるなら、それは今後この国で過ごす上で少々危険かと思い、立ち入ったことであると承知の上で本人に確認した話等を。

 聞きながら、レイナルドはエーレンフリートの勘の良さに驚いていた。勘と言うより頭の回転が速いと言うのか。少ない情報から、よくもこれだけの事実を導き出したものだと。と同時に、やはり何も話さないままであるのはマズかったかとも。


「女の身の上に起きた事ですから、他言は出来るだけしたくはなかったのですが、預かっていただいている以上、話しておくべきでした。反発は予想されていた事で、シルヴィアが弱点を抱えているのもまた、事実なので」


 そうしてレイナルドは話し始めた。

 お読みいただき、ありがとうございました。


 次回からはシルヴィアの過去の話になります。その関係上(キリが良くないので)今日の分は短くなってしまいました。


 これまでの話を読んでくださっている方がいらっしゃれば、お分かりかもしれませんが、かなり女性には屈辱的な内容になります。

 露骨な描写は避けますが、それでも残酷な内容ですので、そういった描写が苦手な方、不快な方はご注意ください。


 過去編の流れの中で特に残酷な内容の回は、その都度前書きで注意書きをいたします。

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