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異世界85日目 6月24日(月) ④そっちも寄せてきたか!


「まったく! イリアさんったら! あんなの下着より見えてる面積多いじゃない! もう信じられないよ!」

 

 アレクの牧場は目と鼻の先なのだが、思い出したかのようにルーミィの愚痴が飛んできた。清楚なイリアさんはきっと幻だったんですよ。しかし、あれ程の露出をしてくるとは。季節はすっかり夏だもんな……いよいよ本領発揮して来たな。


「和也……またイリアさんの胸と体の事を考えてるでしょ? いい加減にしないと……」


「申し訳ございませんでしたっ!」


 恥も外見も捨ててその場で正座して謝った。これ以上イリアさんの夏verを想像していたら何をされるのか分かったものじゃない……震えが止まらないんですけど。


「うん? カズヤ、何してるんだい? そんな道端で」


 首を傾げながら鍬を片手に問いかけて来たのは勇者アレクだった。どうやら脇の畑の手入れをしていたようだ。ちなみに俺は勇者と呼んでいるが、厳密に言うと今は引退して元勇者らしい。今は別の勇者が頑張っているみたいだ。

 ソフィちゃんの父上であるバストラさんと知り合ったのも『勇者していた頃に……』って言ってたもんな。でもまあ、この牧場に魔王が居るんだけどね。つまりここ、牧場がラストダンジョンと言う事か。


「や、やあ、アレク。ちょっと誠意を見せていたところです……」


「ふんっ!」


 あらぁ……またルーミィ怒っちゃってるよ。とほほ……また今日の夕食におかずを一品追加しなくちゃいけないな。


「相変わらず仲が良さそうだね」


 そう見えます? 今おっさんは十七歳の子に対して足に泥を付けて正座して謝ってるんですけど? まあ……いつも通りといえばいつも通りなんですけどね。


「アレク、今日は新鮮な牛乳を買いに来たんですけど。在庫の方はありますか?」


「今日の分は出荷しちゃったけど。乳牛はいっぱい居るからね。絞ればいくらでもあるよ」


 なんと! 新鮮どころでは無い。超が付くほど品質では無いか! ここの牛乳の美味しさは既に味わっていて折り紙付きだからな。ふふ、明日のスライム料理は最高の一品が作れそうだ!


「ルーミィちゃん、カズヤはほんと料理の事を考えてる時って幸せそうな顔するね」


「そうなんです。後、イリアさんの事を考えてる時もね!」


 おうふ……なんか睨まれた。今日のルーミィは手厳しいな、自業自得なんだけどさ……それより、そろそろ立っていいかな? このままではお買い物出来ませんので……。



≪≪≪



 以前は園児達に体験してもらった乳絞りだが、アレクの計らいで今回は俺とルーミィもやってみる事になった。


 だが、いざ乳牛の前に立つとその圧倒的な巨躯に少々恐怖を感じた。アレク曰く、大人しい子との事だが、こちとらシティーボーイ、じゃないなシティーおっさんなので動物に触れる事自体が稀な事なのだ。

 最初はビビリまくっていたが、だんだん慣れてきてなんとか牛乳を搾取し終わりルーミィと交代した。独特の触感だったな……柔らかいけどこう、なんか厚みがあるというか。

 これでまた人生経験が増えた。やっぱり何事も経験である。


「じゃあ次は私がやってみるね! こうかな?」


 ルーミィが乳牛のおっぱいをにぎにぎしているのだが、あまり出が良く無い。おっさんの先程の経験と邪な経験も踏まえてアドバイスさせて頂くとしよう。


「ルーミィ、ただ掴むだけじゃなくてこう、優しくしごいて絞り出す感じの方がよく出ますよ?」


「えっと、こう? うわ!? いっぱい出たぁ! すご~い! もっと出して~♪」


 くっ……邪悪な心が。女神様が……い、いやよそう。神聖な牧場で恵みを分けて頂いているのだ、そんな馬鹿げた事を考えてはいけない。

 ただ、園児達以上に来る物があるな……。


「じょ、上手ですね。で、でももう十分じゃないですかね?」


「ええ~、もうお終い? 折角コツを掴んだしもっと絞り出したかったなぁ……結構クセになりそうな感触だもん!」


 うん、もうぶっちゃけちゃうよ。エロいね。その言葉と喋りながらも手は休めないところが。


 少々前屈みになり気味でアレクにはお礼と代金を支払い牧場を後にした。お金は要らないとの事だったが、しっかりとお支払しておいた。体験もさせてもらってタダではこちらの申し訳が立たない。


「楽しかったね! 私も乳絞り出来るようになったよ! こんな感じで絞るといっぱい出て――ちょっと和也!? 歩くの早いよ! というかちょっと走ってない!?」


 あのね! 人通りが無いけどここは天下の往来なの! そんな卑猥な手に動きをしちゃダメ!


