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子役もかなり、大変です。  作者: ほっかいろ
第一章~子役、始めました!~
37/46

31、スイッチ

 1500pt分です!

 「はい、カットー」

 

 その声で、はっとした。というか、凜々花に戻った。


 「ふうーーーーー。」


 大きく息を吐く。駄目だ。本番になるといきなり入る、役になりきるスイッチが、上手くコントロールできない。ある程度のアドリブならまだしも、もう話をどんどん盛っていくようなアドリブを言ってしまいたい気持ちになって、それを解放すれば、演技としては完璧だけど、ドラマ的に成り立たなくなるし、制御しようとすると、そっちに集中が行って、演技がボロボロになる。

 

 昨日は、私のなかでの役の気持ちと、台本が合っていたから、普通にスイッチをオンにできたけど、なんか今日の撮影の一シーンで、台本と私の感情が合わないところがあって、もう、何回もやり直し食らうし、リハーサルとか他のシーンでは普通にできてたから、「わざとなんじゃね?でも、なんでわざとこんな事すんの?」みたいな空気が流れていて、精神的に辛い。ということで、一回休憩がでたので、莉緒さんに聞いてみることにした。


 「莉緒さん、相談があるんですけど…。」


 お茶を飲んでる莉緒さんに話しかける。


 「ん?何?」

 「いや、あの…。」


 まあ、取り合えずスイッチについてと、どうやってコントロールできるのか聞いてみた。


 「さあね。」

 「え?」

 「私わかんないもの。スイッチやらなんやらって。」

 「え?でも、なんか本番に入ると突然、なんか役の感情が溢れてくる、みたいなことは無いんですか?」

 「無い。っていうことで、悪いけど、今力になれることと言えば、監督さんに私からも、このシーンを後で回すようにお願いすることだけね。」

 「ええぇぇーーーーーー。」


 私は、落胆の声を漏らした。皆私みたいになると思ってたのに…。これは人によるのかな?それとも莉緒さんが特別なのかな?でも…、私は覚えている。たしか、加賀先生が教えてくれた。『役の気持ちが暴走したら、どうとかこうとか…』って。でも、暴走したこと無かったから、「そんなことがあるんですか~。」で流してたので、対処法を聞いてなかった。まあ、それにしても、加賀先生が体験してるっていう事は、私の他にも、何人かは、このスイッチを経験したことがあるのだろう。まあ、もういいや。今日出来るだけ対処法を聞き出して、明日の撮影に間に合わせよう。


 「じゃあ、監督さんにお願いしてきて貰えますか?」

 「何言ってんのよ?あなたも一緒に来なさいよ。自分の問題なんだから。」

 

 という事で。一緒にお願いしに行った。







 あとは莉緒さんと裕也さんだけのシーンを撮影して、終わってしまった。撮影が終わるまでの間ずっと解決策を考えていたけど、結局思いつかなかった。


 「あ、羽田さん、今日は、事務所に送ってもらえますか?」


 帰りの車の中で、私は羽田さんにそう言った。明日までには対処法が知りたかった。


 「いいけど、お母さんは知ってるの?」

 「知らないけど、重要な用事なんですよ。」

 「大丈夫かしら…?」

 「じゃあ一応電話してみましょうね。」


 ということで、羽田さんがスマホを貸してくれたので、お母さんに電話を掛けた。


 【あ、もしもし。】

 「あのさ、今から事務所行きたいんだけど」

 【どれくらいかかるの?】

 「30分とか1時間位しかかからないと思う。延長になったら電話するね。あ、事務所といえば昨日お母さんも言ってたよね?何の話だったの?」

 【ああ、それね。】


 お母さんはちょっと言いにくそうにした後、


 【お金の話よ。凜々花がもうちょっと大きくなったら教えてあげるからね。】


 と言った。

 ドラマ出演ってどのくらい儲かるんだろう。

 そういえば子役をやっている子供からお金を巻き上げている親の話聞いたことあるな。まあ、私の両親はそんな事しないよね。そんなことを考えながら通話を終了した。


 「あ、お母さん良いって言ってました。」

 「じゃあ行くわね。」


 そう言って羽田さんが走らせた車は、10分近くで事務所に着いた。芸能関係の建物は近くに密集してるのか分からないけど、比較的建物から建物までが近い気がする。


 「そういえば、羽田さんのマネージャーの仕事の仕組みってどうなってるんですか?月に何時間とか色々決まってるんですか?っていうか具体的に何をするんですか?」

 「うーんとね、月に何時間とかは決まってないかな。で、何をするか、っていうと、担当の芸能人のスケジュールを立てたり、あと仕事とかの話も受け取ったり探したり。あとは、時々相談を聞いたりもしてるわよ。」

