猫の耳の話
瞳に続いて猫の魅力な部位をひとつ。
猫耳と言えば猫のかわいいところを象徴するひとつで萌要素のひとつ、なんて与太話はとにかく、真面目な話をしよう。
猫の耳はよく動く。猫自身が寝ていても、まるで別の生き物かと思う程に、ピクリピクピクと物音に合わせて忙しなく動く。少しでも物音がすれば次の音を逃すまいとサッと耳がそちらに向けられる。ごく稀に熟睡している時は別だが、普段昼間にうたた寝している時は半ば自動的に物音に反応して耳を動かし、何かが近寄ってくるとか異変が聞こえれば即座に目を覚まして逃げの姿勢に入るのである。
「よく寝る子だから寝子」というのが由来のひとつとも言われる程に眠る姿を見る事の多い猫だが、その眠りの大半はこのような警戒半分の浅い睡眠なのが実情だ。
敵に襲われるかもしれない、という野生生活の名残だ。寝ている猫に向かって名を呼ぶと、ピッと耳が向けられて、「ん、なあに?」と薄目を開けたりする。眠りが深かったり面倒だったりすると耳だけで無視される事もある。もし飼い始めた猫が名を呼んでも耳も動かない位熟睡してくれるようになったら、貴方を信頼し、家に馴染んでくれた証かもしれない。
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集音の為に内向きの三角に折れ曲がった、ベルベットのような手触りの短い毛に覆われた外側。品種によっては耳の先端に飾り毛を持つ猫もいる。外側の毛が縁取る耳の内側に生える毛は少な目で、白っぽい色をしている事が多く、皮膚と赤い血管が透けてピンク色に見えている。
そんな猫の耳は面積が大きく、開口部も大きいので問題もあったりする。耳の奥に人間同様耳垢がたまり易いのがそれだ。
時折耳垢が痒くてその耳の皮膚の部分だったり、さらには耳の奥を後ろ足で掻こうとしているのを見掛ける。だが、鋭い猫の爪で掻いてしまったら軟らかな耳の内側なんてすぐに傷がついてしまう。なので慌てて止めて、綿棒やティッシュで砂などで黒く汚れた耳垢をこすって落とすのだ。
耳垢には人間同様じっとりタイプとカサカサタイプがあるらしく、じっとりタイプの猫は特に耳垢がこびりつき易く、よく痒そうにしている。そんな子の耳は本当に汚れているので、綿棒に裂いたティッシュを巻き付けて順次交換しながら掃除する。
コシコシと綿棒で耳を掻いてやると「あー、そこそこ」とかゆい所を差し出して来るのがかわいい。耳掃除の心地良さを覚えた子が、耳が痒くなってくるとわざわざ家人の目の前に来て耳元をプルプル振り、後ろ足でこれ見よがしに掻いて、アピールしてくるのがかわいい。綿棒やらを用意して戻ると目を輝かせて寄って来て耳掃除をおねだりするのがまたかわいいのだ。
耳掃除が終わって「はい、おしまい」と声をかけると夢から覚めたように「あー、気持ち良かった」とすっきりした顔で顔を洗い始める。仕上げに耳の後ろまでごしごしこすって違和感をなだめる。最後にグーッと伸びをして、ゆらゆらと立てて揺らす尻尾で「ありがと」と挨拶しながら、悠々と立ち去ってゆく。
野良の猫とかは耳垢をどうしているのか、少し気になるところだ。




