ガラスの輝き
「……黒ガラス?」
「はい。しかも、ただの黒ガラスではなく向こうがよく見えるようで、ワイバーンの部下たちはそれをかけて歩いていました。奴らによれば眩しさが軽減されるとのことです」
「なるほど」
勇者たちが漁師のささやかな獲物を奪うせこい海賊を捕まえるつもりで出かけ、大海賊に出会ってしまったその日の夜。
東の海に浮かぶイエンザ島。
その中心となる港町ヘアアーリにある大工房でブリターニャからセリフォスカストリツァを経由して戻ってきたマセドニオたちの言葉に「幻影の大海賊」の長ボランパックマルシアル・ボランパックが顔を歪める。
「奴の本拠地ファンドリアナ島にそんな工房があったなど聞いたことがない。そもそもバレデラスの配下にそのようなものをつくれそうな者などいないだろう」
「ですが……」
そう。
いくら否定しても実際に物がある。
となれば、代案を出さねばならない。
数瞬後、ボランパックが口を開く。
「考えられるのは魔族どもがそのようなガラスを生み出したということだ。それをワイバーンに売りつけた。これなら奴らがそんなものを持っていてもおかしくはない」
「ですが、ワイバーンは自らの工房で……」
「そう言わねばならないだろう。誰でも知っていることとはいえ、一応、建前上は魔族と貿易はしていないことになっているのだから」
「それよりも……」
「ワイバーンがそんなものを売り始められたらこちらの商売が大打撃だ」
「圧力をかけると?」
「違う。こちらも同じものをつくるのだ」
「そのためには、それがどのようなものかを渡しにわかるようによく説明をしろ」