 「へぇ、そんなことまでするんですね。」

 「そっちの方が給料上がるからね。」

 「……。」


 その後車の中では沈黙が続いたが、羽田さんはそんな事気にせず、鼻歌を歌いながら運転していた。ちょっと気になったから聞いてみたけど、触れてはいけないところだったのかも知れない。


 






 「はい。じゃあ、帰りはお母さんが迎えに来てくれるの?」

 「はい。」

 「うん、わかった。じゃあね。」

 「ありがとうございました。」


 という事で事務所に着いた。各先生には1つずつ部屋が合って、基本的にそこでレッスンをする。私の先生も、1部屋しか持っていないので、特待クラス全員でのレッスンと、個人レッスンも同じ部屋だ。また、オフィスみたいな感じにもなっているので、デスクとパソコンが教室の端にある。私が部屋を覗くと、先生はパソコンで何かを打っていた。


 「トン、トン、トン」


 ノックしてドアを開けた。


 「え?何?何の用?」


 迷惑そうな言い方にちょっと傷ついたけど、とりあえず話始めた。


 「あの、今日ドラマの撮影があったんですけど……。」


 私はその後、スイッチについて詳しく説明した。


 「あぁー、分かるかも。」

 「本当ですか!!??」

 「うんうん、雪美(加賀先生の下の名前。)が言ってたわね。」


 ああ、この人が加賀先生の友達だって忘れてたよ。っていうか待って!!??じゃあ、先生にはスイッチが無いって事!!??


 「え!?じゃあ先生には…」

 「あ、私にはその、スイッチなんて物、存在しないわよ?だから悪いけど、対処法は教えてあげられないわね。」

 「そんな…。」


 道がふさがった気がした。もう、解決策が無くなったような気がして、目の前が真っ暗になったようだった。


 「まあ、でも、雪美は1人で解決策を見つけ出してたわよ。」

 

 いや、励ましになんないよ。私なんかが加賀先生に敵うわけないし。


 「加賀先生に、会えませんかね?」


 なんか、それしか方法が無いような気がしてきた。


 「今連絡取れないのよね~。前遊びに来たんだけど、ちょっと話して、直ぐ帰っちゃったからねぇ。」

 「分かりました…。ありがとうございました。」


 教室から出た。ロビーに向かって余った時間をソファーで過ごすことにした。解決策かぁ…。私の中の美穂と、台本の美穂を合わせるしかないんだけどな~。じゃあ、どうやって合わせるか…。


 「よいしょ。」


 ソファーから起き上がった。1回外に出て、新鮮な空気を吸いたくなった。


 「やだ!!行きたくない!!」


 外に出ると、ふと、声が聞こえた。どうやら、レッスンに行きたくなくて、子供がごねてるようだ。


 もしも美穂があんな子だったらな…。想像してみた。もしも、美穂が、物凄い怖がりで、人見知りじゃ無ければ、どうなっていたのかな…。そう、ボーっと考えた。今の美穂がもし、我儘な子だったらな…。今の美穂が、もしも気が強かったらな…。今の美穂が…。待って。今の美穂?今の美穂って…。


 「あ!!」


 そういうことか。私は、スイッチが入った時の私の演技は、全部、私の、美穂へのイメージだったんだ!!!!

 

 今回は、私が数学の問題分からなかった時のことを考えて書いています。

 そういえば、感想で指摘していただいた点などは、この投稿が追いついたらやっていこうと思います。大幅に変わるかもしれません。リニューアル(?)的な感じでやっていこうと思います。

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