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お題:「その話、前に聞いたよ、と言おうとしたら、相手の目が少しだけ泳いだ」

条件は三つ。

1. 一人称で書く

2. 会話文を最低三回入れる

3. 最後の一文に「目」という言葉を入れない(目以外で、あの泳ぎを表現する)


私は今猛烈に不満を持っている…

「少しだけだから」その言葉に騙されて電話で長話をぺちゃくちゃ喋られているのだ…

いい加減ウザくなってきた

かれこれ三時間拘束されているのだ…

「あ、それでねそれでね?

院長が説明会のお弁当を持ってこなかった子に、冷ややかな目線してたじゃない?

あの子がねぇなんと…転勤されたのよ…」

「へーそーなんですねー」棒読みで返しているのに喜び、また次の話に移った…

「あ、しーちゃんは多分聞いてないでしょ…

この前ね

しーちゃんが時間が遅れたから注意した患者さん、あの人ネットの口コミにあそこのスタッフ全員性格悪いって書いてたのよ〜」

「えぇ〜そうなんですね〜」早く解放されたいのにこいつのマシンガントークはいつ終わるんだろう

そう真剣に悩み始めている…

「あ、しーちゃん?院長先生がこの前尻にひかれているって話ししていたじゃない…

あれ、どうやら患者さんにも伝わってたらしいのよ〜

ヤバくな〜い?」マシンガントークは止まらなかった

こっちはご飯を食べたいしお風呂にも入りたいのにこいつの画面通話のせいでいつまでも出来ない

「あ、そういえばね?院長がこの前の説明会の時にお弁当持ってこなかったあの若い担当の子いたじゃない?

あの子に院長すごく冷ややかな目線を送ってたよね?

それでね〜あの子転勤になったらしいのよ〜」

さっきも聞いた話じゃないですか?と言おうとしたがやめた

相手も思い出したのか急に口を空けて固まった…

「あらあら、ごめんなさいね〜

さっき話したばっかりじゃない…」

そうおどおどしている

AIの方

「その話、前に聞いたよ」


そう言おうとして、口を開けた。でも、声になる前に、彼の視線が、ふ、と横に滑った。ずれた、というより、逃げた。逃げたっていうか、逃げたんだよな、あれは。


「え、そうだっけ」


彼は笑った。笑いながら、机の上のコップを手に取った。中身は空なのに、飲むふりをした。その仕草が、もう答えだった。


「いや、三日前に」


「三日前?」


「うん。同じ話、したよ。カラオケの帰り」


「あー、そうかも」


そうかも、じゃない。私は覚えてる。彼が同じ話をしたとき、私は二回目だって気づいて、でも言わなかった。言ったら、彼が傷つくと思ったから。


でも、今、言おうとして、やめた。彼の視線が滑ったから。滑った先には、窓があった。窓の外は、もう暗かった。


「まあ、いいや」


私はそう言って、コップの水を飲んだ。冷たかった。

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