「ルーミィ、外でそんな手の動きをさせてはダメです! 乳絞りする時だけにして下さい!」


「ちょっとぉ! どうして逃げるの!」


 完全にマイ・サンに影響を与えてしまってるからですよ! こんな姿を見られる訳にはいかない! 少なくともルーミィの前にいなくては!


 そのままプチ鬼ごっこをしながら園に戻った。おかげで大分早く帰ってこれたが、息が上がりバテバテであった。尚、ルーミィの方は息は乱していない様子だ。

 これが若さか……。



≪≪≪



 夕食を終えた所で恒例の神ポイント確認タイムとした。実はサマーフェスや熱中症事件のバタバタでこの三日間、神ブックのチェックを怠っていた。結構神力を使ったからちょっと不安だ。


 まずはアイスコーヒーを飲んで少し気持ちを落ち着かせよう……しかし、いくら汚れ無いからといって、またこぼさないように注意しないとな。

 ……気のせいだろうか、なんか妙な胸騒ぎがする。



 ――神ポイント――


 6月21日までの神ポイント 

 ・2352ポイント


 6月22日

 ・初めての休日保育 300ポイント

 ・神力使用 -40ポイント

  内訳:帽子1個 -10ポイント×4個


 6月23日

 ・ポイント変動無し


 6月24日

 ・日常保育2人 4ポイント

 ・神力使用 -250ポイント

  内訳:花壇 -100ポイント

  畑 -100ポイント

  種イモ -50ポイント


 現在の神ポイント 2366ポイント



 やっぱサボると把握するのが大変だ……。今回は三日間の詳細が分かるようにイメージしてみたけども、やっぱ見辛い。日々の積み重ねの大切さを痛感するな。


 とりあえずサマーフェス参加は休日特別保育という扱いになるのか。結果的には14ポイントの微増か……まあ、あれだけ神力使って減っていないなら良しとするべきだろう。


 神ブックを閉じ、飲みかけていたアイスコーヒーを口に含んだ。いろいろ考え事しながら確認してたからちょっと温くなっちゃたな……。


「か、か、か、和也ぁ!!」


 はい、はい、なんでございましょうかね? 虫でも入ってきましたか? やけに騒がしゅうございますね……。


 神ブックから目線を上げた途端、思わず口の中のコーヒーを開いた神ブックに噴き出してしまった……。


 ああ、またやっちゃた……神ブックがぁ。でもあ~ら不思議、布巾でコーヒーをふき取って……ほぉら、汚れは付かないんです! これ、普通の本だったら確実に上司さんに怒られてるな。


 しかしこれだったか、さっきの胸騒ぎは……まるで振りのようであったが、いくら汚れないとは言え、神様のアイテムを粗末に扱っていては罰が当たってしまう。

 神を侮辱するような行為とも取られても仕方が無い行為であるが、その原因は……それは俺の視界に入るルーミィの姿である。


 目の前に立つルーミィは男物のシャツを着ており、胸元のボタンを留めずに胸元をはだけさせ、手は袖で完全に隠れており、隠れてはいるが小さな膨らみが僅かに覗いていた。

 確実にブラは付けていない。そのまま視線を落としていくと内股になった生足が見えた。ズボンもスカートも履いておらず、シャツの端を両手で引っ張り、なんとかパンツを隠しているようである。


 それ……俺がこっちの世界に転移した時に着ていたカッターシャツですよね? なんて使い方してるんですか……と言うかどうして持ってるの? それ、俺の部屋にあった筈ですけど? 

 漁ったの? おっさんの部屋に勝手に入っちゃだめでしょ……。


 よっぽど恥ずかしいのであろう、耳まで真っ赤にしてもう泣きそうな顔をしている。しかしそれも当然だ、見ているこっちも恥ずかしいぐらいですから。


「わ、わ、私だって、イ、イリアさんみたいに、だ、大胆になれ、なれ……ううぅ、み、み、み、見ないでぇ!! え、えっちぃぃ!!」


 叫びながら走り去ってしまった……いや、おかしいでしょ? そっちが見せてきたんでしょ!? ルーミィもイリアさんに寄せてどうするの……。


 個人的には永久保存したい絵面ではあったがここは保育園である。そんなお色気要素は要らないので、園児達の前で絶対しないように念を押しておこう……。


 異世界……捨てたもんじゃ無いな……。


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