表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/63

大好きなもの~食べ物の話~

 今、猫CMでとても可愛いお気に入りがある。 ○○○チュールのCMである。消費者のみなさんから寄せられた各家の愛猫が夢中で食べている動画を集めた物だ。好物を取り出す音を聞きつけてピッと動く耳とか、他の猫を押し退けて取合いをする姿とか、もう寝転がってチューブを抱きしめて夢中で舐める姿とか、色々な猫あるあるがとてもかわいらしい。チュールチュール♪と調子のよい歌も頭を回って離れない。投稿者も企業側もCM制作会社も視聴者もみんなwin-winのすばらしいCMだと感じている。

 できるならば私もぜひ投稿してみたい。

 どんな猫も夢中になる○○○チュール同様、チーズやベーコンのように大抵の猫が好む物はあるが、時にはえ、そんな物が好きなの?と首を傾げたくなるような「好物」もある。



 ~女王様の場合~


 夏になるとパトラが飛んで来る時がある。冷やし麺の季節だ。海苔と麺が大好きなのである。海苔を取り出して刻む音が響くと目の色を変えて飛んで来る。

 ―――ちょうだいちょうだい!

 ニャアニャアうるさい。私の足に手を掛け伸び上がってさかんにおねだりする。

 3㎝角程にちぎって1切れずつ上げる。ハグハグと器用に食べていくが、たまに上顎の裏に貼り付いて苦労する羽目になる。他の猫の場合そこで今日はもういいや、となるのだがいつもの気品を放り出す程海苔に魅せられている女王様は懲りない。いつも1/4枚分は食べる。


 海苔が終わると麺だ。好きなのはそうめんやうどん。そばはあまり好みではないようだが、つゆをつければ2、3本は食べる。そうめんとかなら5本はペロリだ。1本ずつぶら下げると下から少しずつ食べる姿が優雅だ。さすが女王様。先ほど放り出した気品をもう取り戻している。アレクはこんな器用な食べ方は出来ないので手のひらから食べる。彼にとっては1本で充分なようだ。

 去ってゆく兄を尻目にパトラがまた次をおねだりした。




 ~兄猫の場合~


「コラッ、アレク!何してるの!」

 ある時台所のカウンターの上にアレクが上っていた。いつも上がらない様に言い付けているのだが、食べ物を求めてしばしば上って来る。見つかったのでヤバいとばかりにダッと飛び降りて逃げ出した確信犯。黒いかぎしっぽが廊下に消える。案の定盗み食いをしていたなと彼が物色していたボールの中を覗き込んで私はびっくりした。

 なんと鮮やかな緑色に茹であがったブロッコリーが冷ましてあるではないか。しかも上にあったのは芯である。つぼみは下の方に入っている。


「え、ブロッコリー!?アレクお前本当にこれ食べてたの!?」


 歯形のついた芯も転がっている。間違いないようだ。そりゃブロッコリーの芯はコリコリして美味しいけども。まさか猫が食べるなんて思わないってば。

 信じられなくてアレクを呼んで小さくした芯を与えて見れば、本当に美味しそうに食べるではないか。野菜そのものを猫が食べるとは不思議な光景だ。因みにパトラにも与えてみたら一度口には入れたものの「不味っ」と吐き出したので兄が喜んで食べていた。

 その後色々試してみたらパトラはほうれん草を食べる様になった。好みはあるものの、猫が野菜を食べるのは別に珍しくはないという話を後に聞いた。


何が琴線に触れるのか、本当に好みは一匹一匹違いますよね。好物を食べている時は実に幸せそうな表情をしています。その顔を見たくてついついその子の好物を貢いでしまうのはまぁ仕方のない話なのでしょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