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天露の神  作者: ライトさん
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テスト週間


 例によってクラスの皆で雨子様のことを囲み、わいわいと賑々しくテスト勉強会は行われた。


 最近は皆の後ろの方で教師達が、自分達の指導方法を改善する為と称して、ひたすらメモを取ったりする姿も見受けられるのだが、果たしてそう上手く行くものだろうか?


 何せ雨子様には比類無き観察眼と記憶力、そして分析力が備わっているのだから。

ある意味これはチートと言っても差し支えないだろう。


 もっともいくら雨子様がチート能力を持っていたとしても、それを教わる側の僕達までもがそれを持っている訳ではなかった。


 だから下手を打つと折角雨子様が手伝ってくれているにも係わらず、成績が上がらないと言うことにも成りかねなかった。


 だが一度成績の爆上がりという成功体験をしてしまった者達は、そして次にそれが爆下がりしてしまうと言うとんでもない経験をしてしまった者達は、何が何でもという感じで石にかじりついてもと意気込むのだった。


 元より上手く勉強が進まないというのは、自分が何を理解していて、何を理解していないかという境目が曖昧なところや、或いは人によっては何をして良いか分からないなどと言った所にある。


 そこを雨子様によってすっぱりと見抜かれ、これをすれば良いという的確な指導を貰えれば、成績が上がらない訳がない。


 ただ、そうやって成績を上げつつも、それだけでは本当に学んでおかなくてはならないことを取りこぼしてしまうと、雨子様は時々零すのだった。


 だから実は内緒で、テスト勉強に必要なことにプラスしてやることを増やしている。

だがそれは各個人の能力差を考慮して行わなくてはならないので、雨子様をしてうんざりとした作業量になってしまうのだった。


 救いは、こうした雨子様の配慮が教師達の一部には伝わっていることだった。


 残念ながらそれは即成績アップに繋がるような資料とは成らなかった。しかし彼らはテストの為の学習内容から幾分外れているそれらの内容が、一体何故そこに在るのかを知り、ゆっくりではあるがその意味を理解していった。


 そしてそれをこそもっとも肝要な物だと理解して、自分達なりに取り入れ、今後の授業の改善に取り組み始めるのだった。


 その甲斐有ってか、うちの高校が全国数多ぜんこくあまたある高校の中で、次第に順位を上げていくことになるのだが、それはまた別の話。


 ともあれやればちゃんと返ってくると言うことを何度も経験するにつれて、努力をすることを皆少しずつ楽しいと感じるようになっているのかも知れない。

テスト勉強をしていても、以前と違って悲壮感という物が無く、どこか楽しそうに前向きに対応しだしていた。


 何かに必死になって打ち込んでいれば、時が経つのは早いものだった。

テストに向けてただひたすらに勉強を続けている期間はあっという間に過ぎ、瞬く間にテスト週間へ、そしてそれも過ぎて今最後のテストが終わろうとしている。


「はいそこまで~」


 監督役の教師の声が響くと、直ぐにテスト用紙が回収される。

そしてその束を持った教師が教室の扉を開けて出て行くとその途端


「うぉ~~~終わったぁ~~」

「俺は自由だぁ~」

「もう寝るぅ~」

「遊ぶぞぉ~」


 と、皆好き勝手にテストの束縛から解放されたことを喜び叫んでいた。


 そんな彼らのことを見てほっとしながらも零す雨子様。


「やれやれじゃの…」


 僕はそんな雨子様に笑いかけながら言う。


「でもそう言う割には嫌そうじゃ無いのじゃない?」


 その言葉にぼそりと雨子様は言う。


「まあ、あやつらのあの嬉しそうな顔を見ていたら、そうも成ろうて」


 そうこうする内に、わらわらと寄ってきた女子生徒達に雨子様は囲まれてしまう。


「ねえねえ打ち上げスィーツ食べに行かない?」

「行こうよ行こうよ、雨子さん」

「立役者が行かない訳には行かないわよ?」

「そうそう、皆で奢って上げるんだから!」


 などと女子達の総力を挙げている感がある。

お陰で僕を含めて男子達は、お礼を言いたくても側に近寄りようがない。


 なので彼らは皆僕の所にやって来ては、雨子様に感謝の意を伝えてくれと言っては去って行くのだった。


 そうやってそれぞれがそれぞれに囲まれている最中に、偶然ふと目が合う。

雨子様は嬉しいけれども少し困った目?それはどうしたら良いのと訴えかけているようにも見える。


 だから僕は小さく頷いて見せる、行ってきたら良いんだよ。そして年頃の女の子達に囲まれて、雨子様自身の女子力アップの鍛錬をしてくると良いのだけれども…。

 僕はその様なことを考えているのだった。


 有る意味良い機会かも知れない。

昨今の雨子様は、以前に比べると大分普通の女の子っぽくなりつつはあるのだけれども、それでも屡々違和感満載になるので、楽しみつつ、そう言うのを吸収してくるのも有りだと思うのだった。


 実際雨子様自身も、以前は困り顔しか出来なかった、感性が多くを占める世界を今は少しずつ楽しむことが出来ているとのこと。


 多様な色々な物を楽しめるというのは良いことなんだと思う。


 その後わいわい騒ぐ女子達に囲まれながら雨子様は教室から出て行った。

ちらりとこちらを向くと小さく手を振る、以前の雨子様であれば考えられない仕草じゃないだろうか?


 さて、それでは僕も返ろうかなと、帰り支度を始めていたら、数人の友人達に取り囲まれてしまう。


「あっちはあっちで楽しんで来るみたいだから、俺たちは俺たちでカラオケでも行かないか?」


 有無を言わさぬ調子で誘いを掛けてくる。これは付き合うしかないだろう?


「分かった分かった、付き合うからそんなに引っ張るなよ」


 すると僕達のそんな動向を見守っていたのか、周りでたむろしていた他の男子達も、我も我もと手を上げる。


 結局クラスのほとんどの男子達と共にカラオケに向かうことと成った。

そう言えば雨子様とカラオケしたことなかったっけ?一度家族で行ってみるか?そんなことを考えながら…。



 お待たせしました


雨子様のカラオケ?絶対、絶対聞いてみたい!

何歌うんだろう?

皆さんなら彼女がどんな曲を歌うと思いますか?

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