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最強武闘家一族の最硬者  作者: まるまるくまぐま
学園生活の始まり
28/35

彪鐡

「今年のず組は一味違うかもしれんな…」

 右頬に僅かな切り傷を負ったケンゴロウは、一年ず組の教室を後にしながら呟いた。

「元より目を点けていた経津主虎千代。悪鬼の評判通りの赤藤(しゃくどう)進雄(すさのお)…計り知れぬ大器だ。」

 瀕死の重傷を負った進雄と、そんな彼を必死に処置する無傷の虎千代。

 末恐ろしさを感じながらも、ケンゴロウは期待を抱いて自分の教室へと戻って行った。



−−−−−−−−−−−−−−−−−



「だ、誰か!!病院に!!」

 深く斬りつけられ、朦朧とした意識の進雄を介抱しながら、虎千代はパニック状態で叫んだ。

「今年は死者が出なかったか…随分と生温いじゃないか。」

 そんな虎千代の背後から聞こえた声。

「爺ちゃん!!早く病院…救急車を!!」

 声の主に向かって虎千代は振り向いてそう叫んだが、そんな叫びに対して返ってきたのは顔面への強烈な蹴りだった。

「貴様は孫でもなければ経津主でもない。寅華の子でなければ、とっくに殺しているというのに…」

 心底残念そうにそう言って、虎千代の頭を踏みつける。

「安心しろ。この経津主学園で血の流れぬ日は存在しない。それ故、腕の良い医者を何人も雇っている。あの小僧は死なんだろう。」

 虎千代の頭の上に置かれた足をぐりぐりと動かしながら、彪鐵(あやがね)はそう言うと、目で後ろにいた黒服の男に合図したすると、黒服の男は進雄を抱えて何処かに行く。

「まあ、仮に死のうと、私は一向に構わないが。毎年、『新入生歓迎会』では数人死人が出るからな。雑魚が何人死のうと、我ら経津主にとって取るに足らぬことだ。」

 そう言って虎千代を再び蹴り飛ばす。

「っ!!ぐぅ…」

 母程の威力はないが、妹よりも遥かに強い蹴りが腹部に突き刺さり、血を吐く虎千代。

「そういうところが嫌いなんだ!!経津主がw僕を嫌いなのと同じで、僕だって経津主が大っ嫌いだ!!」

 力の絶対主義。あまりにも残酷で残虐な一族の在り方を虎千代は理解出来なかったし、したくなかった。


「頑丈さだけは一丁前だな。」

 ズタボロになり気絶した虎千代を見下ろして彪鐵はそう呟く。

「寅華が貴様を…貴様とあの男を愛していなければ、直ぐにでも殺してやりたい。」

 虎千代と、ここにはいない潤三に殺意を込めて言う彪鐵。

 最愛の娘を奪った(潤三)と、その男によく似た孫は、彼にとって許し難い存在であった。

 殺してしまいたい衝動と、寅華に嫌われたくないという理性の葛藤で動きが止まった彪鐵の耳に、コール音が入ってきた。

 自分の物ではない…

 虎千代のポケットから端末を取り出し、コール主の名を見た。


「ああ、今日は実にツイている。」

 可愛い孫娘の名を見て、彪鐵はニヤリと笑った。

 


−−−−−−−−−−−−−−−−−

−−−−−−−−−−−−−

−−−−−−−−−



「この雑魚兄ぃ!!」

 端末から発信したコール、受信が確認されたと同時にそう怒鳴った虎春。

 しかし、兄である虎千代へとコールしたと思っていた虎春は、返ってきた音声は違う人物のものであった。

「虎春ちゃん、おじいちゃまでちゅよー。」

 祖父、彪鐵のだらしなくニヤけた声。

 直ぐ様通信を切る虎春。

「発信先を間違えたみたいね…」

 大きく深呼吸して再度兄の端末へと発信する虎春。

「虎春ちゃん?」

 聞こえてくるのは祖父の声。

 聞こえない様に溜息を漏らし、虎春は祖父と向き合う。

「爺様…お兄ちゃんをどうしたの?」

 そう可愛らしく問いながらも、怒りを滲ませながら。










 

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