表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤児のTS転生  作者: シキ
孤児と愚者の英雄譚

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

267/267

267

眼前は白に染まり炎は轟々と燃え今ここには私が先ほどまで手の内で作り変えていた水すら手をから解け落ち存在しない。

だからといってここで一瞬でも悩んでいたならばあの爪で一掻きで絶命するだろう。

極水舞だけでは攻撃を防ぐのも難しくなることだろう。


走り出すと共に自分の首に向かってメタモルフォーゼにより変化し鱗が生えた腕を撫でるようにして掻きそこから血が吹き出す。

血は私の首に滴り線を作りその血に私は手を添えた。


この世界での身体には太い血管の他に魔力を流す毛細血管のようなのが存在する。

その毛細血管に流れる魔力の速度を速く循環することで今までのような身体能力の強化を行っていたが…今回は私の使える全てを使い果たす。

流れ落ちてくる血は空中に存在する酸素と結合し更に赤くなる。


「血を糧に…思うがままに動かす水へと変われッ」


発すると手に添えられた血が生まれ変わるように振動して雫が私の周りを飛ぶ。

そうして生まれたのは一つの凝血した血で出来た私の手にぴったりな小ぶりのナイフ。

流石にこの小さな身体から取り出せる私の血の量はたかが知れてるからこの大きさだ。


コレで先ほどの様な攻撃が可能だ…周囲を飛び回る極水舞は一回りその大きさを小さくはしたがそれでもまだ炎の腕を止められる。

後は単純な一対一…だが果たして今の私の能力で獣人族特有の素早さについて行けるか?


「グルォォォッ!」


トゥランベル嬢が雄叫びを上げると一瞬その身体が消えたかと思うと次の瞬間には頭上から私の頭を押し潰そうと落下してくる姿があった。

私は本能的とも言える反射でその場から横にずれてその攻撃を回避したがまたしても頭上から6本の炎の腕が隕石の様に落ちてくる。


最低限の私の身体へと当たらない様に回避と極水舞による炎の守備で防御する。

地は融解し白色の溶岩が露出した身体に当たり肉を燃やす。


「はぁぁぁ変化せよ…水槍ッ」


ストックしてある魔術は出来るだけ使わずに今できる手段でダメージを与えていく。

血のナイフを細長い槍へと変化させその毛皮を貫くが如く身体を前に押し出し突きを喰らわせる。


赤色の槍は上空から降り落ちて固まっているトゥランベル嬢に真っ直ぐに突撃するがこちらへと気づいた瞬間に手で防御される。

槍が掴まれこのまま手に槍を持っていたらその身体能力で投げ飛ばされる…ならば。


「ぶっ飛べ…水鉄炮ッ」


「グラァァァッ!?」


槍が掴まれ動かせないならばその形を変える。

この腕の力は手に持つ全てを水に変え操る…それならば槍を銃身にして高速で水弾を撃ち出すことだって可能だ。


次なる手段を考え首元を触り血を採取するとそれで同じくナイフを作り出し走り出す。

目指すは今の攻撃により吹き飛び怪我を負った傷痕。

そこからは血が出ており私の勝機が顔を出していた。


「この…図に乗るなぁッ!」


そう言い放つや否や炎の腕を呼び戻し近づけると6本の腕が一つにまとまり白い輝きを放つ。

血が炎に触れ蒸発し唯一見えたはずの勝機がなくなると共に巨大化した腕から放たれる格闘戦が迫る。


正面から迫り来る正拳突き、後ろに下がるが同じくもう片方の腕で攻撃する際に融解した地面を滑り距離を詰めてくる。

コレは避けられないと思い極水舞を引き寄せ身体全体を守るがその衝撃は強く身体がまたしても吹き飛ばされ地を転がる。

地面に血のナイフを突き立て止まろうとするが上手くはいかず地を転がっていく。


吹き飛ぶ身体は減速を始め私はそこでナイフを地に突き刺し漸く止まることができ視界から外れたトゥランベル嬢を探すように視線を前に向けると…そこには白く輝く腕を上に上げる姿があった。

