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最強武闘家一族の最硬者  作者: まるまるくまぐま
学園生活の始まり
29/35

祖父と孫娘

 面倒くさい…

 祖父のニヤけた声に溜息を漏らした。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



 半年前、経津主本宅に行った時を思い出す。

「流石虎春様!!」

 鍛錬場で経津主の大人たちを鎧袖一触で倒し続ける私を褒め称える声。

「流石寅華様の血を引かれる御方!!」

 しかし、褒め称えるのは私自身じゃない。私の中に流れる母の血だ。

 別にそれは不快ではない。

 自分自身分かっているからだ。 

 碌に鍛錬もせず、体格の差もものともせずに、強くなる為に命懸けで鍛錬に励んだ大人たちを虫を払う様に倒せるのは、生まれながらの強者である母の血によるものだと。


 だから別にどうでもいいのだ。

 ただ一人、祖父を除いて。


 祖父、彪鐵の私を見る目がヤバい。

 狂気を宿したその目に、なんか危機を感じるのだ。


 会えば猫可愛がりし、お小遣いをくれる祖父は嫌いではなかった。

 しかし、度を超したそれは、絶賛思春期で反抗期な虎春にとって、祖父のそれは『気持ち悪い』に一言に変わっていた。

 嫌いじゃないけど気持ち悪い。

 母を溺愛するのもそうだし、それ以上に自身を溺愛するそれが思春期で反抗期の虎春にとって最大の標的となった。

 

 反抗期とはいえ、優しい父に反抗する気はないし、反抗などしようものなら、この世の地獄以上の恐怖と痛みを伴う母に反抗する気は起きない。

 反抗する相手が身近にいない(兄は除く)虎春にとって、程良く強い祖父は丁度いい対象であった。

 そんな風に反抗期の虎春から気持ち悪がられているとは微塵も思っていない祖父彪鐵は、最愛の娘である寅華に年々似ていく孫娘を傍から見れば狂気とも思えるレベルの溺愛をし、余計に気持ち悪がられるという無限ループに入っている。


 そんな祖父が何故か兄の端末を受信している。

 それだけで虎春は察した。

 経津主学園に通うこととなった兄虎千代と、そんな兄(正確には兄と父)を嫌う学園長の祖父。そんな二人が同じ学園内にいるのだから、兄が攻撃されない理由が存在しない。

「雑魚兄貴…」

 祖父によって兄が叩き潰されたと察した虎春は、そんな呟きを漏らしながらも、祖父への嫌悪感を露にした。

「キモい…爺様、ホントキモい‼」

 母と父が結ばれたのは本人たちの意思だ。そして、そんなふたりから産まれた私たちは親を…家を選べない。

 親として、母の結婚に不満があるのは何とか許せる。しかし、自ら望んで産まれたわけでもない私たち兄妹にその感情を向けるのは違うと予てから思っていた。

 母に似ているというだけで可愛がられる私と、父に似ているというだけで嫌悪される兄。

 『力こそ全て』な一族と言えども、あまりにも理不尽な迫害を受ける兄に対し、妹として不快感がずっと胸の中にあった。 

 虎春にとって祖父の行動は、それを更に増長させたのであった。



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「…えっ⁉おじいちゃまキモい…」

 彪鐵は孫娘から放たれた言葉に、この世の終わりの如き絶望を感じていた。

 何故だ!?

 加齢臭対策も万全だし、常に清潔感を維持するように心掛けているし、会う度にお小遣いは渡している…

 彪鐵には原因が分からなかった。

 一瞬脳裏を過った『反抗期』という言葉も、可愛い可愛い孫娘に限って有り得ないという、爺馬鹿で可能性を消去した。

「こ、虎春ちゃん!!おじいちゃまに何が駄目なんだい!?駄目なとこ直す様に、おじいちゃま頑張るから!!」

 必死の言葉に対して返ってきた言葉は、受け入れ難いものだった。

「父様とお兄ちゃんを嫌うのをやめて。先ずそこからよ。」

 

 愛しい孫娘からの要望は、絶対に変えられない己の信念であった。



 




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