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異世界25日目 4月25日(木) 発見! あの人は今!


「いやあ、よく来たね!」


 爽やかボイスに歯をキラリと光らせて出迎えてくれたのは牧場の若旦那のアレクさんだ。風で流れる金髪と蒼い目がもう似合い過ぎておっさんは直視するのが辛いです。


 今日は園児達を連れて村に遊びに来ており、雑貨店にも寄ってソフィちゃんにお店を見せてあげ、更に牧場まで足を伸ばしお邪魔させて頂いている。


 実は前もってアレクさんには園児達の牧場体験をお願いさせてもらっており、快く引き受けてくれてたのだ。やっぱりイケメンは心が広い。


「おにいさん! こんにちは~!」


「……こんにちは」


「ご挨拶上手だね。はい、こんにちは」


 二人の園児に笑顔で答えてくれているのだが……やっぱり歯が光ってるように見える。幻か? そうだ、幻に違いない。人の歯は光るようには出来てはいない。


「君が村で噂のアメリアちゃんだね。えっと、そっちの子は……その瞳の色、古龍……の子供?」


 出ました、爆弾発言。ねえどうして村の牧場の方が古龍様をご存知なんでしょうか? この牧場の方の常識外れの身体能力は知ってますが、目が合って生きている生物は居ないと称されているモンスーですよ?


「あいつ、最近連絡無いと思ったら子供が出来たんだ。まったく、言ってくれればいいのに」


 アレクさんはにこやかな表情を浮かべ、空を見ながら感傷に浸っている。よし、とりあえず光る歯の事は後回しだ。今、確認しなければならないのは古龍の事を何故ご存知なのかだ。しかもあいつ呼ばわりしてるって事は確実に面識あるよね?


 確か視認されて生きてる存在は無い筈でしたよね? ひょっとして誤報ですか、神界新聞編集者さん?


「あの、古龍――バストラさんをご存知なのでしょうか?」


「うん、勇者していた頃にちょっとね。そうか~あいつも、もうパパかぁ」


 ちょっ!? 勇者ぁ!? 村外れの牧場で勇者様を見つけましたよ!?


「おや? 銀狼とレッドドラゴンの子じゃないか。うん、その瞳の色は……古龍の子じゃな。そういえば久しく会っておらんのう。なあ、おばあさん?」


「そうですね、おじいさん。とても立派になっているでしょうね」


「でもあいつ、奥さんに頭上がらないんですよ」


 自然と会話に入ってきたおじいさんとおばあさんであるが、気配無く現れる事が出来るんですね? そしてバストラさん、今ここに貴方を知っておられる方が懐かしみながら談笑していますよ。

 後、何気に勇者様から聞かれたくない恥ずかしい事もカミングアウトされてます。


 この牧場……一体何なんだ? と、とりあえず園児達も居る事だし話を進めさせてもらおう。もう、理解を諦めてしまうという選択も有りの筈だ。


「ええっと、今日は牧場体験宜しくお願いいたします」


「ええ、お馬さんの餌やりや乳牛さんの乳しぼりなどを体験して貰いますね」


 自然に会話に入ってきたのはスタイル抜群のミステリアス美女、若奥様のナーシャさん。と言いますか、貴女もどこから出てきたんですかね? 

 何なんだこの牧場は……。



≪≪≪



「おうまさ~ん、ごはんだよ~!」


「……お食べ」


 牧場に勇者滞在というとんでもない事実が発覚したが、園児達は餌やり体験中である。ただ、この二人、最強モンスターの子供なのだ。そんな二人に餌を貰う動物達の気持ちはどんな気持ちなんだろう……。

 まあ、なにはともあれ動物との触れ合いは貴重な体験だ。周りが神クラスのお仲間ばかりの子供には特に。


「カズヤさん、宜しければ昼食も召し上がっていきませんか?」


 お馬さんの餌やりのお手伝いをしてくれているナーシャさんからのお申し出である。新鮮な牧場の料理を頂けるなど中々無い機会なので大変魅力的だ。

 何より横に居たルーミィさんの口元が緩みまくっている。その内よだれが垂れてきそうだ。ここで断ったらルーミィさんに一生恨まれる。ここはありがたくご厚意に甘えさせて頂く事としよう。


「宜しいのですか? それじゃあお言葉に甘え――」


「やったぁ~!! 牧場のご飯だぁ~!! もう美味しそうの100連発だよ!」


 おい、マジでやめて女神様……クソ程恥ずかしいので……。そして何が100連発なんですか? 俺は頭痛が100連発ですけど?




