10話 元気
僕らは11時には起こされてしまった。結局2時間ほどしか寝れてない。同室の川口君も寝足りないのか二度寝をしようとしているので「川口君、起きないとだめだよ」と起こそうとした。
「いや、オレ代表戦の時寝坊して怒られたことあるくらいだし怒られても平気だよ」と彼は言った。おそらく連帯責任という形で僕も怒られそうなんだが……
というか、日本の将来を担うであろうボランチと称される彼がこんな人間だとは思ってもいなかった。
……仕方ない、あの手を使うか。僕はスマホである物を再生すべくネット検索する。以前寝たらなかなか起きない頑固な友達に対しても有効だった手だ。僕はスマホの音量を最大にする。
「……ァん……アン……気もちぃぃ……!!!」
そう、AVを流したのである。大音量なので隣の部屋にも聞かれるかもしれないがその時は川口君が寝起きから盛んだったと言っておけばいい。彼は目をギラギラさせて起き上がった。「オレも混ぜろぉぉぉォォオオオ!!!!」
「ふっ、作戦成功だな」僕はスマホの音量を下げる。
「クソッ!!カズだっけか、オレのこと騙しやがったな!!」
「いいから取り敢えず下隠せよ」と僕が言うと、はっとした様子で川口君は元気な下半身を隠した。やはりアスリートで体を鍛えているからか僕のより多分大きかった……
「じろじろ見て……お前ホモか??」
「なっ!!初対面の相手にそんなこと言うのか!?」僕は怒った。
「安心しろよ、オレは両方いけるから」
「……は???」頭の中が真っ白になった。
「お前が寝てからちょっと見たけど良い体してたしオレの好みだぜ」
もはや言葉も出なかった。血の気が引いているのが自分でもわかる。
「まあ、全部嘘だけどな。どうした?本気だと思ったか??」と川口君は豪快に笑った。
「良かった、安心したよ……」留学初日にして部屋を変えてもらわなければいけないかと思った。今の嘘は流石にビビったが仲良くやっていけそうだ。
「そういや挨拶がまだだったな、カズよろしくな!」と元気は僕に手を差し伸べた。
「おう!よろしくな元気!!」僕は元気の手をギュッと握りしめた。
「そういやカズのあれオレのより小さかったな」
「結局見てたのかよ!!!」
「まあまあ、オレ今までサッカー関係でいっぱい見てきた中では平均くらいだったぞ」
「その情報別に嬉しくない……」
なんというか、バカと天才は紙一重と言うのはまさに彼のような人のことを指すのかなと思った。
まあ午後に軽く英語のテストを受けさせられて分かったことだが、元気はバカと天才は紙一重なんて言ったが、天才なのはサッカーだけで完全にバカだということが判明した……
そして彼はこう言った。「これブラジルのサッカー留学じゃなかったん??」と。




