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異世界272日目 12月28日(土) ②因果応報


 ラッキーハプニングもあったのだが、レインからしっかりとお叱りを受け、その後は心を入れ替えて掃除を行った。おかげでお昼を回る頃にはキッチンの方もピカピカにする事が出来た。

 しかし流石のおっさんも朝早くから随分と頑張っていたので少々お腹が空いてきた……しかし、今から昼食を作るのは時間のロスに繋がるし、何より食材が乏しい。なのでここは特別に神力を使ってアレを出そうと思っている。


「さて、続いてはリビングですね。ですが、ここらでお昼休憩としましょうか」


「でも今から作るんでしょ? ううぅ……お腹空いたぁ……待てないようぉ……」


 体力は先程回復した筈だが流石に満腹感までは得られていないようだ。ソファーに体を預け、まるで何日も食べていないような表情を醸し出している。とっても肌艶はいいんですけどね。


「お疲れ様です、お二人のおかげでかなりハイペースで進められていますよ。このペースなら十分今日中に終われそうです。ですが、昼食を作るのは時間のロスにも繋がりますし、食材もお買い物をして無いので乏し為、特別に私の世界の即席料理を神力で用意しますね」


 時間をかけずに食べれる即席料理。毎日食べると体を壊しかねないが、たまに食べると美味しい『カップラーメン』これを具現化しようと思っている。なんといっても準備するのがお湯だけなのでとっても時短になる。


「カズヤ様! 神力を食事にお使いになられるのですか!? そんな事は許せま――」


『ぐぅぅ~』


 キッチンに響き渡った腹の虫の鳴き声。ふとルーミィを見るが首を横に振っている。そしてレインは耳を真っ赤にして俯いていた。


 お姫様……前にもこんな事がありませんでしたかね? でも確かに緊急事態でも無いし、こんな事で神力を使うのはレインの言う通りやめた方がいいかも知れない。仕方が無い、何かあるもので間に合わせようかな。


 神力使用を諦め、冷蔵庫に残っている食材を思い出しているとルーミィはゆっくりとレインに歩み寄り、耳を赤く染めて項垂れるレインの肩に優しく手を置いた。


 その横顔は慈愛に溢れた女神様そのものであった。一体今から何が行われようとしているんだ……。


「レイン、和也はしっかりと考えてくれているよ? 今までだってそうだよ。園の為に、そして私達の為に。それはレインも感じてるんじゃない?」


「ル、ルーミィ様……そ、そうでございました。カズヤ様が何の考えも無しに神力をご使用になる筈はありませんね……」


 レインは頭を上げ、ルーミィを眺めている。なんかそこまで言われるとが逆に恥ずかしくなると言うか……もちろん全く考えていない事は無いんだけど、そこまで深くも考えて無かったりするんですが。

現に今だって大掃除の効率を上げる為にラーメンを具現化しようとしてるぐらいですから……。


「うん、そうだよ。だから、カズヤに出して貰おう、美味しい料理を……じゅる……」


 惜しい、最後のよだれさえなければ。どうやら我慢の限界だったようだ。




 結局ルーミィが競り勝ち、改めて神力を使用する事になった。早速具現化したラーメンは味噌、醤油、とんこつと定番を揃えてみた。一応、お代わりするだろうと見越して2セットづつ。


「これは……箱でしょうか?」


「和也、酷いよ! あんまりだよ! 食への冒涜だよ!」


 なんかルーミィが荒れてる……信じていたものに裏切られた感が全開である。


「落ち付いて下さい。この中に入っているんですよ。作り方はこれにお湯を入れて三分待てば完成です」


 その説明に二人は信じられない目線をカップラーメンに送り続けている。確かにこの世界にはインスタントという概念は無いので、レインは当然の反応なのかも知れないが、ルーミィも同じ反応とは。神界にはカップラーメンって無いのかな?


 まあ、神様がカップラーメンすすってたらちょっと嫌だけど。


 さて、折角時短料理を出しのだ。眺めていても仕方ないので早速調理を開始する事にした。まずはカップ麺のフタを開け、お湯を注いでと……調理完了。

 ほんと、先駆の方は便利な物を開発してくれたものだ。


「はい、それではいただきましょう!」


 リビングに戻り、テーブルに腰かけると同時に二人にGOサインを出した。個人的にカップラーメンは固めが好きなので三分は待たない派なのだ。


「いい匂いだけど、お湯しか入れてないよね? どんな魔法なの?」


「カズヤ様の世界には不思議なものがあるのですね」


 それはお互い様だと思いますし、どちらかと言えば魔法の方が不思議だと思います。こればっかりは工夫とか発明じゃ成し得れないですもんね。


「お、美味しいですぅ!」


「ほんと! これ、癖になっちゃいそう!」


 美少女達が揃ってズビズビと麺をすすっている。俺はインスタント料理が邪道だとか言うつもりは一切無い。これも立派な料理であり、創意工夫が練り込まれた一品であるからだ。

 ただ、ルーミィの言う通り病みつきになっちゃうのが少々厄介である。たまに食べる分にはいいのだが、こればっかりだと栄養が偏ってしまう。


「あ、出来ればスープは全部飲まない方がいいですよ。カロリーも高いですから」


「うん! 大丈夫! 美味しいから!」


 確認した上で両手でカップを持ちゴクゴクと飲んでいる。それ、飲み物じゃ何ですけど。それと何が大丈夫なの? 


 結局二人はお代わりも食べ切り、最後の一個も全味をコンプリートしたいとの要望を懇願され、結局もう一種類を半分こして食べていた。尚、スープを含め完食であった。


 ……もう、カップラーメンは出さない。この二人の健康状態を阻害する恐れがある……。




 昼食を済ませ、昼の部の開始である。リビングの掃除なのだが、ここは広くて人が一番多く集まる場所であり、物も沢山ある。

 キッチンに続き最大の山場である。ここをクリアすれば後は楽勝である。


「さあ、昼からも頑張って行きますよ~!」


 満腹になった二人からも威勢の良い声が上がり、大掃除を再開することになった。


 その後も順調に大掃除は進み、リビング、お風呂、テラスに自室と駒を進め、辺りが暗くなる頃には無事完了する事が出来た。



≪≪≪



「さ、流石に疲れましたね……いやあ、もう動けません」


 精も根も使い果たした俺はソファーに顔を埋め、寝転がっていた。だが俺は異世界に来ても大掃除をやり切ったのだ! ふははぁぁ……疲れた……。


「和也~とってもお疲れのようだね?」


 ルーミィの声が頭上から聞こえた。ああ、お腹が空いたのかな? じゃあ、夕食を作り――しまった!? 大掃除に夢中になり過ぎて今日お買い物行ってない! 食材もロクに無いし、スライム料理は昨日イリアさんに出荷しちゃってるし……。


 ソファーから顔を上げるとにっこりとほほ笑むルーミィ……の手には聖水が握られていた。


 ドーピングしてでもご飯を作れと?


「さあ、もうひと踏ん張りだよ? 頑張ってね~♪」


 軽率な行動をしたと思う。因果応報とはまさにこの事である。結局拒否する事など出来よう筈も無く、ルーミィから渡された聖水を飲み干し、元気全開になった俺は食材を買いに行かせて頂いた。


 うん、羽が生えたようだ! 尚、聖水は後遺症として眠くなってしまう。ルーミィは食事が出来るまで仮眠するようだ。


 しかしちょっと調子に乗り過ぎたかも知れない。冷静に考えれば貴重な聖水の無駄使いしちゃったような気がする。森の雪が解けたら速攻取りに行こう……。


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