吹き飛ぶスピードに追いつく様に走ってきたのだろう息を荒げ視線はこちらを睨む。


「魔法陣展開!守護結界ッ」


振り下ろさせると同時にストックしていた魔術の一つである結界を発動させる。

目の前に私の魔力を消費して何重もの壁が作り出されるがその全てに一振りで少しヒビが入る。


「邪魔…だッ!」


叩きつける様に守護結界に乗り両手で叩くがこちらもそれに負けず魔力を捧げヒビが入ったところから修復を行う。

今この結界を解くのはかなりリスクを伴う…それにあんなのに当たったらひとたまりもない。

だがこのままではいけない…からこそ一部のヒビは修復しない。


そうして叩かれていた守護結界の一部が割れ私の身体が剥き出しになる。

…トゥランベル嬢はその一部が割れたことでその周囲にもヒビが渡り勝ったと思ったのかニヤリと頰を緩ます。


「さっさと離れろッ!極水舞ッ!」


その割れた部分から私を守っていた極水舞が飛び出しトゥランベル嬢を後ずらせその隙に魔法陣を展開する。

シンボルは雷属性を象徴する…落雷そこに何重もの魔法陣を組み合わせ全く違う属性である風のシンボルである旋風の魔法陣も加え合成魔術を発動する。


「魔法陣展開…天雷砲ッ!」


手を前に掲げ魔法陣を展開すると魔法陣の中心から光の速さでレーザーが射出されトゥランベル嬢の胸を貫く。

最低限の魔力で放ったがそれでも消費がヤバい…だがダメージは加えられた。


だからこそここで引くわけには行かない!

ストックしていた魔術を脳をフル回転させて発動させる。

地形と標的のX軸、Y軸を定めデータとして記憶する。


シンボルは無属性を象徴するただの丸に先ほどの様に主力として添えるのではなくサポートとして収集の魔印をつける。

魔法陣を重ねただ一つの魔法陣を支援する重複魔術を展開していく。

更に主軸となるシンボルの丸の数を重ねそれは威力を増す…多重魔術となる。


「星よ煌めけ魔法陣展開…魔星砲」


上空に幾つもの魔法陣が展開され周囲の魔素を吸いその大きさを変えていく。

トゥランベル嬢はこの攻撃が何なのかわからずその場に固まっているが私の方を見ると突進しようとしてきた。

…がその悩みその一瞬が命を刈り取る結果へと繋がる。


「放てッ!」


全ての魔法陣はその輝きを放つ砲台へと変化しあらかじめ設定された場所へと撃ち出される。

軌跡を宇宙に描き星は射出されトゥランベル嬢を穿つ。


「グルルルァァァ…『烈風爪』ッ!」


その状態でも通常の烈風爪…あればアルキアンの戦いで使っていた技だろうか。

風で煽られ白い火花は美しく宙を舞い星を爪は切り裂き全てが地へと落ちる。

周囲に近づく全てを巻き込む爪の技が烈風となり無差別に荒れ狂う。


そうしてこちらを睨むように見つめられる。

こちらはもう地を転がって尖った溶けずに残った石や切り傷であちらこちら血が出ている。

あちらはその状態だと体力を使うのか息を荒げ私を見ている。


「ハ、ハァ…もう終わりかしら?…貴女を守る水ももう手元のそれしか無いみたいようね?」


「……あぁ確かにそうだね」


極水舞はストックしていないしストックしてある魔術は後一つしかない。

使えるのは血とこの魔術と身体のみだ。


コレほど近ければ私の魔術を構築する暇もなく死ねる。

守護結界も荒れ狂う風に乗った火花で半壊した…身体に力を入れ覚悟を決めた。

それは決死という名の全てを賭けるという死に方だ。


「だがこのままじゃ終わらせない…身体強化…更なる力を…魔法陣展開!限界突破ッ!」


心臓に手を当て息を吸い込み魔法陣を展開する。

シンボルは落雷…ただの一つのシンプルな魔法陣のみを発動させる。


発動した瞬間に身体中の全てが呼応する様に痙攣し力は引き出される。

痛みを感じないのに心臓が震え痛みだし喉が絶叫を捻り出す。


魔力は全身を掻き乱し血は身体から溢れ出す。

それを手繰り寄せ血が身体に纏わりつき生物の様に蠢く。

血は赤く…更に魔力に晒され赫く輝く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