「いっぱいミルク出たよ~!」


「……凄い量……飲みきれないかも」


「二人共、上手に出来たね!」


 餌やり体験に続き乳搾り体験を実施中の園児達である。ナーシャさんは昼食の準備に向かったので、今はアレクさんが園児達の面倒を見てくれている。

 乳牛を見る事すら俺にはそう無いが更に乳しぼりなど中々出来るものじゃない、俺も乳搾りは体験した事が無いもんな。しかしこんな大きな動物にも関わらず、二人とも一切物怖じしていない。流石は最強種の血を引く存在である。


 そして何だろう。園児二人の言葉はおっさんの脳では卑猥な言葉に変換されている。そして乳搾りの仕草も。

 いかんいかん、純粋な子供の前で邪念が。そんな事を考えていたら異世界全国の酪農家さんに石を投げられる。不純な妄想は控えよう。


「何かは分かりませんが、絶対、邪な事考えてますよね? 和也先生、最低ですね」


 ルーミィさんから放たれた冷たい言葉の槍が突き刺さった……。


 エスパーか!? いや、神か。しかし何故こうも考えている事が分かってしまうのだろう。また顔か? 顔に出ているのか? しかしその一瞬を見逃さないとは……恐ろしい子!


「二人共乳搾りは上手に出来たかな? じゃあ昼食の準備が出来たからお昼にしましょうか?」


 ああ、助かりましたナーシャさん。貴女のお言葉でルーミィさんの瞳がジト目が生き生きとしたものへと変わりました。




『いただきま~す!』


 食事の挨拶をみんなで行い、早速牧場の料理に舌鼓を打たせて貰う事にした。冷やされた牛乳は新鮮で濃厚であり、とてもコクがある。それにこの香ばしい香りのソーセージは一噛みすると肉汁が溢れ出てくる。これがまたパンに合う! 


 園児達も喜んで食べている。しかしアメリアちゃんの口の周りにケチャップが付くのはデフォなんだろうか。まあ、それが原因で襲われる心配はもう無いが。

 ソフィちゃんはなんかドラゴンというよりもやっぱり、リスっぽい。小さな口で少しづつパクついている。


 とても美味しい牧場の料理にアレクさんもナーシャさんも、おじいさん、おばあさんも笑顔で食べているのだが、その中でも断トツの料理を美味しそうに食べるチャンピオンが居た。 

 園児達の可愛らしさ、拙さを差し置いてルーミィさんが断トツだった。元の世界なら食品業界からCMオファーが山のように来るであろうその表現力にもはや驚きすら感じた。


 食べ方、表情、動き、そして時折艶やかな至福の声を上げる美少女。これが元の世界のテレビCMで流れた日には全国の人が怒涛の勢いで商品を買いに走ると思う。

 見入るのは男が多そうと思い込みがちだが、ルーミィさんの魅力はそこに押し留らない。あくまで推測だが、女の子目線で見たとしても素晴らしく心惹かれるものがあるのではないかと感じる。食べ物に関しては女性の方が興味が強い傾向にもあるからね。

 

 まあ、この異世界にはテレビなんてないからオファーは来ないけどね。



≪≪≪



「はい、これお土産よ」


「ありがとう~綺麗なおね~ちゃん!」


「……美しい人、ありがとう」


 しっかりお礼も言えて本当に賢い子達だ。ナーシャさんも嬉しかったのであろう、園児二人を褒めちぎった後、アレクさんに寄り添い『私達もそろそろ……』なんて言う声が聞こえてきた。


 普段なら死にたくなる状況であったが、今はもう少し生きねばならない。ルーミィさんのフリーズを解かないといけないから……。

 ほら、ナーシャさんは綺麗な方だからさ。そんなにショック受けなくても……。も、もちろん女神様もお美しいですからね?



≪≪≪



 夕食を終え、ソファーで湯気の上がるコーヒーをすすりながら神ブックを開いているとルーミィさんが現れた。暗い表情をしながら……。


「綺麗……美しい……か」


 なんとか牧場で解凍は出来たのだが、夕食も終わって一息付いたこのタイミングでぶり返したようだ。ちなみにアメリアちゃんとソフィちゃんは今日の牧場体験に大満足して帰宅していった。今頃は親御さんと楽しく語らっている頃かも知れない。


「とりあえず神ポイントの確認してみますね?」


「はぁぁ……」


 なんか、気を使うなあ……。



 ―神ポイント―


 ・前日までの神ポイント 1744ポイント


 ・日常保育2人 4ポイント

 ・初めての牧場体験 200ポイント


 ・現在の神ポイント 1948ポイント



 これ、結構早く10000ポイント貯まるんじゃないか? トントン拍子でポイントが増えている!

 元の世界でやたらとポイントを貯める事に注力していた人を知っているが、こんな気持ちだったんだな。今なら共感出来る。俺も元の世界に戻った暁にはポイントカードを作ろう。


「はふぅ……」


 いや、あの……喜んで? 神ポイント達成は再研修の一つの課題の筈ですよ? 相当ショックなんですね、後でスイーツで治療してあげますから。


 いろいろ不可解な事が残る一日ではあったが、ポイントも順調に貯まり出し、園児達も良い子、さくら保育園は絶好調だ!


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